施策目標1-1 教育改革に関する基本的な政策の推進等

(基準年度:毎年度・達成年度:毎年度)

  改正教育基本法の理念の下、豊かな人間性を備えた創造的な人材育成のための教育改革を推進するため、教育改革について周知・啓発を図る。また、教育統計調査及び国際研究協力活動等の着実な実施を図る。

主管課(課長名)

  生涯学習政策局調査企画課(神代 浩)

関係課(課長名)

  生涯学習政策局政策課(栗山 雅秀)

評価の判断基準

  各達成目標の平均から判断(S=4,A=3、B=2、C=1として計算)。

  • S=3.4~4.0
  • A=2.6~3.3
  • B=1.8~2.5
  • C=1.0~1.7

平成19年度の状況と総合評価結果

達成目標1‐1‐1 A

  改正教育基本法や、同法を受けて行われた制度改正の内容の周知・普及により、教育改革の趣旨徹底を図りつつ、必要な文教施策の企画立案を進めるための基礎的・具体的な調査研究を実施する。

改正教育基本法をはじめとする教育改革の趣旨の広報啓発の実施

  平成18年12月に改正された教育基本法の概要、趣旨等を掲載したパンフレットを作成し、都道府県・市町村教育委員会等を通じ、全国の学校等に配付・周知した。
  また、「教育改革セミナー」を全国7カ所で開催し、改正教育基本法や教育改革の推進状況に関する広報・啓発を行った。(想定どおり達成)

教育改革の推進に必要な調査研究の実施

  教育振興基本計画の策定等に資するため、国内外の実態調査や、民間調査研究機関を活用し、調査研究を行った。(想定どおり達成)

達成目標1‐1‐2 A

  教育統計調査等の着実な実施を図り、教育行政施策の企画立案等に必要な基礎情報を収集し、それらを文部科学省における施策立案に幅広く活用できるようにするとともに、広く国民に提供する。
  教育統計調査については、平成19年度に4つの調査(「学校基本調査」、「学校保健統計調査」、「学校教員統計調査」、「地方教育費調査」)を実施し、それぞれ報告書等により公表した。また、諸外国の教育制度等に関する調査・研究を行い、収集されたデータは報告書等により公表した。(想定どおり達成)

達成目標1‐1‐3 A

  ユネスコ、OECD(経済協力開発機構)及びIEA(国際教育到達度評価学会)の国際機関等との国際教育協力活動及び国際比較調査研究の着実な実施を図り、教育改革を進めるにあたり必要となる客観的で信頼性の高いデータ・情報を提供するとともに、国際協力を推進する。

  国際教育協力活動として、平成19年度はユネスコとの協力40周年を記念し「教育改革への教育研究の貢献」をテーマとする国際セミナーを開催した。また、国際比較調査研究として、OECD生徒の学習到達度調査(PISA)及びIEAの国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)を、継続して実施しており、平成19年度にはPISAの国際結果の公表及びTIMSSの調査を行った。(想定どおり達成)

  評価結果:A

必要性・有効性・効率性分析

必要性の観点

  平成18年度に改正された教育基本法を踏まえた教育改革については国民の理解や関心を深めることは、教育施策遂行に際しての重要な課題であり、その周知・啓発はなくてはならないものである。
  また、教育統計調査及び国際研究協力活動等は文部科学省における教育施策の企画・立案に必要不可欠なものである。

有効性の観点

  改正教育基本法の理念を踏まえた教育改革の周知・啓発を通じて、国民の共感・理解を得つつ、社会総がかりでの教育改革を実現しつつある。
また、教育統計調査及び国際研究協力活動等については適切に実施するとともに、教育統計調査は文部科学省の施策立案の基礎資料となるだけでなく、広く一般国民にも情報を提供している。

効率性の観点

事業インプット

  • 教育改革に関する基本的な施策の推進等に必要な経費 303百万円(平成19年度予算額)
    • 教育改革の総合的推進 74百万円
    • 教育調査統計の普及等 22百万円
    • 地方教育費及び行政の実態調査 17百万円
    • 内外教育事情等調査 8百万円
    • 指定統計調査 182百万円
  • 教育政策の基礎的な調査研究に必要な経費 2,694百万円の内数(平成19年度予算額)

事業アウトプット

  改正教育基本法については、例えば「教育改革セミナー」については、全国7会場で対話形式で実施するなど全国各地への広報啓発を効率的に実施。
  また、教育統計調査等については、オンライン化を実施することで効率性を高め、回収率を高位に保つようにする。さらに、国際研究協力活動は、国際的なルール等に基づき厳密かつ効率的に実施。

事業アウトカム

  教育改革セミナーを通じて、改正教育基本法など、教育改革についての国民の理解を一定程度得ることができた。引き続き、国民各層の理解を得るための努力が必要。
また、教育統計調査の提供については、紙媒体で報告書として公表しているものの他、ホームページ等を通じて電子的な形で各種の統計データを提供しており、広く国民に利用されている。さらに、国際研究協力活動は、国際的なルール等に基づき厳密かつ効率的に実施。

今後の課題及び政策への反映方針

予算要求への反映

  これまでの取り組みを引き続き推進。

機構定員要求への反映

  定員要求に反映

具体的な反映内容について

  改正教育基本法に基づく教育振興基本計画の広報等を通じて、改正教育基本法の理念を周知・啓発していく。
  統計調査及び各種統計データは毎年の継続性が重要であることから、今後も教育行政の施策・立案に資するための基礎的データを収集及び提供することが最重要課題である。また、国際研究協力については適切に実施していく。
  省内各局課や審議会等での検討において欧米先進国や近隣国を中心とした諸外国の制度・事情に関する情報が求められる機会が増えていることから、PIAAC及び国際教育指標開発等に積極的に取り組むため、平成21年度機構定員要求において国際教育統計専門官1名を要求する。

関係する施政方針演説等内閣の重要施策(主なもの)

   教育改革国民会議(平成12年12月22日決定)
教育再生会議・教育再生懇談会の設置(平成18年10月10日決定【会議】、平成20年2月26日決定【懇談会】)
第169回国会における福田内閣総理大臣施政方針演説(平成20年1月18日)より抜粋
「志を高く持ち、自立してたくましく社会を生き抜く力と、仲間や地域社会と共に生きる心を育むため、学校のみならず、家庭、地域、行政が一体となって、教育の再生に取り組んでまいります。」

関連達成目標

  なし

達成目標1‐1‐1

  改正教育基本法や、同法を受けて行われた制度改正の内容の周知・普及により、教育改革の趣旨徹底を図りつつ、必要な文教政策の企画立案を進めるための基礎的・具体的な調査研究を実施する。

(基準年度:毎年度・達成年度:毎年度)

1.評価の判断基準

判断基準1 改正教育基本法をはじめとする教育改革の趣旨の広報啓発
  • S=当初の予定どおり実施された。
  • A=概ね当初の予定どおり実施された。
  • B=当初の予定どおり実施されなかった。
  • C=実施されなかった。

判断基準2 教育改革の推進に係る文教政策の企画立案のために必要な調査研究の実施
  • S=調査研究を実施し、所期の成果を収め、文教政策の企画立案のために積極的に活用された。
  • A=調査研究を実施し、所期の成果を収めた。
  • B=調査研究を実施したが、所期の成果を収められなかった。
  • C=調査研究が実施されなかった。

2.平成19年度の状況

【改正教育基本法をはじめとする教育改革の趣旨の広報啓発の実施】

  平成18年12月に改正された教育基本法の概要、趣旨等を掲載したパンフレットを作成し、都道府県・市町村教育委員会等を通じ、全国の学校等に配付・周知した。
  また、「教育改革セミナー」を全国7箇所で開催し、改正教育基本法や教育改革の推進状況に関する広報啓発を行った。

【教育改革の推進に係る文教政策の企画立案のために必要な調査研究の実施】

  「教育振興に係る計画等に対する評価手法に関する状況調査」、「学校外教育・学習費の負担に関する諸外国の状況調査」、「青少年期の体験活動がその後のライフスタイルに及ぼす影響に関する調査」の計3件の調査を実施した。

(参考指標)
  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
  1. パンフレットの配付部数
約80万部
  1. 教育改革セミナーの実施箇所数
7箇所
  1. 教育改革セミナーの参加者数
約1,250人
(指標に用いたデータ・資料等)
  • 文部科学省調べ
(参考指標の設定根拠)

  教育改革の趣旨の広報啓発の手段としては、パンフレット等の広報物の配付により周知を図る方法と、説明会の開催等口頭により周知を図る方法の双方が考えられる。具体的には、改正教育基本法の趣旨及び概要を記載したパンフレットの作成・配付と教育改革セミナーを実施した。そのため、本目標の達成状況を測る指標として、パンフレットの配付数と、教育改革セミナーの参加者数及び参加者の範囲を示す実施箇所数を設定した。

・教育改革セミナー アンケートの結果(自由記述における主な意見)

評価できる点
  • 教育改革そのものを広い視点から捉え直すことができた。
  • 文科省も中教審も子どもの未来を真剣に考えていると感じた。
  • 意見発表に素晴らしい意見が散見された。質疑の中で十分に回答すべき。
改善が必要な点
  • 時間が短く、もっと時間をかけて聞きたい内容だった。
  • 開催地を増やして欲しい。他の地域での意見も知りたい。
  • 法律の改正点についてもっと詳しくして欲しい。
  • 行政説明はもっと平易な言葉でするべき。話が難しい。

・各調査研究の目標と結果の活用

教育振興に係る計画等に対する評価手法に関する状況調査 学校外教育・学習費の負担に関する諸外国の状況調査 青少年期の体験活動がその後のライフスタイルに及ぼす影響に関する調査
教育振興基本計画を策定するに当たって、適切な評価手法や評価結果の活用法得補を確立する際に資する知見やノウハウを把握・整理することを目的とする。 学校外教育・学習費に対する公財政支出及び私費負担の適正な水準を判断するとともに、学校外教育・学習に関する各国の主要な取組についての調査を目的とする。 生涯学習社会における基礎・基盤を培う青少年期の様々な体験の重要性や教育的意義を明らかにすることを目的とする。
教育振興基本計画策定にあたり、検討材料として活用 教育振興基本計画策定にあたり、検討材料として活用 特定の分野に偏らない幅広い体験の重要性が明らかとなったことを踏まえ、政策の企画立案に際し活用。

3.評価結果

  A

判断理由

【改正教育基本法をはじめとする教育改革の広報啓発の実施】

  改正教育基本法のパンフレットについては、都道府県教育委員会、市町村教育委員会等を通じて全ての学校に配付するとともに、都道府県主管課長会議等における各教育委員会の管理職、担当者等への行政説明の際に用いるなど、平成19年度間を通じて大いに活用しており、改正教育基本法の概要、趣旨の教育現場への周知に大きく寄与した。
  更に広く社会一般に対し、教育改革の趣旨を周知し、理解を得られるよう、引き続き広報啓発を推進していくことが今後の課題である。
  「教育改革セミナー」については、文部科学省からの行政説明に加え、中央教育審議会委員の講演や、都道府県教育委員会からの事例発表を併せて行うことで、改正教育基本法をはじめとする教育改革の趣旨を分かりやすく伝えることができた。
  また、全国を7ブロック(宮城県、千葉県、三重県、滋賀県、徳島県、鳥取県、鹿児島県)に分けて開催することで、全国各地への広報啓発を効率的に実施することができた。

【教育改革の推進に係る文教政策の企画立案のために必要な調査研究の実施】

  「教育振興に係る計画等に対する評価手法に関する状況調査」、「学校外教育・学習費の負担に関する諸外国の状況調査」、「青少年期の体験活動がその後のライフスタイルに及ぼす影響に関する調査」の計3件の調査研究を実施し、いずれも所期の成果を収め、各分野における政策の企画・立案に際し、検討材料となるデータを収集することができた。
  上記を踏まえ、広報啓発及び調査研究については、概ね当初の予定どおり実施されたものと判断した。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  平成20年7月に策定された教育振興基本計画をはじめとした教育改革の動向等について必要な広報啓発を実施するとともに、政策課題に対応した調査研究を実施し、所期の成果を収め、文教政策の企画立案のために積極的に活用していく。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
教育改革の総合的推進
(74百万円)
  広く国民に対し改正教育基本法の内容の周知・普及や教育改革の趣旨徹底を図るため、啓発資料の作成等を行うとともに、フォーラム等を開催する。
  また、中央教育審議会や政府における他の各種会議等で示された教育改革に関する提言等について、国内外の実態調査や、民間調査研究機関等を活用した調査研究を行う。
  平成18年12月に改正された教育基本法の概要、趣旨等を掲載したパンフレットを作成し、都道府県・市町村教育委員会等を通じ、全国の学校等に配付・周知した。
  「教育改革セミナー」を全国7箇所で開催し、改正教育基本法や教育改革の推進状況に関する広報啓発を行った。
  「教育振興に係る計画等に対する評価手法に関する状況調査」、「学校外教育・学習費の負担に関する諸外国の状況調査」、「青少年期の体験活動がその後のライフスタイルに及ぼす影響に関する調査」の計3件の調査研究を実施した。
継続
(「教育振興基本計画等の実効ある推進のための基盤の強化」に名称変更予定)

達成目標1‐1‐2

  教育統計調査等の着実な実施を図り、教育行政施策の企画立案等に必要な基礎情報を収集し、それらを文部科学省における施策立案に幅広く活用できるようにするとともに、広く国民に提供する。

(基準年度:毎年度・達成年度:毎年度)

1.評価の判断基準

  各判断基準の結果から平均を判断する。(S=4、A=3、B=2、C=2)

判断基準1 教育統計調査ホームページアクセス件数
S=1,000,000件以上、A=999,999〜750,000件、B=749,999〜500,000件、C=500,000件未満

判断基準2 報告書等刊行物の電子化の割合
S=90%以上、A=80%以上90%未満、B=70%以上80%未満、C=70%未満

判断基準3 各国教育基礎資料データベースの更新・追加国数
S=45ヶ国以上、A=44〜35ヶ国、B=34〜25ヶ国、C=24ヶ国以下

判断基準4 統計調査の調査票の回収率
S=100%、A=90%以上100%未満、B=80%以上90%未満、C=80%未満

2.平成19年度の状況

  教育統計調査については、平成19年度に4つの調査(「学校基本調査」、「学校保健統計調査」、「学校教員統計調査」、「地方教育費調査」)を実施し、それぞれ報告書等により公表した。また、諸外国の教育制度等に関する調査

  ・研究を行い、収集されたデータは報告書等により公表した。

指標・参考指標

  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1.教育統計調査ホームページアクセス件数 792,481件
2.報告書等刊行物の電子化の割合 100.0%
3.各国教育基礎資料データベースの更新・追加国数 37ヶ国
4.統計調査の調査票の回収率
(実施した統計調査数)
100.0%
(3調査)
95.4%
(5調査)
98.9%
(4調査)
98.7%
(4調査)
100.0%
(4調査)

指標に用いたデータ・資料等

  • 文部科学省調べ

指標の設定根拠

  指標1及び2は、達成目標の「収集した資料(データ)を文部科学省における施策立案に幅広く活用」のための指標として設定し、同じく3は、同目標「教育行政施策の企画立案」のための指標として設定し、同じく4は、同目標「教育統計調査の着実な実施」のための指標として設定したものである。

3.評価結果

  A
(判断基準1~4においてS=4、A=3、B=2、C=1として計算し、算出された平均を(S=3.7以上4.0未満、A=2.9以上3.7未満、B=2.1以上2.9未満、C=1.0以上2.1未満)という基準で判断。)

判断理由

  1. 統計調査の提供については、紙媒体で報告書として公表しているものの他、ホームページ等を通じて電子的な形で各種の統計データを広く国民に提供しているが、このうち各調査の「アクセス件数」を指標としてみると、文部科学省ホームページ「統計情報」のうち、生涯学習政策局調査企画課が実施している統計調査(学校基本調査、学校保健統計調査、学校教員統計調査、社会教育調査、地方教育費調査、子どもの学習費調査の6調査)へのアクセス件数は平成19年度間に792,481件であった。(A)
  2. 統計調査を始めとする報告書等の刊行物は、紙媒体での公表後、ホームページ等により公表している。平成19年度は7冊の公表物に対して7件を電子化してホームページ上で公表した。(S)
  3. 各国の教育基礎資料のデータベースの更新・追加を平成19年度間は37ヶ国に関して行い、諸外国教育制度に関する基本情報の収集を行った。(A)
  4. 平成19年度の教育統計調査については遅滞なく適切に実施・公表を行い、文部科学省内はもとより国民に報告書・ホームページ等により提供をすることができた。各調査の信頼性の指標となる「調査票の回収率」については、平成19年度、全ての調査(学校基本調査、学校保健統計調査、学校教員統計調査、地方教育費調査)で回収率100パーセントを達成した。(S)

4.今後の課題及び政策への反映方針

  統計調査及び各種統計データは毎年の継続性が重要であることから、今後も教育行政の施策・立案に資するための基礎的データを収集及び提供することが最重要課題である。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
指定統計調査等
[229百万円]
教育統計調査を適切に実施・集計し、結果を報告書等により公表した。また、諸外国の教育事情について調査・研究を行い報告書等により公表した。 教育統計調査については、平成19年度に4つの調査(「学校基本調査」、「学校保健統計調査」、「学校教員統計調査」、「地方教育費 調査」)を実施し、それぞれ報告書を刊行した。また、諸外国の教育制度等に関する調査・研究を行い、収集されたデータは報告書等により公表した。 継続
(一部周期調査については新規)

達成目標1‐1‐3

  ユネスコ、OECD(経済協力開発機構)及びIEA(国際教育到達度評価学会)の国際機関等との国際教育協力及び国際比較調査研究の着実な実施を図り、教育改革を進めるにあたり必要となる客観的で信頼性の高いデータ・情報を提供するとともに、国際協力を推進する。

(基準年度:毎年度・達成年度:毎年度)

1.評価の判断基準

判断基準1 国際機関等との国際教育協力の実施
  • S=当初の予定以上に実施された。
  • A=概ね当初の予定どおり実施された。
  • B=当初の予定どおりに実施されなかった。
  • C=実施されなかった。

判断基準2 国際機関等との国際比較調査の実施
  • S=調査研究を実施し、客観的で信頼性の高いデータ・情報を提供し、文教政策の企画立案のために積極的に活用された。
  • A=調査研究を実施し、客観的で信頼性の高いデータ・情報を提供した。
  • B=調査研究を実施したが、客観的で信頼性の高いデータ・情報が提供できなかった。
  • C=調査研究が実施されなかった。

2.平成19年度の状況

【国際機関等との国際教育協力の実施】

  平成19年7月にユネスコとの協力40周年を記念し、「教育改革への教育研究貢献」をテーマとして国際セミナーを開催し、研究協議及び情報交換を行った。

【国際機関等との国際比較調査の実施】

  平成19年12月に平成18年度に実施したPISA本調査の国際結果を公表した。
平成19年3月にTIMSS2007年の本調査を実施(全国300校、約12,000人)した。

(指標・参考指標)
  平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
1 国際セミナーの参加国数 24ケ国 27ヶ国 20ケ国 19ケ国 13ケ国
国際セミナーの参加人数 58人 48人 38人 23人 約30人
2 PISAの実施年度・参加国数 41ヶ国     57ヶ国  
PISAの実施年度・参加人数 28万人     40万人  
3 TIMSSの実施年度・参加国数 49システム       68システム
TIMSSの実施年度・参加人数 36万人       40万人
(指標に用いたデータ・資料等)

  国際報告書、PISA/TIMSSホームページ

(指標の設定根拠)

  指標1、2及び3は達成目標の「収集した資料(データ)を文部科学省における施策立案に幅広く活用」のための指標として設定したものである。

3.評価結果

  A

判断理由

【国際機関等との国際教育協力の実施】

  平成19年7月に開催したユネスコとの協力40周年を記念した国際セミナーについては、日本、オーストラリア、バングラデシュ、中国、インド、ラオス、マレーシア、モンゴル、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナムの13ケ国の教育研究所長等及びユネスコ・バンコク事務所長、リソースパーソンなど約30人が参加した。ユネスコ・バンコク事務所長の講演の他、各国の教育改革の促進と支援のための教育研究活動における主要な優先課題を明らかにすることや、変化する教育研究の役割とパラダイム転換において各国の教育研究機関の間の協働の可能性を探ることなどをテーマに研究討議を行い、活発な意見交換が行われた。これにより、「教育改革への教育研究貢献」という国際セミナーの所期の目的は達成され、国際協力の推進等に大きな貢献をした。

【国際機関等との国際比較調査の実施】

  平成19年12月に平成18年度に実施されたPISAの第3回の本調査(57カ国、約40万人が参加)の分析、検証を行い、結果の公表を行った。前回同様、科学的リテラシーは国際的に見て上位、読解力はOECD平均と同程度、数学的リテラシーはOECD平均より高得点のグループであるものの、平均得点が下がったこと、及び学習への意欲や興味関心が低いことなど、客観的で信頼性が高いデータ・情報が提供された。これらの結果は、速やかに中央教育審議会に報告されるとともに、学習指導要領の改訂において、授業時間数増や算数・数学及び理科の内容を一部前倒しで実施するなど、その基本方針の策定に大きな影響を与えるなど、我が国の文教施策の企画立案に活用された。
  TIMSSについても、平成19年3月に本調査(69教育システム、約40万人が参加)が実施され、今後、分析、検証を行っており、今後、結果の公表を行う。その結果は、同様に我が国の文教施策の企画立案に活用されることになる。上記を踏まえ、我が国の教育改革の推進等に大きな貢献をした。

4.今後の課題及び政策への反映方針

  PISAについては、わが国の教育の成果を国際的に評価する際の重要な指標として活用している。

我が国の学力の現状把握

  国内の学力調査では、同一問題を繰り返し使い続けることや同一問題数を増やすことにより、調査の制約が大きくなり、国内調査で把握すべき細かな児童生徒の理解の状況などが把握しにくくなることから、経年比較のみで我が国の学力の現状を十分に把握することは難しい。
  PISAやTIMSSといった国際的な学力調査では、各国との相対比較や各回の順位変化等を通じ、ある程度正確に我が国の学力を把握できるため、国として施策の反映に役立っている。

政策評価等への反映

  政策評価などの施策の評価に際しては、国際的な学力調査の結果は、我が国の学力の状況を端的に表すものとして多数言及・引用されている。また、PISAの調査結果については、他の指標と合わせて分析されたものがOECDインディケータ等で掲載されており、それらの各国の教育施策の比較は、国内の施策を考える際の重要な材料となっている。

中央教育審議会の議論へ反映

  国際的に見た我が国の学力の現状については、中央教育審議会の議論に活かし、施策へ反映している。特に昨年12月に公表されたPISA2006の調査結果については、速やかに中央教育審議会に報告を行い、

  • 数学について、知識・技能を実際の場面で活用するよう課題
  • 科学への興味・関心が低い
  • 読解力の向上は引き続き課題

  との調査結果は、理数教育や言語活動の充実という内容を指導要領に盛り込む根拠の一つとなった。

指導方法等へ反映

  読解力については、PISA2003で我が国の児童生徒の得点はOECD加盟国平均と同程度になり、2000年調査から順位・得点の低下が明らかとなった。このため、平成16年12月の調査結果公表後速やかに国立教育政策研究所と文部科学省が協力して調査結果の分析を進め、「読解力向上プログラム」を策定した他、数学的リテラシー、科学的リテラシーに関しても指導資料を作成した。
  全国学力・学習調査でも、PISAで測定している「リテラシー」に相当する「活用する力」を出題しており、児童生徒の課題が明らかになったが、こうして結果と合わせ、指導方法等の改善に対する重要な資料の一つとなっている。

5.主な政策手段

政策手段の名称
[19年度予算額(百万円)]
概要 19年度の実績 21年度の予算要求への考え方
国立教育政策研究所における国際機関等との国際教育協力の実施[101百万円] 「教育改革への教育研究貢献」をテーマとして国際セミナーを開催し、研究協議及び情報交換を行う。
平成18年度に実施したPISA本調査の国際結果を公表する。
TIMSS2007年の本調査を実施する。
平成19年7月にユネスコとの協力40周年を記念し、「教育改革への教育研究貢献」をテーマとして国際セミナーを開催し、研究協議及び情報交換を行った。
平成19年12月に平成18年度に実施したPISA本調査の国際結果を公表した。平成19年3月にTIMSS2007年の本調査を実施(全国150校、約6,000人)した。
継続

お問合せ先

大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --