平成21年度要求額:663百万円
(平成20年度予算額:466百万円)
事業開始年度:平成17年度
事業達成年度:平成22年度
学校における教育の情報化の推進を図ることを目的としている。
近年、情報化の進展が急速に進む中で、子どもたちに対する情報モラル等の教育は喫緊の課題である。加えて、新学習指導要領の円滑な実施や国の情報化の指針でもあるIT新改革戦略に掲げられた目標を達成するためにも学校教育の情報化に資する当事業が必要不可欠であることから当事業を開始した。
平成18年度は、ICTの教育効果や教材等の少ない情報モラルに関する事業を実施し、平成19年度からは新たに、ICTを使った先導的かつ効果的な教育手法に関する事業を実施している。
IT新改革戦略に掲げられた目標を達成するために、先導的なICTの教育への利用方法や情報モラル教育に関すること、教員のICTを使った指導力の向上などに寄与する事業を行う。
平成21年度においては、特に喫緊の課題である、情報モラルに関する事業を新規・拡充要求することとしている。
上記目標等に対し、毎年、悉皆調査を実施し事業の効果の把握を図る。
19年度実績評価においては、達成目標2‐1‐4、2‐1‐5について、B判定としておりその進捗状況には、多くの課題を残している。特に、実績評価において、教員の指導力の向上やサポート体制の構築など教育の情報化を計画的かつ組織的に進める地域や学校の取組を支援する事業の必要性を指摘しており、これを踏まえた事業を盛り込んでいる。
教育の情報化については、急速な情報化の進展に伴い、膨大な情報量を誇るインターネットを活用した調べ学習やデジタルコンテンツを活用することで、子どもが視覚的に理解できる等、確かな学力を育成する上で大変有効なツールである。
しかしながら、ICTを使って教科指導ができる教員の不足や自治体の厳しい財政事情などから教育の情報化の優先順位が低い。
このようなことから、国が先導的に授業における効果的なICTの活用方法や教員の指導力の向上に関する調査研究を実施し、その成果を普及し効果を示すことで自治体における教育の情報化に向けた取組が加速化されるものと考えており、これらの促進を図るためにも当事業は必要不可欠なものである。
国がICTを使った教育効果を示すことで、自治体において教育のICTの理解が得られ、教育の情報化が促進されることに繋がり、また、学校の教育の情報化が促進されることで、教育用のデジタルコンテンツの需要が見込まれ、民間企業の教育用コンテンツの開発が加速化されることが考えられるため、教育効果等を検証するなど先導的な部分は国が行うべきものであると考えている。
また、教育の情報化は「IT新改革戦略」にも、目標が掲げられており、これらの目標の確実な達成のためにも国がICTを使った新たな教育方法を開発し、これを自治体に普及させ結果として、学校の情報化が進むべきものであり、当事業を国が実施することは必要不可欠である。
○青少年を取り巻く有害環境対策の推進 施策目標2‐4(スポーツ・青少年局青少年課)
有害環境から子どもを守るための推進体制の構築、有害情報に関する普及啓発資料の作成・配付、青少年とメディアに関する調査等を実施する。
○地域で取り組むIT安心利用推進事業 施策目標1‐5(生涯学習政策局参事官)
保護者等を対象としたインターネットの安全・安心な利用のための啓発講座の実施、啓発を行うボランティアの養成、各地域における情報リテラシー教育の実践事例等を掲載するウェブサイトの構築等を行う。
青少年を取り巻く有害環境対策の推進事業は、日常的に発生している違法有害情報から青少年を守るためのネットパトロールや啓発リーフレットの作成等、青少年の健全育成の観点からインターネットの利用環境を整えることをねらいとする事業である。
地域で取り組むIT安心利用推進事業は、保護者や地域住民等、生涯学習の観点から情報リテラシーの育成を図ること等をねらいとした事業である。
本事業は、学校における教育の情報化等の推進をねらいとした事業である。
(3)人材育成・教育 次世代を見据えた人的基盤づくり
全ての教員へのIT機器の整備、IT活用による学力向上
ITを安心して活用できる社会の実現
インターネット上の違法・有害情報から子どもを守ることが国民的課題であることを全ての保護者、教職員、地域が理解し行動する意識の醸成を図る。また、子どもたちが違法・有害情報に適切に対応できるようにするための情報モラル教育を充実する。
「つながり力」発揮による経済成長の実現
高度IT人材育成のための裾野の拡大に向け、情報教育やITを活用した教育を推進する。
2.3 世界一安心できるIT社会‐「情報セキュリティ先進国」への躍進、サイバー犯罪の撲滅
