1.重要対象分野に関する評価について

2.評価対象テーマと対象施策

(1)評価対象テーマ

 以上のような経緯を踏まえ,平成19年11月26日の経済財政諮問会議において,重要対象分野として,1「少子化社会対策に関連する(1)育児休業制度,(2)子育て支援サービス,(3)ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向けた取組」,2「若年者雇用対策」,3「農地政策」の3分野が提示された。
 今回,文部科学省では,「文部科学省政策評価基本計画(平成20〜24年度)(平成20年3月31日 文部科学大臣決定)」及び「平成20年度文部科学省政策評価実施計画(平成20年3月31日 文部科学大臣決定)」等に基づき,諮問会議において提示された3分野のうち,文部科学省所掌の政策に関係する「少子化社会対策に関連する子育て支援サービス」及び「若年者雇用対策」について総合評価方式により重要対象分野の評価を行うことになった。本評価書は,そのうち「少子化社会対策に関連する子育て支援サービス」について評価を行うものである。

(2)対象施策

1少子化社会対策が重要対象分野として選定されるに至った背景

 我が国においては,少子化が急速に進行し,平成17年の合計特殊出生率は過去最低の1.26を記録した。平成19年には合計特殊出生率は1.34に改善したものの,依然として人口を維持するために必要である2.1を大きく下回っており,世界の中でも最も少子化が進んでいる国の一つとなっている。
 これまでも,国は様々な角度から少子化対策を進めてきたが,保育所の受入児童数が増えても,依然として待機児童が存在することや,職場優先,長時間労働の風潮が根強いなどの働き方の見直しに関する取組が進んでいないことなどにより,出生率の低下の流れを変えるには至っていない。
 こうした少子化の流れを変えるために,国・地方公共団体・企業等が一体となって,次世代育成支援対策に計画的に取り組んでいく必要があるが,政府においては,「少子化社会対策大綱(平成16年6月4日 少子化社会対策会議決定)」に基づく重点施策の具体的実施計画として,社会全体で子どもの育ちや子育てを応援する環境づくりを目指す「子ども・子育て応援プラン」を平成16年12月に策定した。また,このような一連の取組を踏まえ平成19年12月には,働き方の見直しによる仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現及びその社会的基盤となる包括的な次世代育成支援の枠組みの構築により,就労と出産・子育ての二者択一構造の解消を目指す「「子どもと家族を応援する日本」重点戦略(平成19年12月 少子化社会対策会議決定)」が取りまとめられた。今後,本戦略等に基づき新たな少子化社会対策が講じられていくことになるが,施策の着実な推進と不断の見直し,改善に資する観点から,今般,「少子化社会対策に関連する(1)育児休業制度,(2)子育て支援サービス,(3)ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向けた取組」について,重要対象分野の評価を行うことになった。

2文部科学省が評価を実施する対象施策

 少子化社会対策における「子育て支援サービス」に関連する施策については,別途,厚生労働省でも評価を行うことになっているが,文部科学省では,平成20年2月に政策評価・独立行政法人評価委員会に設置されている政策評価分科会が示した「重要対象分野に関する評価の大枠について」(以下「評価の大枠」という。)において,重要対象分野別の指摘事項として,「認定子ども園・子どもの放課後児童対策・幼稚園における子育て支援等」が提示されたことを受け,以下の施策について評価を実施することとした。

(a)認定こども園制度(平成18年度〜)

 幼稚園,保育所等のうち,1就学前の子どもに幼児教育・保育を一体的に提供する機能,2地域における子育て支援を行う機能を備える施設について,都道府県知事が「認定こども園」として認定する制度。

(b−1)幼稚園の子育て支援活動の推進事業(平成7年度〜)

 地域住民からの子育て相談,保育室・園庭の開放など,幼稚園において様々な子育て支援活動を行う私立幼稚園の取組に助成を実施している都道府県に対し,文部科学省が支援をする事業。

(b−2)預かり保育推進事業(平成9年度〜)

 幼稚園の正規の教育時間外に,希望者を対象に,各幼稚園の特色を生かしながら,保護者の要請や地域の実情に応じて様々な形で預かり保育を行う私立幼稚園の取組に助成を実施している都道府県に対し,文部科学省が支援をする事業。

(c)放課後子ども教室推進事業(平成19年度〜)

 放課後や週末等に,小学校の余裕教室等を活用し,子どもたちの安全・安心な活動拠点(居場所)を設け,地域の方々の参画を得て,学習活動やスポーツ・文化芸術活動,地域住民との交流活動等の取組を実施する市町村に対し,文部科学省が支援をする事業。

 なお,(a)及び(c)については,事業(制度)開始後間もないため,政策効果が十分に現れていない段階での評価となっている。

-- 登録:平成21年以前 --