施策目標11-2 生涯スポーツ社会の実現

(基準年度:13年度・達成年度:22年度)

  国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現する。

主管課(課長名)

  • スポーツ・青少年局生涯スポーツ課(坂元 譲次)

関係課(課長名)

 

評価の判断基準

  各達成目標の平均から判断する。

  • S=3.4~4.0
  • A=2.6~3.3
  • B=1.8~2.5
  • C=1.0~1.7

平成19年度の状況と総合評価結果

  施策目標11‐2「生涯スポーツ社会の実現」については、国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現することを目的に施策を進めてきた。評価結果については、以下の各達成目標の結果から、「想定どおり順調に進捗している」と判断。

達成目標11‐2‐1 A

  平成19年7月現在、48.9パーセントの市区町村において総合型地域スポーツクラブが育成されていることより、「想定どおり順調に進捗している」と判断。

達成目標11‐2‐2 A

  平成19年度に実施した「スポーツ指導者の養成・活用に関する実践的調査研究」における調査研究結果において、地域におけるスポーツ指導者の新規登録や広域圏におけるスポーツ指導者に関する情報提供システムの構築といった成果が得られ、これまでに41都道府県で設置されているスポーツリーダーバンクの未設置県であった秋田県、兵庫県においては、本事業を通じて、スポーツリーダーバンクが新たに設置されるなど指導者の養成や活用方策の充実が着実に図られたことより「想定どおり順調に進捗している」と判断。

総合評価結果

  A

必要性・有効性・効率性分析

必要性の観点

   総合型地域スポーツクラブが単なるスポーツクラブとしての機能だけでなく、地域の交流拠点としての機能を有していることに鑑み、総合型地域スポーツクラブが核となって地域が有する様々な課題を解決する方策を検討し、その成果を全国に普及することは、地域におけるスポーツ振興だけでなく、地域住民の健康の保持増進や体力の向上、家庭のふれあい世代間交流による青少年の健全育成、放課後・学校週5日制の受け皿、地域の教育の再生からの観点からも大きな意義を有する。スポーツ振興基本計画においては、生涯スポーツ社会の実現の到達目標の1つとして、平成22年までに、全国の各市区町村において少なくとも1つは総合型地域スポーツクラブを育成することとしていることから、残り約50パーセントの市区町村に総合型地域スポーツクラブを設立する必要がある。

  スポーツ指導者については、スポーツを気軽に楽しみたい人や健康増進を目的として運動・スポーツを行いたい人に対応できる指導者が少ないなど、スポーツ指導を受ける側と指導者側のニーズにギャップがあるなどの新たな課題が明らかになり、また、総合型地域スポーツクラブの全国展開などにより、質の高い技術・技能を有するスポーツ指導者に対するニーズが増加するとともに、そのニーズの高度化・多様化が指摘されており、スポーツ振興、生涯スポーツ社会の実現に当たって、指導者が果たす役割は大きくなっている。このような状況を鑑みれば、地域の実態や住民のニーズに応じた人材を育成することを目的として、指導者の養成・確保の推進を図る必要がある。

有効性の観点

   「平成19年度総合型地域スポーツクラブに関する実態調査」(平成20年3月文部科学省)によると、クラブ設立による地域の変化は、「地域住民間の交流が活性化した」が47.4パーセント、「世代を超えた交流が生まれた」が53.6パーセント、「地域住民のスポーツ参加機会が増えた」が48.4パーセントとなっており、総合型地域スポーツクラブの全国展開は地域の活性化に寄与するものであり、生涯スポーツ社会の実現のために非常に有効である。

効率性の観点

事業インプット

  • 生涯スポーツ社会の実現に必要な経費 1,183百万円(平成19年度予算額)
    • 総合型地域スポーツクラブの育成・支援 803百万円
    • スポーツ指導者の養成・活用の推進 94百万円
    • その他 286百万円

事業アウトプット

  本事業の実施により、1国民の誰もが生涯を通じていつでも身近にスポーツに親しむことができる環境が整備される、2地域住民のニーズ等に応じた質の高い指導ができる人材が充実、といった効果が見込まれる。

事業アウトカム

  「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」のほか、「総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業」を行うことで、全国の400クラブの育成が促進されるとともに、総合型地域スポーツクラブが核となり、子どもや女性、障害者、高齢者等のスポーツへの参加機会の確保等地域が有する課題を解決することができ、国民の誰もが身近にスポーツを親しむことができる生涯スポーツ社会の実現が期待される。
  以上より、事業の波及効果も認められ、効率性の観点から見ても妥当である。

今後の課題及び政策への反映方針

予算要求への反映

  これまでの取組を引き続き推進

具体的な反映内容について

  達成目標11‐2‐1について、総合型クラブ未設置市町村の課題分析及び課題解決に向けた取組を検討する。
  達成目標11‐2‐2について、引き続き、全国体育指導委員研究協議会の開催を通じて、スポーツ指導者の質の向上を図るとともに、地域の実態・住民のニーズに応じた指導ができる指導者を育成できる仕組みづくりについて検討する。

関係する施政方針演説等内閣の重要施策(主なもの)

「教育振興基本計画」(平成20年7月1日閣議決定)

第3章(3)4いつでもどこでも学べる環境をつくる

◇地域における身近なスポーツ環境の整備

  心身の健全な発達に重要な役割を果たすスポーツに国民のだれもが生涯を通じていつでも身近に親しむことができる環境を整備するため,総合型地域スポーツクラブ等,地域における総合的なスポーツの場の育成・整備をはじめとした取組への支援を推進する。また,地域住民のニーズ等に応じた質の高い指導ができる人材の養成・確保・活用を促す。このような取組を通じ,成人の週1回以上のスポーツ実施率を50パーセントとすることを目指す。

「経済財政改革の基本方針2007」(平成19年6月19日閣議決定)

第4章 持続的で安心できる社会の実現

6.多様なライフスタイルを支える環境整備

  誰もがスポーツに親しめる環境の整備を進め、生涯スポーツ社会の実現を図る。

「新健康フロンティア戦略」(平成19年4月18日新健康フロンティア戦略賢人会議)

第1部.国民自らがそれぞれの立場に応じて行う健康対策

9.運動・スポーツの振興(スポーツ力)

  (1)外遊びやスポーツを通じた子どもの体力の向上

  2.家庭や地域ぐるみで身近に運動・スポーツに親しむことができる環境の整備

  • 総合型地域スポーツクラブの全国展開
  • 屋外運動場の芝生化・維持・管理の取組の充実 等

「スポーツ振興基本計画」(平成12年9月13日(平成18年9月21日改定)文部科学省)

1.生涯スポーツ社会の実現に向けた、地域におけるスポーツ環境の整備充実方策

A.政策目標達成のため必要不可欠である施策

    総合型地域スポーツクラブの全国展開

B.政策目標達成のための基盤的施策
  • (1)スポーツ指導者の養成・確保・活用
  • (2)スポーツ施設の充実
  • (3)地域における的確なスポーツ情報の提供
  • (4)住民のニーズに即応した地域スポーツの推進

関連達成目標

  なし

政策評価担当部局の所見

  達成目標11‐2‐2について、スポーツ指導者の質を把握するための指標を設定することを検討すべき。

達成目標11‐2‐1

  国民の誰もが生涯にわたりスポーツに親しむことができる環境を整備する。

(基準年度:13年度・達成年度:22年度)

1.評価の判断基準

判断基準 総合型地域スポーツクラブが育成されている市区町村の割合
  • S=60.0%以上
  • A=45.0%~60.0%未満
  • B=35.0%~45.0%未満
  • C=35.0%未満

2.平成19年度の状況

  地域住民が自主的・主体的に運営し、子どもから高齢者まで誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも身近に多様なスポーツに親しむことができる総合型地域スポーツクラブの全国展開を推進するため、全国的な組織基盤を有する民間スポーツ団体を活用して、効率的な総合型地域スポーツクラブの育成を図る「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」や、スポーツを取り巻く新たな課題を解決するため、広域スポーツセンターの機能を活用する「総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業」等を実施した。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
総合型地域スポーツクラブが育成されている市区町村の割合 17.4% 22.5% 33.0% 42.6% 48.9%
【参考】総合型地域スポーツクラブ数(育成中を含む) 833 1,117 2,155 2,416 2,555
【参考】総合型地域スポーツクラブを育成している市区町村 558 702 783 786 894
【参考】広域スポーツセンターが育成されている都道府県数 40 41 42
【参考】総合型地域スポーツクラブ設立により世代を超えた交流が生まれたと回答した割合     56.3% 56.4% 53.6%
【参考】地域住民のスポーツ参加機会が増えたと回答した割合         48.4%
【参考】総合型地域スポーツクラブ設立により元気な高齢者が増えたと回答した割合     33.2% 36.1% 36.8%
【参考】成人の週1回以上運動・スポーツ実施率 38.5%     44.4%  

指標に用いたデータ・資料等

  • 文部科学省調べ「総合型地域スポーツクラブに関する実態調査」
  • 内閣府「体力・スポーツに関する世論調査」(平成18年8月実施)より文部科学省推計

指標の設定根拠

  地域住民が自主的・主体的に運営する「総合型地域スポーツクラブ」は、子どもから高齢者まで誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができるスポーツ環境として、生涯スポーツ社会の実現に大きな役割を担っているものである。このため、当該達成目標を測る指標として、「総合型地域スポーツクラブ」が育成されている市区町村の割合を設定する。

3.評価結果

  A

判断理由

  平成19年7月現在、48.9パーセントの市区町村において総合型地域スポーツクラブが育成されていることより、「想定どおり順調に進捗している」と判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  平成18年9月に改定した「スポーツ振興基本計画」においては、生涯スポーツ社会の実現の到達目標の1つとして、平成22年までに、全国の各市区町村において少なくとも1つは総合型地域スポーツクラブを育成することとしていることから、残り約50パーセントの未設置市区町村の総合型地域スポーツクラブ設置に向けて効果的な取組を行う必要がある。

  →予算、機構定員等への考え方

  総合型クラブ未設置市町村の課題分析及び課題解決に向けた取組の検討

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
総合型地域スポーツクラブ育成推進事業(738百万円) 子どもから高齢者まで、地域住民の誰もが身近にスポーツに親しむことができる場となる総合型地域スポーツクラブの全国展開を一層推進する。 委託したもののほか、その波及効果によるクラブを含め、平成18年7月から平成19年7月までの間に、全国でクラブ数が139増加 継続
総合型地域スポーツクラブ充実・強化のための環境整備等(6百万円) 総合型地域スポーツクラブマネージャー研修会、全国広域スポーツセンター育成連絡協議会の開催 総合型地域スポーツクラブマネージャー研修会及び全国広域スポーツセンター育成連絡協議会を各1回開催 継続
総合型地域スポーツクラブを核とした活力ある地域づくり推進事業(69百万円) スポーツを取り巻く様々な課題を解決するため、広域スポーツセンターの機能を活用し、総合型地域スポーツクラブを核としたモデル事業を実施する。 広域スポーツセンターを設置する都道府県教育委員会等9地域において、モデル事業を実施し、総合型クラブを核とした課題別プロジェクトを実践した。 継続
スポーツ参加促進のための普及啓発(155百万円) 全国スポーツ・レクリエーション祭等の開催 全国スポーツ・レクリエーション祭は平成19年9月に青森県で開催され、参加者(選手・監督等)数が4,326人であった。 継続

達成目標11‐2‐2

  質、量ともに国民のニーズに対応できるスポーツ指導者の確保・活用を推進する。

(基準年度:13年度・達成年度:22年度)

1.評価の判断基準

判断基準 質、量ともに国民のニーズに対応できるスポーツ指導者の確保・活用の進捗状況
  • S=大幅に図られた。
  • A=着実に図られた。
  • B=十分には図られなかった。
  • C=図られなかった。

2.平成19年度の状況

  全国体育指導委員研究協議会や野外活動指導者研修会等を開催し、スポーツ指導者の研修の充実や指導者間の情報交換を図るとともに、「スポーツ指導者の養成・活用に関する実践的調査研究」を実施した。また、財団法人日本体育協会と加盟団体等が実施するスポーツ指導者養成事業により認定された指導者やスポーツ振興法に基づく体育指導委員、各自治体が養成する指導者、公共スポーツ施設の専門指導員等、各主体によりニーズに合わせた様々なスポーツ指導員が養成されてきた。また、指導者情報の登録・提供システムが構築された。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
【参考】体育指導委員数 61,480 60,836 58,394 55,605 54,825
【参考】スポーツリーダーバンク設置都道府県数 38 41  

指標に用いたデータ・資料等

  • 社団法人全国体育指導委員連合調べ
  • 文部科学省スポーツ・青少年局生涯スポーツ課調べ

指標の設定根拠

  スポーツ指導者の確保、活用の充実は一義的には地方が中心となり推進する役割を担っていること、また、スポーツ指導者の質の向上を具体的に示す指標の設定が困難なことから、国において実施している調査研究の成果等により質、量ともに国民のニーズに対応できるスポーツ指導者の確保・活用の進捗状況を定性的に評価する。

3.評価結果

  A

判断理由

  平成19年度に実施した「スポーツ指導者の養成・活用に関する実践的調査研究」における調査研究結果において、地域におけるスポーツ指導者の新規登録や広域圏におけるスポーツ指導者に関する情報提供システムの構築といった成果が得られ、これまでに41都道府県で設置されているスポーツリーダーバンクの未設置県であった秋田県、兵庫県においては、本事業を通じて、スポーツリーダーバンクが新たに設置されるなど指導者の養成や活用方策の充実が着実に図られたことより「想定したとおり順調に進捗している」と判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  スポーツを気軽に楽しみたい人や健康増進を目的として運動・スポーツを行いたい人に対応できる指導者が少ないなど、スポーツ指導を受ける側と指導者側のニーズにギャップがあるなどの新たな課題に対する地域の多様なニーズに応じた指導者の育成・研修プログラムの開発を検討する必要がある。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
指導者養成研修会の開催等
(20百万円)
全国体育指導委員研究協議会、野外活動指導者研修会の開催等 【開催地】
  • 全国体育指導委員研究協議会:新潟県
  • 野外活動指導者研修会:岩手県
継続
スポーツ指導者の養成・活用に関する実践的調査研究
(74百万円)
質の高い技術・技能を有するスポーツ指導者の養成およびその効果的な活用を図るための実践研究をはじめとする調査研究を実施 【調査研究委託地域】
6地域
廃止

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