7.情報モラル教育の推進
国民がインターネット上の違法・有害情報などネットワーク上の不適正な利用に対し適切に対処できるようにする。
(2)情報モラル教育の推進
2008年度中に、子どもたちに情報モラルの大切さを理解させるフォーラムを開催するとともに、教員の効果的な指導を可能とするための指導の手引きなどについて検討するなど、違法・有害情報への対応などの情報モラル教育を一層推進する。
2.4 次世代を見据えた人的基盤づくり‐すべての子供と教員に最高のIT環境を、効果的な教育・学力向上を目指して‐
1 学校におけるIT基盤の整備
教員一人に一台のコンピュータ及びネットワーク環境の整備並びにIT基盤のサポート体制の整備等を通じ、学校のIT化を行う。
(1)ITインフラの整備
(ア)IT環境の整備
2010年度までに、概ね全ての威小中高等学校等が、光ファイバ等による超高速インターネットに常時接続できるようにするとともに、校内LANの整備等を行うことにより、全ての教室がインターネットに接続できるようにする。
また、2010年度までに、普通教室等へのコンピュータ整備を行うことにより、教育用PC1台あたり児童・生徒3.6人の割合を達成するとともに、プロジェクタ等の周辺機器の整備を促進する。
さらに、上記の目標達成のために、整備が進んでいない地域の一層の整備促進を図るために、市町村別の整備状況を調査・公表するなど、地方公共団体の整備に向けた取組を促す。
加えて、2007年度に開始した学校のIT環境整備に関する先導的かつ効果的な実践研究について、2009年度まで継続して実施するとともに、その成果の地方への普及を図る。
(イ)教員のIT活用環境の整備
2010年度までに、小中高等学校等の全ての教員に対しコンピュータを配備できるようにし、校務の情報化を促進する。特に、情報セキュリティの観点から適切に管理された校務用コンピュータ等の整備を促すために個人情報流出の危険性を周知するとともに、IT活用に伴うリスクを避けるための情報セキュリティポリシーの策定状況を公表する。
また、2007年度までに開始した校務の情報化に関する先導的かつ効果的な実践研究について、2009年度まで継続して実施するとともに、その成果の地方への普及を図る。
2 教員のIT活用指導力の向上
教員のIT活用指導力の評価等により教員のIT活用能力を向上させる。
(1)教員のIT活用指導力の向上
概ね全ての公立学校教員がコンピュータ等のITを活用して指導することができるようにするため、2008年度中に次の取組を推進する。
4 児童生徒の情報活用能力の向上
教科指導におけるITの活用、小学校における情報モラル教育等を通じ、児童生徒の情報モラルを含む情報活用能力を向上させる。
(1)新しい学習指導要領改訂の実施に向けた取組
新しい学習指導要領に基づく情報教育の円滑な実施のため、2008年度に情報教育について教員の効果的な指導を可能とするための指導の手引き等について検討・策定する。
2.5 世界に通用する高度IT人材の育成‐産学官連携体制の構築
1 高度IT人材の育成に向けた総合的な取組
プロジェクトマネージャー、ITアーキテクト、ITコーディネータ、組み込みソフトの専門家等の高度IT人材の育成を促進し、産業界における高度IT人材の需給のミスマッチを解消する。
(5)初等中等教育段階からの高度IT人材の早期発掘育成
将来、世界一級のクリエーターとなり得るような優れた人材を、高校生の段階から発掘し、その成長を支援するため、2008年度中に合宿形式によるセミナーを開講し、高度な知識を有する生徒に対し、最先端分野の研究者による指導の下、アイディア、スキルを発揮して創作活動を行う学習機会を提供する。
基本的方向2
個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる。
1知識・技能や思考力・判断力・表現力、学習意欲等の「確かな学力」を確立する。
◇総合的な学力向上策の実施
児童生徒の発達段階に応じた情報活用能力の育成に加え、情報モラル教育の充実を促す。
基本的方向4
子どもたちの安全・安心を確保するとともに、質の高い教育環境を整備する。
2質の高い教育を支える環境を整備する。
◇学校の情報化の充実
教育用コンピュータ、校内LANなどのICT環境の整備と教員のICT指導力の向上を支援する。また、教材・コンテンツについて、その利用等を支援し、ICTの教育への活用を促すとともに、校務の情報化、ICT化のサポート体制の充実を促す。IT新改革戦略に基づき、平成22年度までに、校内LAN整備率100パーセント、教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数3.6人、超高速インターネット接続率100パーセント、校務用コンピュータ教員1人1台の整備、すべての教員がICTを活用して指導できるようになることを目指すとともに、教育委員会や小中高等学校等への学校CIOの配置を促す。
特に重点的に取り組むべき事項
◎ 教員が子ども一人一人に向き合う環境づくり
必要な教職員定数を措置するとともに、退職教員や経験豊かな社会人などの学部人材の活用、調査の見直し、教育現場のICT化、事務の簡素化・外部化などの取組を支援する。
1.学力向上にあらゆる手立てで取り組む
提言2 全ての子どもにとって分かりやすく、魅力ある授業にする。
提言3 教員の質を高める、子どもと向き合う時間を大幅に増やす。
第5章 安心できる社会保障制度、質の高い国民生活の構築
2.未来を切り拓く教育
教育基本法の理念の実現に向け、新たに策定する「教育振興基本計画」に基づき、我が国の未来を切り拓く教育を推進する。その際、新学習指導要領の円滑な実施、特別支援教育・徳育の推進、体験活動の機会の提供、教員が一人一人の子どもに向き合う環境作り、学校のICT化や事務の負担軽減、教育的観点からの学校の適正配置、定数の適正化、学校地域支援本部、高等教育の教育研究の強化、競争的資金の拡充など、新たな時代に対応した教育上の諸施策に積極的に取り組む。
本事業は、教育の情報化を促進する観点から、平成17年度に開始され、その後、平成18年度に策定された「IT新改革戦略」の目標達成のために引き続き実施してきている。平成21年度新規分については、教員のICT指導力のうち情報モラルを指導できる教員が100パーセントになることを目指しており、教員の研修や専門員を派遣する事業を行うことで確実に教員の情報モラルを指導する能力が促進され目標が達成できると見込まれる。また、拡充分である総合支援モデル事業については、平成20年度の5地域に加え新たに5地域を増やすことで、様々な自治体規模における支援体制のモデルが完成し、これを普及することでIT新改革戦略に掲げる「学校のICT化のサポート体制を強化する」という目標に確実に寄与できるものと見込まれる。
整備主体である自治体に対し、教育の情報化の効果を示すことで自治体における学校のICT環境の整備や教員の指導力の向上等の更なる推進が見込まれ、本事業の上位目標である概ね全ての学校のICT環境の整備・充実及び概ね全ての教員がコンピュータを使っての指導の実施が可能となり、教育の情報化の促進及びこれによる確かな学力の育成を図ることができるものと考えられる。
本事業は、平成19年度に先導的教育情報化推進プログラムを開始し、IT新改革戦略に掲げられた教育の情報化における4つの目標に沿ったテーマで調査研究が行われている。本調査研究は、10校以上の学校の参画を得て行われており、普遍性に配慮して実施されている。
本事業では、校務情報化や教員のICT指導力の向上、新しい情報機器を使った教育方法の開発等の研究成果について、平成21年度までに普及することまで視野に委託している事業であり、教育の情報化が一層促進され、IT新改革戦略の目標達成や新学習指導要領の円滑な実施に資すると判断される。
本事業は、平成21年度において、新規・拡充要求を予定しているが、本事業において得た成果が普及されることで、IT新改革戦略の目標達成だけでなく、来年度から実施される新学習指導要領の円滑な実施、校務の情報化の一層の促進による、教員の負担軽減等その効果は極めて大きいものと考えられる。
同様の事業を自治体主体で実施するには、事業内容が極めて先導的なものであることから重大な困難が予想され、自治体が単独で事業を行うことはなじまない。
調査研究が実施される学校は、小・中・高等学校等の学校種別や、国立・私立等の設置者別について全てのカテゴリを対象としており、公平性に配慮している。
昨今、子どもたちの情報モラルの育成が重要課題とされているほか、IT新改革戦略に掲げられた平成22年度までの目標達成、新学習指導要領の円滑な実施のためにも本事業は不可欠かつ緊急に実施すべきものであり、極めて優先性が高いものと考えている。
以上から判断し、本事業は極めて優先性が高くかつ目的に沿った事業であると考えており、平成21年度においても、引き続き事業を継続しつつ、情報モラル等新たな課題にも対応するため、必要な部分を拡充していくべきこととする。また、直近の教育の情報化の進捗状況を踏まえつつ、21年度概算予算要求に反映する。
評価結果は妥当。
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --