18.英語教育改革総合プラン(新規)【達成目標2-1-5】

平成21年度要求額:1,624百万円
  (平成20年度予算額:626百万円)
  事業開始年度:平成21年度
 事業達成年度:平成25年度

主管課(課長名)

  • 初等中等教育局国際教育課(大森 摂生)

関係課(課長名)

  • 初等中等教育局教育課程課(高橋 道和)、同教科書課(伯井 美徳)

事業の概要等

1.事業目的

  経済・社会のグローバル化が進展する中、子ども達が21世紀を生き抜くためには、国際的共通語となっている「英語」のコミュニケーション能力を身に付けることが必要であり、このことは、子ども達の将来のためにも、我が国の一層の発展のためにも非常に重要な課題となっている。
  このため、教育振興基本計画において「小学校段階における外国語活動を含めた外国語教育の充実」を目指す学習指導要領の着実な実施を盛り込んでおり、特に小学校の外国語活動の円滑的な実施に向けた条件整備を重点的に実施する。また、外国語に関する能力の測定法の開発や外国語教育の低年齢化、授業時数増、小中連携のあり方に関する調査研究など英語教育の充実に資する施策を総合的に実施する。

2.事業に至る経緯・今までの実績

  教育振興基本計画において「確かな学力」を確立するため、小学校段階における外国語活動を含めた外国語教育の充実を目指す小・中学校の学習指導要領について着実な実施が掲げられており、授業時数や指導内容を増加する新学習指導要領の円滑な実施を図るため、教育を支える条件整備について実施することとされている。また、「経済財政改革の基本方針2008」の国の基本的な政策方針においては、全国的な英語教育の一層の充実が指摘されている。
  これまでの実績としては、「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」(平成15年度~19年度を実施している。その結果、平成19年度、小学校における英語活動の実施状況や、中学校・高等学校の英語教員の英語力及び高等学校3年生の英語力等については前年度の調査結果を上回った。他方、中学校3年生の英語力に関する項目については、前年度の調査結果を若干下回ることとなった。行動計画の成果を踏まえ、総合的なコミュニケーション能力を育成するという観点から、英語教育の改善を図っていく必要があると考えているため、引き続き英語教育の改善のため、本プランを実施することとした。
  「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」においては、生徒の英語力を図る指標として英検を利用していたが、これが必ずしも学校教育において習得した英語力を評価するには適切な指標と言えないことから、より適切な指標を開発するため、本プランには、大学・研究所等に委託することにより新たな英語力の測定法の研究を盛り込んでいる。

3.事業概要

  本事業は「新学習指導要領の着実な実施に向けた条件整備」と「英語教育改善のための総合的な教育システムの構築」の2つの柱から成り立っている。
  「新学習指導要領の着実な実施に向けた条件整備」の内容は、特に小学校の外国語活動の円滑的な実施のための英語ノートの印刷・配付等の条件整備であり、「英語教育改善のための総合的な教育システムの構築」の内容は、英語教育の低年齢化等に関する調査研究等である。

スキーム図

4.指標と目標

  • 達成目標2‐1‐5
    • 新学習指導要領の着実な実施に向けた条件整備及び英語教育改善のための総合的な教育システムの構築により、英語教育の充実を図る。
  • 指標
    • 児童・生徒の英語学習に対する興味・関心及び理解・習熟度
  • 目標
    • 児童・生徒の英語学習に対する興味・関心について80パーセント以上の肯定的な回答を目指す。また、理解・習熟度について60パーセント以上を目指す。
  • 効果の把握手法
    • 本事業の効果は、指定された学校において、英語学習に対する興味・関心及び理解・習熟度について調査を実施し、教員や生徒の意識の変化等について検証する。

事業の事前評価結果

A.19年度実績評価結果との関係

  施策目標2‐1‐2において、「今後は、向上が見られなかった点も踏まえて、本計画の成果や更なる体制の確立に向け、英語教育の更なる推進に向けた施策を検討」と記述されており、本事業の実施は不可欠である。

B.必要性の観点

1.事業の必要性

  教育振興基本計画においては「確かな学力」を確立するため、小学校段階における外国語活動を含めた外国語教育の充実を目指す小・中学校の学習指導要領について着実な実施が掲げられており、授業時数や指導内容を増加する新学習指導要領の着実な実施を図るため、教育を支える条件整備について実施することとされている。このため、小学校の外国語活動に関して、共通教材の配付、教員研修の計画的実施、ALT等の外部人材の積極的な活用等の条件整備を、文部科学省として積極的に講じる必要がある。
  また、「経済財政改革の基本方針2008」などの国の基本的な政策方針においては、英語教育の抜本的強化が指摘されていることから、国としてそのような提言に対応する必要がある。

2.行政・国の関与の必要性(官民、国と地方の役割分担等)

  新学習指導要領の着実な実施に向けた条件整備を全国的に円滑に行うためには、国として必要な施策を講じなければならない。また、英語教育改善のための総合的な教育システムの構築については、「経済財政改革の基本方針2008」において示された施策方針に対応するため、国として積極的に関与する必要がある。
  また、本事業における「新学習指導要領の着実な実施に向けた条件整備」の小学校外国語活動の導入に関しては、小学校において初めて外国語活動実施が義務化されたため、全国で一定の水準の外国語活動を実施できるようにするためには、地方公共団体が個々に取り組むだけでなく、共通教材の作成・配付、教員研修の体制作り等を国が行う必要がある。
  「英語教育改善のための総合的な教育システムの構築」については、学習指導要領の改訂等に資するための英語教育の改善のための情報を収集することを目的として行うため、地方公共団体もしくは民間でなく国で行う必要がある。

3.関連施策との関係

  特になし

4.関係する施政方針演説、審議会の答申等

「教育振興基本計画」(平成20年7月1日閣議決定)

  第3章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策

  (2)施策の基本的方向

  基本的方向2 個性を尊重しつつ能力を伸ばし,個人として,社会の一員として生きる基盤を育てる

   1.知識・技能や思考力・判断力・表現力,学習意欲等の「確かな学力」を確立する‥‥

  【施策】

   ◇ 学習指導要領の改訂と着実な実施
  「確かな学力」を確立するため,知的活動,コミュニケーションや感性・情緒の基盤である言語に関する能力の育成,理数教育の重視,小学校段階における外国語活動を含めた外国語教育の充実,十分な授業時数の確保などを目指す小・中学校の学習指導要領について,平成20年度に集中的に周知を図り,平成21年度から移行措置により可能な限り先行実施する。‥‥

  ◇ 総合的な学力向上策の実施
  新学習指導要領をふまえ,また,習熟度別・少人数指導や専科教員も活用しながら,基礎的な知識・技能の定着と思考力・判断力・表現力等の育成や,言語に関する能力の育成,理数教育や外国語教育の充実などを促す。

「経済財政改革の方針2008」(平成20年6月27日閣議決定)

  第2章 成長力の強化 1.経済成長戦略 2.グローバル戦略 3.国際的な人材強化

  2)教育の国際化

  • 英語教育を強化する。

  成長戦略実行プログラム 2.グローバル戦略 (3)国際的な人材強化 B 教育の国際化 (ウ)英語教育の強化

  1. 小学校低・中学年(例えば3年生)からの英語教育の早期必修化を目指し、モデル的な取組を含め具体策を検討。また各学校段階の到達目標を明確化(TOEIC(トーイック)・TOEFL(トーフル)・英検の活用等)し、英語教科書・教材の質、語い数、分量を向上。
  2. JETプログラムを活用したALTや、英語能力の高い社会人等の指導者の確保を図る。またTOEIC(トーイック)、TOEFL(トーフル)、英検(例えば英検1級程度)を条件に課すなど、英語教員の採用の見直しを促す。
  3. 日本人高校生・大学生の海外留学を推進。
「経済成長戦略」(平成20年6月10日経済財政諮問会議)

  3 3つの戦略 (2)グローバル戦略(平成の開国) 3国際的な人材強化

  2)教育の国際化

  開かれた国にする観点から若いうちから国際感覚を身に付ける教育を充実するとともに、高度人材受入れとも連携させながら、留学生受入れを拡大させる。

  • 英語教育を強化する
「教育再生懇談会」第一次報告(平成20年5月26日)

  4 英語教育を抜本的に見直す

  • 小・中・高・大の各段階の到達目標を立て、国語教育等と矛盾しない形で、全ての段階で英語教育を強化する
    • 英語教科書の質、語彙数、テキスト分量の抜本的向上
    • 小学校3年生以上で英語教育を行うモデル校を大規模に(5,000校)設ける
    • 英語教員の英語力の飛躍的向上、外国人や社会人を活用した英語指導の人材確保を図りつつ、早急に学習指導要領の見直しの検討に着手し、実行に移す
  • 高校生、大学生の海外留学の推進などを通じ、英語教育を強化し、日本の伝統・文化を英語で説明できる日本人を育成する。

C.有効性の観点

1.目標の達成見込み

  本事業を適切に計画どおり実施できれば小学校外国語活動の円滑な導入をはじめとする「新学習指導要領の着実な実施に向けた条件整備」が行われ、また「英語教育改善のための総合的な教育システムの構築」により英語教育の充実を図ることできるため、本事業の目的を達成できる。

2.上位目標のために必要な効果が得られるか

  本事業は、新学習指導要領の着実な実施及び英語教育の強化・充実を図るものであり、小学校外国語活動をはじめとする英語教育に関しては、上位目標である確かな学力の確立のために必要な効果を得ることができる。

D.効率性の観点

1.インプット

  • 英語教育改革総合プラン 1,624百万円
    • 教材等の整備 626百万円
    • 外国語指導助手の資質向上 11百万円
    • 教科書の質・量改善推進事業 50百万円の内数
    • 小学校外国語活動のサイトの保守・運用 1百万円
    • 英語教育改善のための調査研究 940百万円
    • 日本人の英語能力の測定法の研究・開発 46百万円

2.アウトプット

  本事業では、1.新学習指導要領の着実な実施に向けた条件整備、2.英語教育改善のための総合的な教育システムの構築のため必要な施策を講じることとしている。
  1については、小学校外国語活動のための全国的な共通教材としての英語ノートの印刷・配付や指導者養成研修の実施等により、新学習指導要領が着実に実施される。2については、日本人の英語能力測定指標や学校における英語教育の改善方法、小学校教員養成課程における外国語活動養成講座の開発がアウトプットとして見込まれる。また、達成年度までに1,000校の小・中・高等学校の指定を目指している。

3.事業スキームの効率性

  本事業の予算規模(1,624百万円)に対し、アウトプットとして、1.新学習指導要領の着実な実施に向けた条件整備に関しては、小学校外国語活動のための全国的な共通教材の印刷・配付及び指導者養成研修等の実施により効率的に実施され、2.英語教育改善のための総合的な教育システムの構築に関しては、全国の一部の学校を対象としたモデル事業を行い全国的に普及することから、本事業のインプットとアウトプットとの関係は効果的と考えられる。

4.代替手段との比較

  新学習指導要領の実施に向けた条件整備を全国的に円滑に行うためには、地方公共団体の事業とすると全国で一律の水準を維持することが困難となるため、国で実施する必要がある。また、英語教育改善のための総合的な教育システムの構築については、学習指導要領の改善のための情報を収集するため、地方公共団体もしくは民間ではなく国において実施する。

E.公平性の観点

  本事業において実施する事業のうち、英語ノートの配付等新学習指導要領の着実な実施に向けた条件整備は全国を対象としている。また、英語教育改善のための総合的な教育システムの構築のために実施する諸事業は、全国の学校に対して公募し、専門家による審査を経て、実施校を決定する予定であり、公平性は担保される。

F.優先性の観点

  新学習指導要領の完全実施は既に小学校において23年度、中学校においては24年度からとなっており、教育振興基本計画においても完全実施に向けた条件整備を図ることが必要とされていることから本事業は優先すべき課題と考えられる。
  また、閣議決定された「経済財政改革の基本方針2008」や教育再生懇談会の第一次報告においては英語教育の抜本的強化が重点課題として位置づけられており、英語教育の充実は優先すべき政策と考えられる。

G.総括評価と反映方針

  21年度概算要求に反映する。
  本事業の実施を含む英語教育の推進に向けて外国語教育推進室を設置するため、機構・定員要求を行っていく。

指摘事項と対応方針

指摘事項

1.事業に対する総合所見(官房にて記載)

  評価結果は妥当。

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --