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施策目標9-2 研究成果の創出と産学官連携などによる社会還元のための仕組みの強化

(基準年度:19年度・達成年度:24年度)

  世界最高水準の研究成果や、新たなブレークスルーをもたらす優れた研究成果を生み出すとともに、イノベーションを通じて研究成果を社会的価値・経済的価値として発現させ、社会・国民に還元する。

主管課(課長名)

  • 研究振興局研究環境・産業連携課(田口 康)

関係課(課長名)

  • 科学技術・学術政策局基盤政策課 (川端 和明)
  • 研究振興局基礎基盤研究課(大竹 暁)

評価の判断基準

  各達成目標の平均から判断(S=4、A=3、B=2、C=1として計算)。

  • S=3.4~4.0
  • A=2.6~3.3
  • B=1.8~2.5
  • C=1.0~1.7

平成19年度の状況と総合評価結果

達成目標9‐2‐1:A

  戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発事業(公募分)を含む)においては、新たな研究領域の設定、間接経費の拡充のための予算を確保し、対前年度比6.5億円増(1.4パーセント増)となる486億円を措置している。それに伴い、戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発事業(公募分)を含む)における課題数は、全体では、対前年度比87課題増(10パーセント増)となる970課題であり、順調に増加し、競争的環境の整備が実現されてきている。また、戦略的創造研究推進事業における作業標準を定め、担当課が、戦略的創造研究推進事業の内、その所掌する分野の事業についての関与を深めることで研究成果を活用することがより一層円滑にできるようにするなど、より効果的な研究成果の創出のための制度改正を進めた。このことにより、例えば、「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」などの革新的な研究成果に対して、迅速な支援策を講じることができた。以上のことから、順調に進捗しているといえる。

達成目標9‐2‐2:A

  大学知的財産本部の整備、産学官連携コーディネーターの配置、大学等の研究成果を基にした共同研究や技術移転に係る研究開発の推進により、大学等における知的財産、産学官連携活動は飛躍的に進展している。
  例えば、大学等と企業等との共同研究実績に着目すると、共同研究件数、共同研究受入金額とも、前年度よりそれぞれ約1,500件、約30億円増加した。この他、大学等における企業等からの受託研究実績や特許実施実績についても順調に推移している。また、大学等発ベンチャーの年間設立件数は、年間170社以上の設立実績があることから、大学等における起業化支援体制が徐々に整ってきていると思われる。
  以上のことから、総合的に見れば、本達成目標は概ね順調に進捗している。

  各達成目標の評価は、それぞれA、Aであるため、総合評価はA評価と判断した。

  評価結果:A

必要性・有効性・効率性分析

必要性の観点

  世界がグローバル化する現代において、世界各国は国際競争力を高めるため、技術革新を原動力としたイノベーションの重要性に対する認識を高めている。資源に乏しい我が国が、人口減少下においても持続的な成長を達成し、国際競争に打ち勝つためには、民間では生まれにくい基盤技術や新たな知見を創出する「知」の拠点たる大学等において、世界最高水準の研究成果を創出し、それらを産学官連携などにより効果的に社会へ還元することで、持続的なイノベーションの創出を図る必要がある。
  そのため、戦略的創造研究推進事業については、競争的資金の拡充により競争的環境の整備を進めるとともに、透明性の高い評価の実施、間接経費の拡充という「科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)及び「競争的研究資金制度改革について(意見)」(平成15年4月21日、総合科学技術会議)の方針を踏まえ、引き続き改革に取り組み、基礎研究において優れた研究成果が得られるよう努めることが求められている。
  また、大学等の研究成果には、長期間を経た後に実用化され、将来的に革新的な基本特許につながる可能性のあるものが含まれている。したがって、そのような発明について、成果を発展させ、社会的価値、経済的価値として社会に還元するためには、大学等における組織的、戦略的な産学官連携活動を促進しなければならない。さらに、これまで大学等で取り組まれてきた産学官連携活動が失速することなく、知的財産戦略などが持続的に展開されるよう、その主体的かつ多様な取組を支援することなどが求められている。

有効性の観点

  達成目標9‐2‐1については、「ヒト人工多能性細胞(iPS細胞)」の樹立等、国際的に大きな成果も出ており、着実に研究成果があがっている。
  達成目標9‐2‐2については、これまで以下のような施策の成果が現れている。
  例えば、大学知的財産本部整備事業を呼び水として、平成19年度までに大学知的財産本部整備事業選定機関を含め、173の大学等において知的財産、産学官連携活動体制が整備された。また、産学官連携活動高度化促進事業において、平成19年度における産学官連携コーディネーターが関与した特許実施件数は116件であり、平成14年度に比べて95件増加するなど、産学官連携コーディネーターの活動は、我が国の産学官連携の推進に大きく寄与している。さらに、独創的シーズ展開事業(大学発ベンチャー創出推進型)等の実施により、平成11年度から平成18年度までに累計で1.574社の大学発ベンチャーが創出されるなど、文部科学省が実施する産学官連携施策による成果は飛躍的に進展している。
  現在は、各大学等の主体的で多様な取組を支援するとともに、独立行政法人科学技術振興機構(JST)において、大学等の研究成果を基にした共同研究や起業化、事業展開のための研究開発を推進するなど、我が国の知的財産活動をはじめとする産学官連携活動全体の質の向上を図っている。これらの取組を実施することで、今後、我が国における産学官連携活動のさらなる進展が図られ、大学等における研究成果の円滑な社会還元が見込まれる。

効率性の観点

事業インプット

  • 産学官連携による新産業創出に必要な経費 3,973百万円(平成19年度予算額)
    産学官連携活動高度化促進事業 906百万円
    大学知的財産本部整備事業 2,955百万円 等

事業アウトプット

  • 全国40程度の大学等において、国際的な産学官連携体制の整備等、多様な知的財産活動体制を構築した。
  • 全国80程度の大学等に、大学等から産業界、地域社会に対し知識の移転、研究成果の社会還元を果たすための専門人材(産学官連携コーディネーター)を配置した。
  • 大学等の研究成果を基にした共同研究や技術移転に係る研究開発を推進した。
  • 大学等の海外特許出願を約1,200件支援するなど、大学等の技術移転活動を総合的に支援した。

事業アウトカム

  • 本施策目標の達成により、全国の大学等において産学官連携体制の整備が図られ、我が国の産学官連携活動全体の質が向上する。また、大学等において創出された世界最高水準の研究成果が効果的に社会へ還元されることで、持続的なイノベーションの創出による我が国の競争力強化が図られる。

今後の課題及び政策への反映方針

予算要求への反映

  これまでの取組を引き続き推進

具体的な反映内容について

  達成目標9‐2‐1については、今後も「政策に基づき将来の応用を目指す基礎研究」を推進するための戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発事業(公募分)を含む)の拡充を目指しつつ、必要な機能を追加させることで、競争的環境の整備に向けた動きを定着させる。また、研究成果が生み出され活用されるための制度改革は順調に進捗されたものの、更に改善するべく、研究総括をはじめ、マネジメントの仕方の見直しを検討するとともに、採択課題の多様性の確保に努め、必要な機能を追加していく。

  達成目標9‐2‐2については、以下の取組を推進する。国として政策的な観点から積極的に促進すべき大学の活動を支援する。具体的には、「経済財政改革の基本方針2008」等に基づき、「地域中核産学官連携拠点」及び「グローバル産学官連携拠点」において、拠点における持続的・発展的なイノベーション・エコ・システムを構築するために必要な大学の体制を整備する。さらに、医薬品・医療機器に特化した大学発ベンチャー創出支援体制、特許ポートフォリオの構築体制を整備する大学等を支援する。
  また、産学官連携拠点の形成支援を図るため、拠点に対する重点的な研究開発支援を行う。このため、従来の事業をより柔軟な形で適用し、研究成果や研究開発課題の内容に応じた最適なファンディングを可能とすることで、大学等の研究成果の効率的な企業化を図る。
  さらに、若手研究者等を対象とした大学発ベンチャー創出支援による起業家としてのキャリアパスの形成、実施例追加のための研究開発支援を行うことによる強い特許の創出などを図る。

関係する施政方針演説等内閣の重要施策(主なもの)

第169回国会における福田内閣総理大臣施政方針演説(平成20年1月18日)

記載事項(抜粋)

技術革新の加速

   世界最高水準の研究拠点の整備を進めるとともに、研究成果を適切に保護し、成長につなげていくため、知的財産戦略を着実に実行します。

経済財政改革の基本方針2008(平成20年6月27日)

記載事項(抜粋)

第2章 成長力の強化

  1.経済成長戦略
  3 革新的技術創造戦略

  革新的技術戦略

  • 研究開発初期段階からの戦略的な知的財産の創造・保護・活用を始め、出口を見据えた研究開発マネジメントを実現する

関連達成目標

  なし

備考

  平成19年度総合評価において「大学等の研究成果を社会還元するための知的財産戦略・産学官連携システムに関する総合評価」を実施済み。

政策評価担当部局の所見

  達成目標9‐2‐1の指標については、可能な限り定量的な指標となるよう努めるべき。

達成目標9‐2‐1

  「政策に基づき将来の応用を目指す基礎研究」を推進するための競争的資金である戦略的創造研究推進事業を引き続き拡充することを目指すとともに、その研究成果が生み出され活用されるよう制度改革を進めること等によって、世界最高水準の研究成果や新たなブレークスルーをもたらす優れた研究成果を生み出す。

(基準年度:19年度・達成年度:24年度)

1.評価の判断基準

  各判断基準を総合的に評価する。

判断基準 世界最高水準の研究成果や新たなブレークスルーをもたらす優れた研究成果を生み出す
  • S=優れた研究成果を多く生み出した。
  • A=優れた研究成果を生み出した。
  • B=優れた研究成果をある程度生み出した
  • C=優れた研究成果をあまり生み出さなかった。

2.平成19年度の状況

  戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発事業(公募分)を含む)においては、新たな研究領域の設定、間接経費の拡充のための予算を確保し、対前年度比6.5億円増(1.4パーセント増)となる486億円を措置しており、順調に増加していると言える。それに伴い、戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発事業(公募分)を含む)における課題数は、全体では、対前年度比58課題増(7パーセント増)となる855課題であり、順調に増加していると言える。各事業においては、CREST(戦略的創造研究推進事業)で対前年度比6課題増(2パーセント増)となる369課題、さきがけで対前年度比74課題贈(27パーセント増)となる344課題、ERATO(戦略的創造研究推進事業)で対前年度比5課題贈(25パーセント増)の25課題、ICORP(国際共同研究)で対前年度同数の10課題等である。

戦略的創造研究推進事業

  戦略目標を達成できるような適切な研究マネジメントを行うため、以下のような業務改善に努めた。
  まず、ERATOは、リスクは高くとも、イノベーションに富んだアイデアとそれを実現しうる研究者を積極的に採択しうる選考方法として、従前の合議制から、1分野について1名の評価者が研究課題を選定する手法を導入した。
  次に、国際化への取り組みとして、ERATOでは事前評価において、選考パネルに外国人有識者を加えた。戦略目標の達成に向けた取り組み状況の国際的認知度を高め、事業の推進に有益な海外研究者の協力を得やすい環境作りを行うため、新たにシンポジウム開催、国際共同研究等の国際強化支援策を講じた。
  更に、提案書の能力を適切に評価し、成果の得られる課題が採択されるように、平成19年度からは、関連論文リストに加え、さらに特筆すべき受賞歴等を記載する提案様式を用いることとし、関連論文については、審査期間中、評価者が直接かつ迅速に参照できる体制とした。また、公正で透明な評価を行う観点から、被評価者の利害関係者の審査参加を明確に排除することにした。

  研究成果を得ることで政策目的を実現するという目的基礎研究制度としての戦略的創造研究推進事業の意義をさらに定着させていたくために、以前は、戦略目標策定時にしか関係していなかった担当課(個々の戦略目標に係る事項を所掌する課室)が、その後の所掌する分野の当該事業についても主体的に関与することとした。具体的には、作業標準を定め、担当課が現在の研究状況について常に把握できる体制を整えるため、担当課と独立行政法人科学技術振興機構の研究開発戦略センター(CRDS)及び戦略的創造事業本部において、より緊密な連携を図ることを目的として、年3回程度定期意見交換会を開催することを決定した。特に、戦略目標策定時にCRDSの調査分析を今までも活用してきたが、担当課とCRDSの両者の連携がうまくいかなかったため、CRDSの調査分析が活用されないこともあった。CRDSの調査活動に対するアンケートを参考にするなど、両者の連携を構築している。また、2008年7月のG8北海道洞爺湖サミットに向けて、環境分野における戦略目標を定めることとし、そのために必要な調査分析活動をCRDSに依頼し、これを活用して環境に関する戦略目標(持続可能な社会に向けた温暖化抑制に関する革新的技術の創出)を策定した。
  これにより、例えば、以下に記述する「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」や「新系統の高温超伝導物質」等の研究において、各担当課が文部科学省の内局事業や他の独立行政法人の事業だけではなく、戦略的創造研究推進事業の政策にも関与できるようになり、当該研究の政策を一元的に練ることができるようになった。すなわち、研究成果を活用することがより一層円滑にできるようになったといえる。

  1論文当たりの被引用数が、日本全体や主要国と比較して顕著であるとともに、国際的な科学賞の受賞数(71件)、招待講演数(858件)であることから、本事業の研究が国際的に高い水準にあると言え、実施機関である科学技術振興機構の中期計画で掲げた目標の達成が見込まれると考える。
  平成19年度に終了した研究領域の事後評価で戦略目標の達成に向けた研究成果の状況を評価し、18領域中14領域の研究領域が「戦略目標の達成に資する十分な成果が得られた」との評価結果が得られ、中期計画に掲げた目標(評価対象研究領域全体の6割以上)の達成が見込まれると考えられる。
  更に、終了して1年を経過した研究領域の成果展開調査で、8割以上(13領域12領域)の研究領域で成果の展開が行われたとの結果が得られ、中期計画で掲げた目標(対象研究領域全体の8割以上)の達成が見込まれる。

  平成19年11月に、CREST研究領域で京都大学山中伸弥教授が「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」の樹立に成功した。これは、世界的に大きなインパクトを与えた特筆すべき研究成果である。この国際的な大成果を支援するため、文部科学省の方針に基づき、効果的な支援策「iPS細胞等の細胞リプログラミングによる幹細胞研究戦略事業プログラム」を設け(プレス発表平成19年12月22日)、さらに、iPS細胞を中心とした多能性の幹細胞研究の現状と今後の展望について広く研究者の理解を深め、我が国のこの分野に関する研究活動の加速と拡充につなげることを目的に、特別シンポジウム「多能性幹細胞研究のインパクト-iPS細胞研究の今後-」を開催するなど事業運営に反映し、迅速に対応することで国を挙げての取組みの本格化に寄与した。
  平成20年2月には、SORST研究領域で東京工業大学細野秀雄教授が、「新系統の高温超伝導物質」を発見したため、東京工業大学等と連携して、特別研究チームの発足やシンポジウムの開催など本研究の一層の推進を図るための措置をとることにした。
  さらには、ERATO領域で大阪大学石黒浩教授が、全身に柔軟な関節と、高感度触覚センサーを備えた柔らかな皮膚を持つヒューマノイドロボットを開発に成功、CREST領域では、自治医科大学ゲノム機能研究部教授間野博行教授が、高精度の診断法と新たな治療戦略に寄与する肺がんの原因遺伝子を発見、東京大学医科学研究所清野教授が各種の感染症に対し、消化器や呼吸器の粘膜を介して効果的に吸収される経口型の粘膜ワクチンを開発した。ICORP領域では、川人光男ATR脳情報研究所所長が、世界で初めて、サルの大脳皮質の活動により制御されるヒューマノイドロボットの二足歩行(日米間での脳活動情報伝送によりサルの歩行をロボットで再現)を実現させ、SORST領域では、東京海洋大学吉崎悟朗教授が魚類精原幹細胞株からの個体の作出に成功した。

社会技術研究開発事業

  平成18年度に実施した事業運営見直しに基づいて、現実の社会問題の解決に資する成果の得られる仕組みづくりに努めた。実施した研究開発プログラムについては、輸入コンテナトレーラートラックの横転を防止するために開発した限界速度検知システムの製品化に向けたトラックメーカーとの共同開発への展開や、学習困難児の療育を目的として開発したeラーニングシステムの地域社会への実装など、社会問題の解決に資する技術の実現に向けて一定の成果が得られている。

  以上を総合的に判断すると、順調に進捗していると言える。

参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発事業(公募分)を含む)の事業額 44,689百万円 46,329百万円 47,595百万円 47,976百万円 48,626百万円

指標に用いたデータ・資料等

   データ:(独立行政法人科学技術振興機構調べ)

参考指標の設定根拠

  「政策に基づき将来の応用を目指す基礎研究」を推進するための競争的資金である戦略的創造研究推進事業の世界最高水準の研究成果や新たなブレークスルーをもたらす優れた研究成果を生み出すためには当該事業を引き続き拡充することが必要である。従って、定量的な一指標として、戦略的創造研究推進事業の事業額を使用する。

3.評価結果

  A

判断理由

  従前より文部科学省にて、戦略的創造研究推進事業の事業改善を検討した結果、担当課を当該事業に深く関与することが非常に重要という結論に到達した。この制度改革に踏み切ったのは、非常に有効であるといえる。平成19年度においても、「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」や「新系統の高温超伝導物質」等の研究において、各担当課が文部科学省の内局事業や他の独立行政法人の事業だけではなく、戦略的創造研究推進事業の政策にも関与できるようになり、当該研究の政策を一元的に練ることができるようになった。また、平成19年度は、「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」の樹立、「新系統の高温超伝導物質」等国際的に評価される成果が多数出た。
  上記のことを踏まえ、判断基準に照らした結果、Aとなった。

  従って、達成目標9‐2‐1は「想定通り順調に進捗」と考えられる。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  今後も「政策に基づき将来の応用を目指す基礎研究」を推進するための戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発事業(公募分)を含む)の拡充を目指しつつ、必要な機能を追加させることで、世界最高水準の研究成果や新たなブレークスルーをもたらす優れた研究成果を生み出すことに貢献する。

  また、研究成果が生み出され活用されるための制度改革は順調に進捗されたものの、更に改善するべく、研究総括をはじめ、マネジメントの仕方の見直しを検討するとともに、採択課題の多様性の確保に努め、必要な機能を追加していく。

  →予算要求への考え方

  「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」の樹立のような大きな成果が年度途中に出たときに、緊急かつ迅速に対応できるシステムの構築を図る。

  「新系統の高温超伝導物質」の発見のように社会ニーズに明確に繋がる大きな成果を、企業化開発経験を持つ優れたPMのマネジメントの下継続的に支援し、基礎研究から企業化までを見据えたシームレスな支援を実現するため、戦略的創造研究推進事業の研究成果を企業化まで強力に推し進める施策を構築する。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
独立行政法人科学技術振興機構による戦略的創造研究推進事業
(47,387百万円)
今後の科学技術の発展や新産業の創出につながる新技術を産み出すことを目的とし、社会・経済ニーズを踏まえ国が設定した戦略目標の下、基礎研究を戦略的に推進する。 戦略的創造研究推進事業において、平成19年度は5つの新たな戦略目標、及び平成18年度に定めた1つの戦略目標の下に6つの研究領域を設定し、平成17、18年度に発足した18の研究領域と合わせて、24の研究領域にて産官学各界の研究者から研究提案を募集した。その結果、最終的に全体で2,156件の応募があり、募集・選考を経て、176件を採択した。 継続
独立行政法人科学技術振興機構による社会技術研究開発事業(公募型)
(1,240百万円)
自然科学や人文・社会科学を含む横断的・俯瞰的なアプローチにより、社会における具体的問題の解決に資する研究開発を進める。 3つの研究開発領域にて公募を実施し、114の応募の中から17件の課題を採択した。また研究開発成果実装支援プログラムにて公募を実施し、14件の応募の中から5件の実装支援対象を採択した。 継続

達成目標9‐2‐2

  大学等の研究成果を円滑に社会へ還元し、社会的価値、経済的価値へつなげるため、大学等における組織的、戦略的な産学官連携活動を促進する。

(基準年度:19年度・達成年度:24年度)

1.評価の判断基準

  各判断基準の結果から総合的に判断する。

大学等における企業等との連携活動実績

判断基準1 共同研究、受託研究、特許実施の各実績から総合的に判断(指標1から判断)
  • S=全ての指標において対前年度以上
  • A=2つの指標において対前年度以上
  • B=1つの指標において対前年度以上
  • C=全ての指標において対前年度比減

大学等発ベンチャー実績

判断基準2 大学等発ベンチャーの年間設立実績(指標2から判断)
  • S=対前年度比20%以上の増加または年間設立件数が200社以上
  • A=対前年度比10%以上の増加または年間設立件数が170社以上
  • B=前年度と同程度または年間設立件数が140社以上
  • C=前年度以下
  • ※ 大学等発ベンチャーの売上げ実績、雇用実績等を今後可能な限り調査し、判断指標とする。
  • ※ 大学等には高等専門学校及び大学共同利用機関を含む。

2.平成19年度の状況

  平成19年度は、大学等における知的財産、産学官連携活動を支援し、研究成果の社会還元を図るため、引き続き、以下の取組を行った。
  「大学知的財産本部整備事業」では、実施機関における、知的財産、産学官連携活動体制の整備を支援するとともに、新たに、国際的な産学官連携の推進体制を整備するため、事業対象である43機関のうち17機関を実施機関に選定し、支援を行った。
  「産学官連携活動高度化促進事業」では、地域の知の拠点再生担当及び目利き・制度間つなぎ担当コーディネーターの重点配置を行い、大学等と地域の企業や地方公共団体等との連携による大学等の知を活用した地域再生に資するための取組を促進するとともに、大学等における優れた研究成果を切れ目なく実用化につなぐための取組を行った。
  「産学共同シーズイノベーション化事業」及び「独創的シーズ展開事業」では、平成18年度に引き続き、大学等の基礎研究に基づく共同研究や特許化された研究成果の実用化に向けた研究開発を支援した。平成19年度から新たに、「独創的シーズ展開事業」において、研究開発型ベンチャーを活用した企業化開発を推進するため、革新的ベンチャー活用開発型を新設した。
  「技術移転支援センター事業」では、平成18年度に引き続き、大学等の海外特許出願や目利き人材育成を支援するとともに、研究成果を切れ目無く実用化につなぐ仕組みを構築するなど、大学等における技術移転活動の総合的支援を行った。
  これらの施策の実施に伴い、大学等における知的財産、産学官連携活動は飛躍的に進展している。
  大学等と企業等との共同研究実績に着目すると、共同研究件数は前年度より約1,500件増加し、共同研究受入金額は前年度より約30億円増加した。
  大学等における企業等からの受託研究実績についても、受託研究件数、受入金額は、前年度よりそれぞれ約500件、約200億円増加している。1件当たりの受入金額についても、前年度より約80万円増加しており、受託研究全体のみならず、個々の研究についても規模が拡大してきており、企業等が大学等の研究開発力に注目してきていると考えられる。
  大学等における特許実施実績については、平成19年度における特許実施料収入額は前年度以下であったものの、特許実施件数は前年度に比べて約1,500件増加した。
  一方、大学等発ベンチャーの年間設立件数は、大学発ベンチャー1,000社計画達成に伴い、ここ数年減少しているものの、年間170社以上の設立実績があることから、大学等における起業化支援体制が徐々に整ってきていると思われる。

指標・参考指標

【指標1】
  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.大学等と企業等との連携活動件数(参考指標1,2,3から算出) 23,226 26,441 31,263 35,674 39,126
2.(1.)に係る企業等からの受入金額(参考指標1,2,3から算出) 108,068,406千円 128,145,660千円 159,461,685千円 179,679,848千円 201,645,259千円
3.(1.)に係る企業等からの受入金額(1件当たり(2./1.)) 4,653千円 4,846千円 5,101千円 5,037千円 5,154千円
【指標2】
  平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度
1.大学等発ベンチャー年間設立件数 190 219 236 201 170
2.大学等発ベンチャー年間設立件数の対前年度比 1.2 1.2 1.1 0.85 0.85
3.大学等発ベンチャー累積設立件数 739 958 1,194 1,395 1,565
  • ※ 設立年が不明な9社に関しては累積に含まない。
  • ※ 前年度データが9月頃に発表されるため、指標2については、他の指標より1年前のデータを用いている。
【参考指標1 共同研究実績】
  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.大学等と企業等との共同研究件数 9,255 10,728 13,020 14,757 16,211
2.大学等における共同研究受入金額 21,620,823千円 26,375,829千円 32,343,275千円 36,843,149千円 40,125,683千円
3.大学等における共同研究受入金額(1件当たり(2./1.)) 2,336千円 2,459千円 2,484千円 2,497千円 2,475千円
【参考指標2 受託研究実績】
  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.大学等における企業等からの受託研究件数 13,786 15,236 16,960 18,045 18,525
2.大学等における企業等からの受託研究受入金額 85,904,359千円 101,227,322千円 126,479,747千円 142,035,360千円 160,745,129千円
3.大学等における企業等からの受託研究受入金額(1件当たり(2./1.)) 6,231千円 6,644千円 7,458千円 7,871千円 8,677千円
【参考指標3 特許実施実績】
  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.大学等における特許実施件数 185 477 1,283 2,872 4,390
2.大学等における特許実施料収入 543,224千円 542,509千円 638,663千円 801,339千円 774,447千円
3.大学等における特許実施料収入(1件当たり(2./1.) 2,936千円 1,137千円 498千円 279千円 176千円

指標に用いたデータ・資料等

  • 「産学官連携実施状況調査」文部科学省
  • 「大学等発ベンチャーの現状と課題に関する調査」科学技術政策研究所

指標の設定根拠

  大学等における知的財産、産学官連携活動を評価するためには、大学等の研究成果を社会に還元した実績及び、企業等が大学等の研究開発力を活用するため、大学等と協力して研究開発に取り組んだ実績を用いる必要がある。そのため、それらを表す指標として、大学等における共同研究実績、受託研究実績、特許実施実績を合算して大学等と企業等との連携活動実績として評価した。また、大学等発ベンチャーの創出は、革新的な技術の社会還元のための重要な手段であることから、大学等発ベンチャー設立実績を併せて評価することとした。

3.評価結果

  A

判断理由

  判断基準1について、指標1における各指標は全て前年度以上となっており、想定した以上に成果が現れている。
  また、判断基準2について、指標2における平成18年度の大学等発ベンチャー年間設立件数は170社であり、おおむね順調に成果が現れている。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  大学知的財産本部整備事業などの大学等における知的財産、産学官連携活動を支援する各施策の実施により、平成19年度における大学等の共同研究件数が16,000件、特許実施件数が4,000件を超えるなど、大学等における知的財産、産学官連携活動は着実に進展してきている。
  大学等と企業等との共同研究に着目すると、件数や受入総額は増加しているものの、1件当たりの受入金額はほぼ横ばいとなっている。今後は、研究室や研究科の壁を越えて、大学等と企業等が組織的に連携した、大規模な共同研究を促進していく必要がある。受託研究についても、企業等からの受託研究件数が全体に占める割合は小さく、企業等が大学等の研究開発力を積極的に活用できるよう、大学等側も体制を整えていかなければならない。
  経済がグローバル化するのに伴い、産学官連携活動も国際的な視点で展開を図る必要があり、海外での特許権取得を推進するのみならず、外国企業等との共同研究や受託研究を推進するため、大学等における組織的、戦略的な国際化を促進しなければならない。
  一方で、地域の知や人材育成の拠点である大学等は、地域に対して、研究成果をはじめとした様々な「知」の社会還元を果たすことで、地域の振興、活性化を図る主体となるべきものであり、地域企業や自治体等を含めた地域における産学官連携体制の構築を強化していく必要がある。
  以上のような現状を踏まえ、今後は、イノベーション創出の原動力である大学等の知的財産戦略などが持続的に展開されるよう、国際的な産学官連携体制や革新的な創薬の開発などによるイノベーション創出に不可欠なバイオベンチャーを創出、育成するための環境の整備、地域における産学官連携体制を強化するなど、主体的かつ多様な特色ある取組に対する支援をはじめとして、産学官連携活動全体の質の向上を図る必要がある。

  →予算、機構定員等への考え方

  以上のような課題等を踏まえ、平成21年度は、既存の事業を引き続き着実に実施するとともに、以下の取組を推進する。
  国として政策的な観点から積極的に促進すべき大学の活動を支援する。具体的には、「経済財政改革の基本方針2008」等に基づき、「地域中核産学官連携拠点」及び「グローバル産学官連携拠点」において、拠点における持続的・発展的なイノベーション・エコ・システムを構築するために必要な大学の体制を整備する。さらに、医薬品・医療機器に特化した大学発ベンチャー創出支援体制、特許ポートフォリオの構築体制を整備する大学等を支援する。
  また、産学官連携拠点の形成支援を図るため、拠点に対する重点的な研究開発支援を行う。このため、従来の事業をより柔軟な形で適用し、研究成果や研究開発課題の内容に応じた最適なファンディングを可能とすることで、大学等の研究成果の効率的な企業化を図る。
  さらに、若手研究者等を対象とした大学発ベンチャー創出支援による起業家としてのキャリアパスの形成、実施例追加のための研究開発支援を行うことによる強い特許の創出などを図る。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
大学知的財産本部整備事業
[2,955百万円]
大学における知的財産の創造・保護・活用を組織的に実施するための基盤整備を図る。 大学知的財産本部整備事業に選定された43機関に対して、引き続き支援を行うとともに、「国際的な産学官連携の推進体制整備」を実施するため、その中から17機関を実施機関として選定し、支援を行った。 廃止
平成20年度から新たに「産学官連携戦略展開事業」を実施。
産学官連携活動高度化促進事業
[906百万円]
大学等において専門知識や実務経験を有した産学官連携コーディネーターを大学等のニーズに応じて配置し、大学等から、産業界、地域社会に対し知識の移転、研究成果の社会還元を果たす。 全国の大学等に81名の産学官連携コーディネーターを配置(そのうち、地域の知の拠点再生担当11名、目利き・制度間つなぎ担当8名)し、大学等のニーズと産業界等のシーズのマッチング等を行った。 廃止
平成20年度から新たに「産学官連携戦略展開事業」を実施。
産学共同シーズイノベーション化事業
[独立行政法人科学技術振興機構運営費交付金103,463百万円の内数]
大学等の基礎研究に潜在するシーズ候補を産業界の視点で見出し、産学共同によるシーズの顕在化を目的としたフィージビリティスタディや、官民の共同負担による最終的な製品開発までを視野に入れた共同研究を促進する。 顕在化ステージ(シーズ顕在化の可能性検証段階)において115課題に対して支援を行った。育成ステージ(実用性検証段階)において9課題に対して支援を行った。 継続
技術移転支援センター事業
[独立行政法人科学技術振興機構運営費交付金103,463百万円の内数]
大学等の海外特許出願を支援するとともに、研究成果の応用・発展性の評価分析等による「つなぐ仕組み」の構築を推進するなど優れた研究成果の技術移転活動を総合的に支援する。 (主な事業)
特許化支援事業において1,291件の支援を行った。また、特許等の研究成果を発展させ、切れ目無く実用化につなぐための「よいシーズをつなぐ知の連携システム」を構築し、64課題に対して支援を行った。この他、大学や企業等で技術移転業務に携わっている人材を対象とした目利き人材育成プログラム(21回開催)や大学等の研究成果の実用化を促進するための大学見本市(イノベーション・ジャパン2007)を開催した。
継続
独創的シーズ展開事業
[独立行政法人科学技術振興機構運営費交付金103,463百万円の内数]
大学等の独創的な研究成果のうち、国民経済上重要な新技術の企業化開発(医薬系分野等)、成長力のある大学発ベンチャーの創出、中堅・中小企業の製品構想のモデル化を推進する。 (主な事業)
独創モデル化型では14課題、委託開発型では、14課題に対して支援を行った。また、大学発ベンチャー創出推進型では、応募に際して事前調査を徹底し、15課題に対して支援を行った。さらに、研究開発型ベンチャーを活用した企業化開発を推進するため、革新的ベンチャー活用型を新設し、5課題に対して支援を行った。
継続

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