(基準年度:18年度・達成年度:22年度)
研究環境の国際化や人的ネットワーク等の国際活動の基盤を拡大することにより、研究者等の往来などの国際交流を推進するとともに、戦略的な国際共同研究や政府間会合を通じ、各国との持続的な関係の構築を促進する。
各達成目標の平均から判断(S=4、A=3、B=2、C=1として計算)
「大学国際戦略本部強化事業」等の実施により、研究環境の国際化や外国人研究者等の受入れのための制度や環境整備の推進が図られた。更なる推進を図るため、平成19年度より開始した「外国人研究者日本定着促進プログラム」を中心として、制度的な問題点の解決に向けた取組についても引き続き推進する必要がある。また、海外からの研究者受入数が前年度に比べ平成18年度が微減していることについて、更なる検証が必要である。
平成20年度から開始した「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」の準備等もあったため、アジア諸国を中心とした各国との政府間の打合せ等を積極的に実施し、持続的な関係の構築につながっていると考えられるほか、大学間交流協定に関しても大きく増加しており、機関間のレベルでの関係構築についても順調に進捗していると考えられる。
政府間会合や研究交流の実施、各種の国際交流事業を通じて、政府間、大学・研究機関間、研究助成機関間、研究者間等における、国際共同研究や国際会議等の多層的な科学技術交流が推進されている。今後、更なる人的ネットワーク等の国際活動の基盤を維持・拡大に向けて、既存の交流を活かした方策についても検討していく。
評価指標については、概ね増加傾向にあるものの、研究者受入れ数・派遣数等、平成17年度より減少している指標も存在しているため、達成できていない原因について分析を深めていく必要がある。また、国際交流の進捗度合いを示す指標としてより適切な指標を設けることも検討する必要があると考えられる。
評価結果:A
第3期科学技術基本計画(平成18年3月閣議決定)においても、「科学技術活動を単に国際化するという視点にとどまることなく、これを戦略的に進めることが必要」とされている通り、我が国の研究環境を国際化するのみならず、政府レベルにおいても国際科学技術協力を戦略的に進める必要がある。
具体的には、我が国の研究者に占める外国人研究者数は依然として他の先進諸国に比べ低水準(約3パーセント)であり、さらには「欧州との科学技術協力の展開に関する国際共著論文分析」(平成19年9月27日、科学技術政策研究所 総務研究官桑原 輝隆)によれば、近年の国際共著論文に占める我が国の存在感が低下しつつあることが指摘されている。また、世界的な人材獲得競争が激化する中、我が国が科学技術人材の国際循環から疎外されているのではないかとの危惧も聞かれるところである。
さらに、政府間の科学技術協力についても、これを民間にゆだねることは不可能であることを鑑み、世界的な科学技術国際活動が活発化している中、文部科学省として各国政府との科学技術協力に関する議論等を積極的に行うことにより、科学技術協力の基盤を形成していくことが必要である。
これまで、科学技術の国際活動を推進した結果として、平成14年度と比較し海外への研究者派遣数は約1.1倍、海外からの研究者受入数は1.2倍になっている。また、評価指標とはなっていないが、我が国の国際共著論文は、1991年~1995年の平均:11.6パーセントから2001年~2005年の平均:21.6パーセントとなっており、2倍以上に増加している(参考:「欧州との科学技術協力の展開に関する国際共著論文分析」(平成19年9月27日、科学技術政策研究所 総務研究官桑原 輝隆))。
また、政府間の科学技術協力の基盤となる科学技術協力協定についても順調に増加しているほか、大学間協定についても大きく増加しており、国際交流の推進に有効性が認められると判断される。
本取組の実施により、1..研究環境の国際化、2.研究交流の促進、3.政府間会合等への出席等、4.国際共同研究の実施等が期待される。
研究環境の国際化や研究交流の促進により、国際的に活躍できる優秀な人材養成につながるとともに、国際的な競争と協調を通じて我が国の国際競争力の強化につながる。また、政府間会合や国際研究集会等への出席や専門家への派遣を行うことにより、国際科学技術協力の基盤が形成され、さらに国際共同研究等の実施を通じて一時的な関係に留まらない持続的な関係の構築が期待できる。
これまでの取組を引き続き推進
達成目標7‐5‐1については、引き続き外国人研究者等の受入れの更なる拡大を図るための課題を明確化し、各種の事業を実施する中でも課題の解決に資する活動に取り組んでいくことが必要である。また、平成18年度の「国際研究交流の概況」のデータについては、信頼性の検討を行うことが必要である。
達成目標7‐5‐2については、「科学技術外交の強化に向けて(最終取りまとめ)」(平成20年5月、総合科学技術会議)を踏まえて、「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」や「アジア科学技術協力戦略推進プログラム」の地域共通課題解決型国際共同研究をさらに推進することにより、各国との持続的な関係の構築を促進していく。特に政府間の対話について積極的に取り組んでいく。
達成目標7‐5‐3については、今後、我が国の研究環境がより一層国際競争力あるものとなるために、多層的な科学技術交流の推進を通じた人的ネットワーク等の国際活動基盤の維持・拡大が重要であり、若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)(日本学術振興会)等機関間の組織的な交流を推進する事業を充実させていく。また、今までの研究者交流により培った人的ネットワークを今後の国際交流に活かしていくための方策も検討するべきである。
なし
※ 達成目標7‐5‐1については、施策目標7‐1に再掲している。
世界での人材獲得競争の激化等に対応し国内の研究環境の国際化を推進するとともに、外国人研究者等の受入れのための制度や環境を整備する。
(基準年度:18年度・達成年度:22年度)
判断基準 | S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。 |
---|---|
|
「知」を巡る大競争時代の中、米国、欧州諸国、中国などにおいて、国際的に熾烈な頭脳獲得競争が行われている状況にあり、科学技術・学術の発展のため、国内外の多くの優れた研究者を我が国に引き付けるとともに、我が国の研究者を国際的水準で切磋琢磨させる必要があることから、外国人研究者等の受入れのための制度を整えると共に、我が国の研究環境を国際化することが求められている。
平成19年度においては、平成18年度に実施した各所(大学、民間企業等)へのヒアリングや内外の動向調査(地方自治体における外国人研究者に係る施策)に基づいて、外国人研究者の日本への定着のためのモデルを開発する事業を開始するなど、次のような事業を実施した。
外国人研究者が研究の場として我が国を選択するにあたり、我が国における外国人研究者のキャリアパスが不透明であることや、外国人研究者が生活・研究を行いやすい生活環境が未だ構築されていないこと等の課題の解決に向けて、外国人研究者の我が国への定着のモデルをとなる手法を開発することを目的として本事業を開始した。平成19年度は、事業の開始年度にあたることから、企画競争により委託先を決定し、事業開始年度として、今後取り組むべき課題を明らかにするためのフォーラムの開催や、調査の実施等の活動を行った。
国内の研究環境の効率的・効果的な国際化のモデルを開発するため、平成17年度から5年間の計画で「大学国際戦略本部強化事業」を実施しており、20の採択大学等において策定された国際戦略に基づき、「国際戦略本部」といった全学横断的な組織体制により、外国人研究者・留学生の支援体制の強化を含め、国際化に関する特色ある取組みが行われている。
平成19年度においては、「大学の優れた国際展開モデルについて(中間報告書)」が作成されたほか、本事業における中間年度に当たっていることから、科学技術・学術審議会国際委員会に中間評価作業部会を設け、中間評価を実施し8月に公表した。中間評価を受け、採択大学等のとりまとめを行う総括業務受託者により各大学の成果等を共有するための情報交換会が実施されたほか、今後の更なる成果の創出に向けた方向を示すことができた。また、中間評価を受けた対応や、今後の国際化の取組について確認するため、採択機関へのヒアリングを開始し、次の6機関へのヒアリングを行った。(自然科学研究機構(11月)、会津大学(12月)、東海大学(12月)、広島大学(1月)、神戸大学(2月)、京都大学(2月))
なお、本事業の効果の一例として、慶応大学では、事業開始後に協定締結校が急増しているだけでなく、トップクラスの大学との協定締結が行われており、それを研究教育や外部資金の獲得等に有機的に利用するといった例が出てきている。例えば、慶応大学とルンド大学が包括協定を締結した直後、ルンド大学との共同研究を実施するための大型の競争的資金を獲得したといったケースが挙げられる。
日本学術振興会では、外国人特別研究員事業により、優れた若手の外国人研究者に対し、我が国の大学等において、日本側受入研究者の指導のもとに共同して研究に従事する機会を提供している。外国人研究者本人の研究の進展を支援すると同時に、外国人研究者との研究協力関係を通じて、我が国の研究者が新たな発想や研究手法に触れながら自らの研究を推し進めることにより、我が国全体の学術研究の推進及び国際化の進展を図っている。平成19年度には、1,818名の外国人研究者を受け入れた。
平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1.研究者受入数 | 30,116 | 31,922 | 31,408 | 34,939 | 33,720 (速報値) |
(今後調査) |
2.外国人宿舎の数 | 3,214 | 3,284 | 3,309 | 3,340 | 2,905 (速報値) |
(今後調査) |
3.国公私立大学の外国人教員(本務者)の割合 | 3.4% | 3.5% | 3.4% | 3.5% | 3.5% | 3.4% |
4.科学技術協力協定締結国数 | 39 | 41 | 41 | 42 | 45 | 47(注1) |
参考1 外国人特別研究員制度による受入人数 | 1,711 | 1,802 | 1,935 | 2,020 | 1,962 | 1,818 |
参考2. 「教授」及び「研究」の在留資格による新規入国者数 | 2,748 | 2,950 | 2,916 | 2,860 | 2,935 | (今後調査) |
(注1)科学技術協力協定については、科学技術を協力分野に含む経済連携協定も含めている。なお、改めて集計したところ、昨年のデータに一部誤りがあったため修正している。なお、平成18年度の実績評価調書においては、38(平成14年)から40から40から42から44から47(平成17年)となっている。
なお、これらの施策の効果を測るため、評価指標を下のように掲げた。これらにより、外国人研究者等の受入れのための制度や環境が整備されたかを直接判断することはできないが、我が国の研究環境の国際化を測るための定量的なデータはほとんど取られておらず、活用できるデータが限られているため、機関としての研究者の受入の数を一般的な研究交流の状況を測るものとして、また、外国人宿舎の数と国公私立大学の外国人教員の割合を研究環境の国際化の度合いを測るものとして設定した。
A
研究者受入数については、増加傾向が続いてきたが、平成18年度は前年度に比べ微減している。また、外国人宿舎の数については、約3,200箇所から微増傾向だったものが、平成18年度は前年度に比べ一割減少している。この二つのデータは「国際研究交流の概況」によるものであるが、平成18年度のデータについては、例年より回収率が低いため、データの連続性についてさらなる検証を有することに留意する必要がある。調査結果を詳細に分析したところ、従前の調査で交流数が大きかった大学からの回答が欠落しているといった問題があり、概算で速報値からの補正を考えると、前年度と同程度の交流数が想定されるため、指標1と2については増加傾向にあると判断した(今後、速報値からの修正を行う予定)。
また、指標に基づくものではないが、研究環境の国際化のための効果的・効率的な方策について「外国人研究者日本定着促進プログラム」や「大学国際戦略本部強化事業」の実施を通じて具体的な検討が進められており、目標達成のために順調に取組が進捗していると考えられる。
外国人研究者等の受入れの更なる拡大にあたって、我が国の入国管理制度や査証制度等の制度的障壁を含め、生活環境面、外国人研究者のキャリアパス等の課題を明確化し、各種の事業を実施する中でも課題の解決に資する活動に取り組んでいくことが必要である。また、各種事業において日本で研究活動を行った経験を有する研究者間のネットワーク構築を促進するといった、さらなるフォローアップの取組の充実が求められる。
さらに、大学等における外国人研究者の効率的・効果的な受入れも含め、更なる国際化を実現し、また現場における課題や制度への要望を把握するため、引き続き大学等へのヒアリングを行うことが引き続き必要である。また、総括業務受託者による情報交換会等の取組は、各大学等における国際業務担当職員として自覚させ、それぞれの専門能力を向上させるのみならず、各大学等の取組における課題やノウハウの共有により、大学等の連携を促しており、国際化を推進させる有効な手段として継続することが必要である。
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
---|---|---|---|
外国人研究者日本定着促進プログラム [30百万円] |
外国人研究者及び博士課程の留学生の日本への定着を促進するため、定着の阻害要因の調査分析を行うと共に、効率的・効果的な定着のための手法を開発する。 | 外国人研究者の効率的な定着のための手法に求められるポイントを明確化するため、今後取り組むべき課題を明らかにするためのフォーラムの開催や今後の活動の基礎となる現状調査を行った。 | 継続 |
大学国際戦略本部強化事業 [463百万円] |
大学等の国際化をより効率的に促進するため、国際戦略本部といった全学的な国際化のための組織を置き、国際戦略を策定した上で行う様々な取組みを支援・分析することにより、より効率的な国際化のモデルを開発する。 | 採択機関において、策定された国際戦略に基づいた様々な活動が実施されたほか、採択機関の取組みを多角的観点から分析した中間報告 書(「大学の優れた国際展開のモデルについて」)が作成された。また、採択機関間の情報交換のための機会の提供や採択機関のみならず、我が国の大学等の今 後の更なる国際展開のためのシンポジウムを開催するなど、様々な活動を行った。 | 継続 |
外国人特別研究員事業(独立行政法人日本学術振興会運営費交付金6,085百万円) | 諸外国の若手研究者に対し、我が国の大学等研究機関において日本側受入研究者の指導のもとに共同して研究に従事する機会を提供。 【1.外国人特別研究員(一般)】 博士号取得直後の外国人若手研究者を1~2年間日本の大学等に受け入れる。 【2.外国人特別研究員(欧米短期)】 欧米諸国博士号取得前後の若手研究者を比較的短期間(1~12ヶ月以内)受け入れる。 【3.外国人特別研究員(夏期)】 欧米諸国の博士号取得前後の若手研究者を、夏期2ヶ月間にわたり招へいする。 |
1、2、3の施策によって優秀な外国人研究者の受入が進められており、平成19年度の受入れ実績は1は1,495人、2は214人、3は109人である。 また、「サイエンス・ダイアログ」として、外国人特別研究員に有志を募り、近隣の高校に派遣し、自身の研究等について高校生に英語で講義を行うプログラムを実施した。(平成19年度は61件実施。) |
継続 |
近年発展著しいアジア諸国を中心とした各国との国際共同研究や政府間会合を通じ、一時的な協力関係に留まらない持続的な関係の構築を促進する。
(基準年度:18年度・達成年度:22年度)
判断基準 | S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。 |
---|---|
|
アジア諸国等を中心とした発展途上国については、近年急速に発展しているものの、我が国の研究者との共同研究を行う場合には発展途上国側における研究体制が十分に整備できない等の問題点があり、これまで十分に国際共同研究が進んでいなかったこと、また、科学技術と外交を高度に連携させる科学技術外交の強化の観点より、ODAを活用した国際共同研究が求められていたことから、平成19年度においては、平成20年度からの開始に向け、外務省やJICA(ジャイカ)と打合せつつ制度設計を行うとともに、実施に当たっては開発途上国の政府の協力も必要になることから、アジア等の各国政府との意見交換等を行った。
平成18年度より開始した「アジア科学技術協力戦略推進プログラム」(科学技術振興調整費)については、平成18年度に引き続き機動的国際交流として「アジア科学技術コミュニティ形成戦略」(日本学術振興会)を実施したほか、地域共通課題解決型国際共同研究として11件の研究課題を採択しており、国際共同研究の実施や国際会議の開催等を通じてアジア地域との持続的な関係構築につながっている。機動的国際交流については、防災分野の日インドネシア間の共同研究を行う地域共通課題解決型国際共同研究の採択課題の関係者により、両国で実施されている共同研究等の取組みを通じた一層の相互交流と情報共有を進めるため、「日本・インドネシア自然災害ワークショップ」開催した。また、ノーベル賞受賞者とアジア各国からの若手研究者の交流を行い、将来の科学技術ネットワークの形成に資する第1回HOPEミーティングを開催した。さらに、アジア地域の学術振興機関の機関長が一堂に会し、相互理解を深めてネットワークを構築するための第1回アジア学術振興機関長会議(ASIA-HORCS2007)を開催した。
また、ASEAN(アセアン)と日中韓の科学技術を担当している行政庁間で具体的な協力方策等について議論するASEAN COST(科学技術委員会)プラス3(日中韓)を10月に開催した。会合では、林文部科学審議官が議長を務め、ASEAN(アセアン)各国からは、ベトナム・ティエン科学技術省副大臣、ブルネイ・サイド開発省次官、フィリピン・ユムル科学技術省次官等が出席、また、中国からは(ジン)科学技術省国際協力局長、韓国からは金(キム)科学技術省科学技術協力局長が出席するなど、科学技術協力の議論のみならず、行政府同士のハイレベルでの関係の構築に寄与した。
その他、アジア諸国との間で開催した主な二国間会合等の政府レベルの取組は次のとおり。
平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1アジアの研究者受入数 | 14,590 | 15,611 | 15,360 | 17,091 | 16,442 (速報値) |
今後調査 |
2.アジアへの研究者派遣数 | 36,543 | 31,555 | 40,872 | 46,128 | 44,447 (速報値) |
今後調査 |
3.日本学術振興会とアジア諸国における対応機関等との覚書締結数 | 19 | 19 | 19 | 19 | 19 | 19 |
4.科学技術振興機構とアジア諸国における対応機関等との覚書締結数 | 4 | 5 | 5 | 6 | 6 | 6 |
5.アジア諸国との科学技術協力協定締結国数 | 5 | 5 | 5 | 5 | 7 | 8 |
6.アジアとの大学等間交流協定締結数 | 4,250 | 4,633 | 4,775 | − | 6,042 | 今後調査 |
参考1アジアにおける大学拠点数 | 11 | 24 | 86 | − | 163 | 今後調査 |
参考2.アジア諸国との科学技術協力協定に基づく合同委員会の開催数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
参考3.科学技術に関するアジア諸国の要人の表敬訪問数 | 12 | 12 | 9 | 8 | 9(注2) | 9 |
(注2)昨年度の評価書で10となっていたが、計数の誤りであったため、訂正した。
なお、これらの施策の効果を測るため、評価指標を下のように掲げた。これらにより、持続的な関係の構築が促進されたかを直接判断することはできないが、政府レベルの関係構築の度合いを測るものとして科学技術協力協定数を、大学間の関係構築の度合いを測るものとして大学等間交流協定締結数を、資金配分機関間の関係構築の度合いを測るものとしてJSPSとJSTの覚書締結数を、研究者間の関係構築の度合いとして研究者交流数を掲げた。これらは交流や枠組みの数を表すものであり、持続的関係が構築されているかを測るものではないが、このために活用できる適当なデータがなく、間接的に評価せざるをえない状況である。
A
研究者受入数と派遣研究者数については、順調に増加傾向が続いてきたが、平成18年度に前年度に比べ微減している。このデータは「国際研究交流の概況」によるものであるが、平成18年度のデータについては、例年より回収率が低いため、データの連続性についてさらなる検証を有することに留意する必要がある。調査結果を詳細に分析したところ、従前の調査で交流数が大きかった大学からの回答が欠落しているといった問題があり、概算で速報値からの補正を考えると、前年度と同程度の交流数が想定されるため、指標1と2については増加傾向にあると判断した(今後、速報値からの修正を行う予定)。
また、指標に基づくものではないが、2.にて記載したように、政府レベルでの活発な交流が行われている他、「アジア科学技術協力戦略推進プログラム」(科学技術振興調整費)等を通じて様々なレベルでの科学技術国際交流を促進しており、持続的な関係の構築が促進されているものと評価できる。
平成19年度に制度設計を行ったODAと連携して開発途上国との科学技術協力を行う「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」(独立行政法人科学技術振興機構)については、ODAを活用するという特性により開発途上国の政府との対話を引き続き続けていく必要がある。
また、総合科学技術会議により取りまとめられた「科学技術外交の強化に向けて(最終取りまとめ)」(平成20年5月)を受けて、アジア地域のみならず、アフリカ諸国も含めた開発途上国を対象とした取組も一層推進する必要があり、「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」(独立行政法人科学技術振興機構)を中心とした開発途上国との科学技術協力を推進する取組を拡充する必要がある。
また、「アジア科学技術協力戦略推進プログラム」の地域共通課題解決型国際共同研究については、平成19年度は128件の応募があるなど、アジア諸国との国際共同研究の需要が極めて大きいことに鑑み、引き続き取り組む必要がある。
年度予算額(百万円)] | 概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
---|---|---|---|
アジア・アフリカ科学技術協力の戦略的推進 [800百万円](科学技術振興調整費) |
アジア諸国、特に中国、韓国、インドやASEAN(アセアン)諸国とのオープンで対等なパートナーシップを拡げることにより、我が国が地域の科学技術の発展を先導する。 特に、地域共通課題の解決やグローバルな問題に対するアジアとしての貢献、アジア地域発の科学技術の創出とこれらの分野を得意とする科学技術人材層の蓄積を通じ、アジア地域の優位性確保を図る。 |
機動的国際交流、地域共通課題解決型国際共同研究の二つの分野に分け、採択課題を募集、採択がなされた。 平成19年度の新規採択件数は11件。地域共通課題解決型国際共同研究については、のべ21件が採択されており、国際共同研究が実施されている。 |
継続 |
政府間、大学・研究機関間、研究助成機関間、研究者間等における、国際共同研究や国際会議等の多層的な科学技術交流を推進し、人的ネットワーク等の国際活動の基盤を維持・拡大する。
(基準年度:18年度・達成年度:22年度)
判断基準 | S=4、A=3、B=2、C=1と換算する。 |
---|---|
|
様々なレベルにおける科学技術交流を推進するため、科学技術振興機構や日本学術振興会の実施する事業を含め様々な交流事業等を通じて国際科学技術・学術交流の活動を推進した。主な事業の状況は次の通り。
政府間会合における合意等に基づき文部科学省が設定した対象国・地域、分野の国際研究交流プロジェクトを科学技術振興機構が相手国対応機関と共同して支援するトップダウン型の事業であり、平成19年度には9カ国計111課題のプロジェクトを実施した。政府間の対話・意見交換によるトップダウンの意向をより明確に事業実施に反映させるため、平成19年度は対象国・地域、分野の指定のシステムを整理し、各国政府との意見交換をより緊密に行うよう事業運用を改善した。その結果、政府間の交流についてもこれまで以上に促進された。また、本事業を通じ、科学技術振興機構と相手国対応機関(助成機関等)との関係の構築にもつながっており、特に平成19年度については、中国科学技術部(MOST)、仏国全国研究機構(ANR)、デンマーク科学技術開発庁(DASTI)、韓国国際科学技術協力財団(KICOS)と新たに事業を開始することができた。
日本学術振興会では、学術コミュニティの形成を図るための様々な取組みを行っており、我が国と外国の若手研究者が分野横断的に議論を行う「先端科学(Frontiers of Science)シンポジウム事業」、我が国と欧州の若手研究者に対し、選定された研究分野について講演、討論等の交流を行う「日欧先端科学セミナー」等を実施している。また、ポスドクレベルの若手研究者を海外へ派遣し、海外の大学や研究機関で長期(2年間)の武者修行の機会を提供する「海外特別研究員事業」を実施しており、研究者レベルでの交流を促進している。
平成19年度より、国際的視野に富んだ有能な研究者を養成することを目指し、日本の大学と海外のパートナー機関(大学、研究機関、企業等)との組織的な連携により、若手研究者が海外において一定期間研究活動を行うための優れたプログラムの構築とその実施を支援する「若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)」を新たに開始した。
また、日本学術振興会と諸外国の対応機関との協定等に基づき、人的ネットワークの基盤作りのための研究者交流、及び研究者交流を発展させた二国間の研究チームが協力して行う共同研究・セミナーの実施を支援した。(平成19年度実績:共同研究424件、セミナー40件)
さらに、大学等の学術研究機関間での交流、協力関係の構築を促進する「先端研究拠点事業」、「日中韓フォーサイト事業」、「アジア研究教育拠点事業」、「アジア・アフリカ学術基盤形成事業」等も実施し、欧米等学術先進諸国の他、アジア、アフリカにおいても取組みが行われている。
生体の持つ複雑な機能の解明のための基礎研究等を国際協同研究を通じて推進するため、「ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム」(HFSP)を支援している。本事業では国際共同研究チームへの研究費助成(研究グラント)、若手研究者が国外で研究を行うための旅費、滞在費等の助成(フェローシップ)及びHFSPの助成を受けたものが研究成果を発表する受賞者会合の開催等、科学技術人材の交流に資する様々な事業が実施されており、平成19年度においては研究グラント35件、長期フェローシップ95件が採択された。
なお、平成19年度までに本事業での研究グラントを受賞した者の中から、12人の研究者がノーベル賞を受賞している。
国際的な調査分析や政策議論に参画することにより今後の政策の企画立案の基盤とするため、OECDの科学技術政策委員会(CSTP)の活動に積極的に取り組んでいる。具体的には、OECD加盟国の科学技術担当行政官が参集し年に2回開催されるCSTP会合へ出席している他、CSTPの下に行われている作業部会やプロジェクトに出席・専門家派遣を行っている。特に、平成19年度は各国の大臣級で科学技術政策に関する議論を行うOECD/CSTPハイレベル会合が開催され、我が国からも林文部科学省審議官が参加し、キックオフスピーチを行うとともに、今後の科学技術協力の強化に向けた議論を行った。
平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1.研究者受入数 | 30,116 | 31,922 | 31,408 | 34,939 | 33,720 (速報値) |
今後調査 |
2.研究者派遣数 | 115,833 | 112,322 | 125,164 | 137,251 | 125,387 (速報値) |
今後調査 |
3.日本学術振興会と外国対応機関等との間で締結された覚書数 | 77 | 78 | 77 | 78 | 82 | 85 |
4.科学技術振興機構と外国対応機関等との間で締結された覚書数 | 4 | 5 | 9 | 10 | 11 | 18 |
5.科学技術協力協定締結国数 | 39 | 41 | 41 | 42 | 45 | 47(注3) |
6.大学等間協定締結数 | 10,014 | 11,089 | 11,375 | − | 13,484 | 今後調査 |
7.HFSP運営支援国数 | 9 | 9 | 9 | 11 | 12 | 14 |
参考1大学における海外拠点設置数 | 17 | 38 | 170 | − | 276 | 今後調査 |
参考2科学技術に関する要人の表敬訪問数 | 34 | 33 | 32 | 41 | 37 | 24 |
(注3)科学技術協力協定については、科学技術を協力分野に含む経済連携協定も含めている。なお、改めて集計したところ、昨年のデータに一部誤りがあったため修正している。なお、平成18年度の実績評価調書においては、38(平成14年)から40から40から42から44から47(平成17年)となっている。
なお、これらの施策の効果を測るため、評価指標を上記のように掲げた。これらの指標の考え方は、基本的に7‐5‐2に掲げた指標の考え方と同様である。これらは国際活動の基盤の一部は形成しているが、交流や枠組みの数を表すものであり直接に国際活動の基盤を評価できる指標ではないと考えられるため、指標としては十分でないおそれがある。しかし、このための適当なデータがなく、間接的に評価せざるをえない状況である。
A
研究者受入数と派遣研究者数については、順調に増加傾向が続いてきたが、平成18年度に前年度に比べ微減している。このデータは「国際研究交流の概況」によるものであるが、平成18年度のデータについては、例年より回収率が低いため、データの連続性についてさらなる検証を有することに留意する必要がある。調査結果を詳細に分析したところ、従前の調査で交流数が大きかった大学からの回答が欠落しているといった問題があり、概算で速報値からの補正を考えると、前年度と同程度の交流数が想定されるため、指標1と2については増加傾向にあると判断した(今後、速報値からの修正を行う予定)。
その他の指標については、全て増加傾向にあると考えられるため、判断基準に照らせばS評価となるが、これらの指標は減少することはまれであり、明確な増加傾向は認めがたく、想定した以上に順調に進捗しているとまでは言い切れないことから、A評価とした。
今後、我が国の研究環境がより一層国際競争力あるものとなるために、多層的な科学技術交流の推進を通じた人的ネットワーク等の国際活動基盤の維持・拡大が重要となる。
研究者交流については、これまで研究者個人を対象とした交流施策が中心だったところ、研究者が所属する研究機関が、組織的な運営体制のもと、海外の学術交流協定締結機関とのパートナーシップを交流事業の実施に活かすことにより、研究機関自体が国際化し、ひいては我が国の研究環境の国際化にもつなげていくことができると考える。その観点から、従来の研究者個人を対象とした海外派遣等の国際交流事業に加え、機関間の組織的な交流を推進する事業を充実させることが今後より重要になると考えられる。また、今までの研究者交流により培った人的ネットワークを今後の国際交流に活かしていき、国際的に活躍できる若手研究者を育成するため、海外事務所における活動ともリンクさせながら研究者ネットワークの強化に取り組むべきである。
また、現在の取組は交流が中心であり、公募による国際共同研究を支援するプログラムが存在していないことから、総合科学技術会議により取りまとめられた「科学技術外交の強化に向けて(最終取りまとめ)」(平成20年5月)を受け、我が国の科学技術を生かした国際共同研究を実施するプログラムを設け、国際活動基盤を一層拡大していくことが必要である。
政策手段の名称 [19年度予算額(百万円)] |
概要 | 19年度の実績 | 21年度の予算要求への考え方 |
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若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP) (独立行政法人日本学術振興会運営費交付金200百万円) |
日本の大学と海外のパートナー機関(大学、研究機関、企業等)との組織的な連携により、若手研究者に当該機関における研究活動の機会を提供。 | 公募により10件の事業が採択されており、機関間の交流が実施されている。 (採択事業10件の領域:人文学2、社会科学1、数物系科学1、工学2、生物学1、農学2、医歯薬学1) |
継続 |
海外特別研究員事業 (独立行政法人日本学術振興会運営費交付金1,487百万円) |
ポスドクレベルの若手研究者を海外へ派遣し、海外の大学や研究機関で長期(2年間)の武者修行の機会を提供。 | 若手研究者の海外派遣が実施されており、平成19年度は302人が派遣されている。 | 継続 |
戦略的国際科学技術協力推進事業 (独立行政法人科学技術振興機構1,000百万円) |
政府間合意等に基づき、国が特に重要なものとして設置した科学技術協力分野について、科学技術振興機構と相手国の適切な機関が共同して両国間の研究交流プロジェクトを支援。 | 政府レベルでの対話により双方に有益な交流分野を設定しているともに、相手機関と協議し、最も効果的・効率的な交流方法を設定するため、円滑に事業が実施されている。 個別の研究課題を対象とした研究集会、共同研究、研究者の派遣、招へい等が実施され研究者間のネットワーク構築に貢献している。 平成19年度の実施研究交流課題数は111課題。 |
継続 |
ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP) [2,293百万円] |
生体機能解明のための基礎研究への助成を目的としたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)を推進することにより、国際的な知的公共財を創出し、科学技術の分野において、我が国が国際社会における先駆的役割を果たす。 | 平成19年度においては研究グラント35件、長期フェローシップ95件が採択された。 | 継続 |
国際科学技術交流等 [128百万円] |
国際会議・研究集会・ワークショップ等への出席、専門家の派遣・招へい等を行うことにより科学技術の国際交流を推進。 | 平成19年度においては、各国政府、関係機関と今後の科学技術協力を進める上で必要な意見交換を行ったほか、共同研究を実施するためのワークショップや専門的な見地から意見を述べる必要がある国際会議等に専門家を派遣した。 また、我が国で開催されたワークショップ等に海外の優れた研究者を招へいした。 |
継続 |
大臣官房政策課評価室
-- 登録:平成21年以前 --