施策目標6-1 特色ある教育研究を展開する私立学校の振興

(基準年度:毎年度・達成年度:毎年度)

  私立学校の振興に向け、教育研究条件の維持向上を図るとともに経営の健全性を高める。

主管課(課長名)

  高等教育局私学部私学行政課(村田 善則)

関係課(課長名)

  高等教育局私学部私学助成課(白間 竜一郎)、高等教育局私学部参事官(豊岡 宏規)

評価の判断基準

  各達成目標の平均から判断(S=4、A=3、B=2、C=1として計算)。

  • S=3.4以上
  • A=2.6以上3.4未満
  • B=1.8以上2.6未満
  • C=1.0以上1.8未満

平成19年度の状況と総合評価結果

達成目標6−1−1 A

  教員一人当たりの学生数、大学および短期大学における定員超過率が150パーセントを超えるものの全体に占める割合、教育研究費依存比率、図書の蔵書数については、いずれも改善傾向にあり、教育研究条件の向上が図られている。

達成目標6−1−2 B

  帰属収入で消費支出を賄えない大臣所轄の学校法人の割合が前年度より増加したものの、総負債比率は着実に減少している。また、寄付金比率は前年度数値の横ばいに留まっている。財務情報等の一般公開を行っている大臣所轄の学校法人の割合は、平成19年度も着実に増加するとともに、インターネットのホームページや広報誌を活用するなど、財務情報の公開方法を工夫する学校法人の割合が増加するなど、一定の成果が上がっている。

  評価結果 B

必要性・有効性・効率性分析

必要性の観点

  私立学校は建学の精神に基づく多様な人材育成や特色ある教育研究の展開を担うとともに、大学生の約8割、高校生の約3割、幼稚園児の約8割が在学するなど、我が国の学校教育の質・量両面にわたる発展に重要な役割を果たしており、引き続き教育条件の維持向上を図るとともに、経営の健全性を高めることが必要である。
  また、教育基本法第8条において私立学校に関する規定が設けられ、国や地方公共団体が、私立学校の自主性を尊重しつつ、その振興に努めるべき責務が規定されたところである。
  このような私立学校の役割を踏まえて、各種の施策を行っているところ。

有効性の観点

  私学助成、税制などの施策により、教員一人当たりの学生数、大学および短期大学における定員超過率が150パーセントを超えるものの全体に占める割合、教育研究費依存比率、図書の蔵書数など、教育条件について改善の傾向が続いている。また、学校法人運営調査や各種会議における指導、助言を通じた学校法人自身の努力により、大臣所轄の学校法人における総負債比率の減少や、財務情報等の一般公開を行っている大臣所轄の学校法人の割合が、平成19年度も着実に増加するなど、学校法人の経営の健全性の維持向上についても一定の成果が上がっている。今後も継続することにより、一層の教育研究条件の向上および学校法人の経営基盤の強化が見込まれる。

効率性の観点

事業インプット

  • 私立学校の振興に必要な経費 515,663百万円(平成19年度予算額)
    • 私立大学等経常費補助 328,050百万円
    • 私立高等学校等経常費助成費 103,850百万円 等

事業アウトプット

  • 1.私立学校における教育研究条件の維持向上、2.私立学校の経営の健全性が高まること、3.私立学校に在学する学生・生徒等に係る修学上の経済的負担の軽減、といった効果が見込まれる。

事業アウトカム

  • 引き続き私立学校が特色ある教育研究の展開し、多様な人材を育成することが期待される。

今後の課題及び政策への反映方針

予算要求への反映

  これまでの取組を引き続き推進

機構定員要求への反映

  定員要求に反映

具体的な反映内容について

  引き続き、教育研究条件の維持向上を図るため、今後も各大学等の特色を活かせるきめ細やかな支援を行うなど、私立学校の振興を図るための支援策について検討を行い、引き続き事業を実施する。
平成21年度機構定員要求においては、学校法人に対する調査及び指導・助言体制の強化に伴い学校法人コンプライアンス対策専門官を新規に1名、学校法人会計基準の検討・実施体制の強化に伴い学校法人会計調査官を新規に1名定員要求する。

関係する施政方針演説等内閣の重要施策(主なもの)

「経済財政改革の基本方針2007」(平成19年6月閣議決定)

第2章 成長力の強化

1.成長力加速プログラム

  3 成長可能性拡大戦略−イノベーション等

  【改革のポイント】

  2.大学・大学院改革
  基盤的経費の確実な措置

  【具体的手段】

  (2)大学・大学院改革

7 大学による自助努力を可能とするシステム改革

  • 企業や個人等からの寄附金、共同研究費等民間からの資金の活用について、各大学の自助努力を後押しするための税制を含む環境整備等を検討する。

関連達成目標

  なし

政策評価担当部局の所見

  質を重視した判断基準を新たに設定するなど、大幅な改善が図られた。

達成目標6−1−1

  質の高い教育研究のため、私立学校の教育研究条件の維持向上を図る。

(基準年度:毎年度・達成年度:毎年度)

1.評価の判断基準

判断基準1 教員一人あたりの学生数
  • S=前年度数値より大幅に改善した。
  • A=前年度数値より改善した。
  • B=前年度数値の横ばい。
  • C=前年度数値より悪化した。
判断基準2 大学及び短期大学の定員超過率が150%を超えるものの全体に占める割合
  • S=前年度数値より改善した。
  • A=前年度数値の横ばい。
  • B=前年度数値より悪化した。
  • C=前年度数理より大幅に悪化した。
判断基準3 教育研究経費依存比率(学生納付金収入に対する教育研究経費支出の割合)
  • S=前年度数値より大幅に改善した。
  • A=前年度数値より改善した。
  • B=前年度数値の横ばい。
  • C=前年度数値より悪化した。
判断基準4 私立大学の図書館の蔵書数
  • S=前年度数値より大幅に改善した。
  • A=前年度数値より改善した。
  • B=前年度数値の横ばい。
  • C=前年度数値より悪化した。

2.平成19年度の状況

  教員一人あたりの学生数は9.4人から9人へと前年度より4.4パーセント減少している。
  定員を大きく超過する私立大学及び短期大学の割合についても全年度より減少している。
  また、学生納付金収入に対する教育研究経費支出の割合、教育研究経費依存比率は前年度に比べ1.2パーセント増加している。
  さらに、私立大学における図書館の蔵書数は約5百万冊増加しており、前年度比2.9パーセント増となっている。
これらの指標から私立学校の教育研究条件の維持向上について、一定の成果があがっているものと考えられる。

※ なお、高校以下の学校種については、所轄庁である都道府県に対する助成をおこなっているところであり、それぞれ一定の成果があがっている。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.教員一人あたり学生数(大学、短期大学、高等専門学校)
(前年度比)
10.2人 9.8人
(96.5%)
9.8人
(99.5%)
9.4人
(96.6%)
9.0人
(95.6%)
  • ※ 教員一人あたり学生数(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)
    (前年度比)
12.2人 13.0人
(98.1%)
12.7人
(97.9%)
12.4人
(98.0%)
12.2人
(98.2%)
2.大学及び短期大学の定員超過率(150%を超えるものの全体に占める割合) 1.39% 1.18% 0.86% 0.65% 0.54%
3.教育研究経費依存率(学生納付金収入に対する教育研究経費支出の割合)(大学、短期大学) 56.7% 58.1% 60.2% 61.4% 集計中
  • ※ 教育研究経費依存率(学生納付金収入に対する教育研究経費支出の割合)(小学校、中学校、高等学校)
41.3% 42.5% 44.4% 44.5% 集計中
4.私立大学の図書館の蔵書数
(前年度比)
160,241,138冊 165,480,376冊
(103.3%)
168,794,042冊
(102.0%)
173,750,201冊
(102.9%)
集計中

指標に用いたデータ・資料等

  • 平成19年度学校基本調査
  • 平成19年度私立大学・短期大学等入学志願動向
    (日本私立学校振興・共済事業団私学経営相談センター)
  • 平成18年度学術情報基盤実態調査

指標の設定根拠

  教育研究条件の維持向上について判断するため、教育研究条件を関する指標(1、2、4)、および法人全体の教育研究条件に対する投入量に関する指標(3)を設定した。

3.評価結果

  A

判断理由

  各判断基準に照らした結果、A、A、A、Aとなり、達成目標6−1−1は「想定通り達成」と判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  平成19年度は私立学校の教育研究条件の維持向上について想定通り達成しているが、引き続き、教員一人あたりの学生数の改善など教育研究条件の維持向上を図るため、今後も各大学等の特色を活かせるきめ細やかな支援を行うなど、私立学校の振興を図る。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
私立大学等経常費補助
(328,050百万円)
私立大学等の教育研究条件の維持向上及び修学上の経済的負担の軽減等に資するため、教育又は研究に係る経常的経費について補助。 一般補助及び特別補助を実施し、私立大学等経常費補助全体で、328,050百万円を措置した。 継続
私立高等学校等経常費助成費等補助
(103,850百万円)
私立高等学校等の教育研究条件の維持向上及び修学上の経済的負担の軽減等に資するため、都道府県が行う経常費助成費に対して補助。 私立高等学校等経常費助成費等補助全体で、103,850百万円を措置し、都道府県が行う私立学校等へ経常的助成費の充実が図られるよう努めた。 継続
基礎年金日本私立学校振興・共済事業団補助金
(57,895百万円)
国民年金法の規定に基づき、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、日本私立学校振興・共済事業団が負担する基礎年金拠出金の額の一部を補助。 基礎年金日本私立学校振興・共済事業団補助金全体で、57,895百万円を措置した。 継続

達成目標6−1−2

  学校法人の経営の健全性の確保を図ることにより、私立学校の経営基盤を強化する。

(基準年度:毎年度・達成年度:毎年度)

1.評価の判断基準

判断基準1 帰属収入で消費支出を賄えない大臣所轄の学校法人の割合
  • S=−
  • A=前年度数値より改善した。
  • B=前年度数値の横ばい。
  • C=前年度数値より悪化した。

判断基準2 大臣所轄の学校法人の総負債比率
  • S=−
  • A=前年度数値より改善した。
  • B=前年度数値の横ばい。
  • C=前年度数値より悪化した。

判断基準3 大臣所轄の学校法人の寄付金比率
  • S=−
  • A=前年度数値より改善した。
  • B=前年度数値の横ばい。
  • C=前年度数値より悪化した。

判断基準4 財務情報等の一般公開を行っている大臣所轄の学校法人の割合
  • S=90%以上
  • A=85~89%
  • B=80~84%
  • C=79%以下

2.平成19年度の状況

  近年の少子化に伴う18歳人口の減少の影響により学校法人をめぐる経営環境は大変厳しくなっているが、各学校法人による自主的な経営改善努力を促すため、文部科学省としては、様々な機会を設け、指導及び助言を通じた経営改善支援を行っている。
平成19年度は、帰属収入で消費支出を賄えない大臣所轄の学校法人の割合が前年度より増加したものの、総負債比率は着実に減少している。

  また、学校法人を取り巻く厳しい経済・財政状況を反映して、外部からの資金調達が難しく寄付金比率は前年度数値の横ばいに留まっている。

  学校法人が公共性の高い法人としての説明責任を果たすため、財務状況を広く社会に公開していくことが求められる中、財務情報等の一般公開を行っている大臣所轄の学校法人の割合は、平成19年度も着実に増加するとともに、インターネットのホームページや広報誌の活用など、公開方法を工夫する学校法人の割合が増加するなど、一定の成果が上がっている。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.帰属収入で消費支出を賄えない大臣所轄の学校法人の割合 27.4% 27.5% 29.0% 35.3% 集計中
2.大臣所轄の学校法人の総負債比率 14.3% 14.1% 13.7% 13.5% 集計中
3.大臣所轄の学校法人の寄付金比率 2.2% 2.0% 2.9% 2.4% 集計中
4.財務情報等の一般公開を行っている大臣所轄の学校法人の割合 82.6% 85.3% 86.3% 89.4%

指標に用いたデータ・資料等

  資料:1.2.3.「今日の私学財政」(日本私立学校振興・共済事業団)、「学校基本調査結果」
  資料:4.「学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査」(文部科学省高等教育局私学部参事官室調査)を活用。平成19年度においては文部科学大臣が所轄する学校法人(668法人)について調査。

指標の設定根拠

  私立学校の経営の健全性、経営基盤強化の進捗について判断するため、経営の健全性に関する指標(1、2)、外部資金の受入れに関する指標(3)、財務状況の公開状況に関する指標(4)を設定。

3.評価結果

  B

判断理由

  各判断基準に照らした結果、C、B、B、Aとなり、達成目標6−1−2は「一定の成果が上がっているが、一部においては想定通り達成できなかった」と判断。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  判断基準が想定どおりに達成されていない原因については、主として18歳人口の減少等の社会情勢の変化等の外的要因によるものと、学校法人の社会情勢の変化への対応が遅れていること等の内的要因が考えられる。このような状況を踏まえつつ、文部科学省としては、経営状況の厳しい学校法人が自主的に実効性のある経営改善策を講ずるよう支援するため、各種会議や学校法人運営調査等を通じ、経営改善のための取組や積極的な財務情報の公開の取組を推進していく。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(千円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
学校法人の財務の公開状況に関する調査
(−)
文部科学大臣所轄学校法人について財務の公開状況を把握することを目的として実施し、その結果を公表。 各法人に結果を調査通知し、公開方法等について各学校法人の実情に応じた積極的な取組を促した。  
各種会議等
(1,340千円)
各種会議等を通じ、学校法人に対し、経営改善のための取組や積極的な財務情報の公開の取組を促進。 学校法人経理事務担当者研修会、学校法人監事研修会、学校法人の運営等に関する協議会等の各種会議を通じ、平成19年8月「私立学校の経営革新と経営困難への対応−最終報告−」(日本私立学校振興・共済事業団 学校法人活性化・再生研究会)の内容を周知し、経営改善のための取組や積極的な財務情報の公開の取組を促した。 継続
学校法人運営調査
(10,058千円)
学校法人の管理運営の組織及びその活動状況、財務状況等について、実態を調査するとともに、必要な指導、助言を行い、学校法人の健全な経営の確保に資する。 大臣所轄の学校法人のうち52法人について公認会計士、私学関係者等の有識者を運営調査委員に委嘱し、理事長、学長等に対する質疑応答等により実態を調査し、必要な指導、助言を行った。改善が必要な事項については、当該学校法人に対し、改善状況の報告を求めている。 継続
学校法人に対する寄付に係る税制上の優遇措置
(−)
学校法人に対する個人や企業等からの寄付に対し、税制上の優遇措置を実施。 個人が学校法人に寄付した場合の寄付金の控除限度額を40%に引き上げ、各文部科学大臣所轄学校法人及び各都道府県に通知を発出するとともに、各種会議等で周知した。 個人が学校法人に寄附した場合の寄附金の控除限度額を「40%」から「50%」に引き上げる。

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