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放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令及び法律施行規則の一部を改正する省令

1.規制の名称(法令名) 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則の一部を改正する省令
2.主管課及び関係課 科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室(室長:小原薫)
3.施策目標及び達成目標 施策目標4‐6 原子力分野の研究・開発・利用の推進
達成目標 該当なし
4.規制の概要 (1)医療分野における規制の合理化
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の適用対象から、以下を除外する。
  1. 医薬品の原料又は材料(薬事法の製造所に存するもの)
    ※放射性医薬品については、従来から適用対象外。
  2. 病院又は診療所において行われる治験の対象とされる薬物
  3. これらの他に病院又は診療所において医療を受ける者に投与されるもの(院内製剤)
(2)放射性同位元素等の移動使用の対象と使用目的の追加
 放射性同位元素等の使用の場所の変更の都度、許可を要さず、届出で足りることとする放射性同位元素等の範囲、使用目的を拡大する。
改正案 現行
放射性同位元素 対象 A1値* ただし、A1値が3テラベクレルを超える同位元素又は制限のない同位元素については3テラベクレル 同位元素の種類を問わず、一律370ギガベクレル
目的 物の組成の調査を追加 非破壊検査、物の密度・質量の調査等
放射線発生装置 対象 発生する放射線のエネルギーの大きさが、4メガエレクトロンボルト(4メブ)以下の直線加速装置 放射線発生装置について許可を要さず、移動使用できる規定なし
目的 橋梁・橋脚の非破壊検査
対象 15メブ以下のコッククロフト・ワルトン型加速装置
目的 資源探査のための地下検層
A1値(標準的な放射性同位元素等の輸送形態であるA型輸送物に収納することができる放射性同位元素等の数量の限度。同位元素の種類ごとに定められている。)

(安全確保のための措置)
 この改正では、管理区域の設定や放射線管理等の安全確保の措置は、従来どおり義務付けられる。ただし、許可を受けた使用施設外で使用できる対象機器の範囲が広がるため、この改正によって、放射線利用の安全性が損なわれることのないよう、使用の基準に以下の事項を追加する。
  • 400ギガベクレル以上の放射性同位元素を装備する放射性同位元素装備機器の移動使用をする場合には、当該機器に放射性同位元素の脱落を防止するための装置が備えられていること。
  • 放射性同位元素又は放射線発生装置の移動使用をする場合には、放射線発生装置については第1種放射線取扱主任者免状を有する者を、放射性同位元素装備機器については第1種放射線取扱主任者免状又は同項第2号の第2種放射線取扱主任者免状を有する者の指示の下で行うこと。(当分の間は、370GBq以下の放射性同位元素については、第3種放射線取扱主任者免状を有する者又はガンマ線透過写真撮影作業主任者の指示でもよいこととする。)
(3)特定設計認証制度の対象となる放射性同位元素装備機器の指定
 昨年6月に公布された放射線障害防止法一部改正法において新設された特定設計認証制度に関して、特定設計認証を受けることができる機器として以下のものを指定する。
  1. 煙感知器
  2. レーダー受信部切替放電管
  3. その他その表面から10センチメートル離れた位置における最大線量当量率が1マイクロシーベルト/毎時以下のものであつて文部科学大臣が指定するもの(集電式電位測定器及び熱粒子化式センサ)
(特定設計認証制度導入の背景)
 放射線障害防止法の規制対象下限値を、国際原子力機関(IAEA)等が定めた国際標準に準拠したものに変更したことに伴い、従来、規制の対象となっていなかった放射性同位元素の数量の少ない放射性同位元素を装備した機器についても、規制の対象となることとなった。これらの機器は、一般の建物、船舶、航空機等に用いられており、安全に使用されてきた実績等を踏まえ、特定設計認証制度を新たに導入した。
 ※ 特定設計認証制度:放射線障害のおそれが極めて小さいものとして政令で定めるものについては、放射性同位元素装備機器の製造業者等が予め各々の機器の設計について、特定設計認証を受けることで、安全性を損なわずに、それら放射性同位元素装備機器の個々の使用者に過大な法的義務を課すことなく、従来のとおり放射性同位元素装備機器の利用が行える制度。特定設計認証を受けた放射性同位元素装備機器には、法令で定められた表示を付すことができ、表示を付されたものは表示付特定認証機器として上記の法的義務が緩和される。

(4)施設検査、定期検査の対象の見直し等
 施設検査及び定期検査の対象を以下のように見直す。
改正案 現行
施設検査を必要とする使用・貯蔵等数量 (密封された放射性同位元素)
  • 1個(1台)で10テラベクレル以上
  • 貯蔵能力が10テラベクレル以上
(密封されていない放射性同位元素)
  • 下限数量の10万倍以上
(密封された放射性同位元素)
  • 貯蔵能力が37テラベクレル以上
(密封されていない放射性同位元素)
  • 貯蔵能力740メガベクレル以上
放射線発生装置 同上 (密封された放射性同位元素)
  • 貯蔵能力が111テラベクレル以上
(密封されていない放射性同位元素)
  • 貯蔵能力740メガベクレル以上
   ※ 放射線発生装置を使用する者、許可廃棄業者は、従来どおり施設検査及び定期検査の対象
  
(5)定期確認の期間
 昨年6月に公布された放射線障害防止法一部改正法において新設された定期確認制度に関して確認を受けなければならない期間を定期検査と同じ期間に定める。
  • 放射線発生装置を使用する者、許可廃棄業者は、従来どおり施設検査及び定期検査の対象 5年ごと
  • 放射線発生装置を使用する特定許可使用者 5年ごと
  • 密封されていない放射性同位元素を使用する特定許可使用者 3年ごと
  • 許可廃棄業者 3年ごと
   ※ 定期確認制度:特定許可使用者(一定の数量以上の放射性同位元素を使用する者)等(施設検査・定期検査の対象者)の放射線の測定の記録、使用の帳簿を定期的に確認する制度。
  
(6)定期講習の対象及び期間
 昨年6月に公布された放射線障害防止法一部改正法において新設された定期講習制度に関して講習を受けなければいけない対象者と期間を定める。
  • 対象者:許可届出使用者
     許可廃棄業者
     届出販売業者、届出賃貸業者(表示付特定認証機器のみを販売又は賃貸する者並びに放射性同位元素等の事業所の外における運搬及び運搬の委託を行わない者を除く。)
  • 期間:放射線取扱主任者に選任されたときから1年以内
    ※ 放射線取扱主任者に選任される前1年以内に定期講習を受けた者を除く。
    定期講習を受けた日から3年以内
    ※ 届出販売業者及び届出賃貸業者にあっては5年以内
 ※ 定期講習制度:許可届出事業者が選任した放射線取扱主任者が定期的に講習を受講する制度
5.規制の必要性  放射性同位元素の規制対象下限値の変更(国際原子力機関(IAEA)等が定めた国際標準に準拠するものへの変更)に伴う規制の合理化等を行うために改正した放射線障害防止法を施行するため、所要の規定の整備を行うもの。
6.規制の便益分析(リスク分析を含む)

(1)医療分野における規制の合理化
 1)医薬品の原料又は材料を放射線障害防止法の対象から除外することにより、同法と薬事法の二重規制を解消することができる。
(受益者:放射性医薬品製造事業所3事業所、このほか海外からの放射性医薬品輸入事業者も放射線障害防止法の許可が不要となる。)
 2)治験薬、院内製剤の人への投与について、放射線障害防止法から除外し、医療法での関係規定を整備することにより、医療法の下で一元的に規制を受けることとなる。なお、医療法では、現在、診療用放射性同位元素について、国の許可制ではなく、都道府県知事への届出により規制している。(今回の改正の施行は、医療法で関係規定が整備された後に行うこととする。)
 放射性物質を用いた治験は、放射性医薬品のみならず、一般の医薬品の開発においても、薬物の人体中の挙動を知るために有効である。放射性物質を用いた治験は、我が国の企業が必要とするものであっても、現在、外国で実施されている。企業の動向、関係法令の規定整備等次第では、我が国における治験の増加が期待される。

 今回の改正により、放射性医薬品を含め、医療目的での放射性物質の人への投与については、放射線障害防止法では規制せず、医療法による規制に一元化されることとなる。これにより、放射線障害防止法と医薬関係法令の役割の区分が明確化する。(潜在的事業者:医療機関約800事業所)

(2)放射性同位元素等の移動使用の対象と使用目的の追加
 移動使用の目的として「物の組成の調査」を追加することにより、蛍光X線分析装置を許可を要さずに移動して使用できることが法令上明確になり、放射線の利用の多様化に対応することができる。また、移動使用できる放射性同位元素の数量を拡大することにより、非破壊検査について、検査に要する時間の短縮や線源の調達のための平均コストが低減すること、さらには海外で使用されている検査用の機器の利用が可能となることから、事業者の負担を軽減することができる。
 また、従来は届出による移動使用が認められていなかった放射線発生装置について、今回、届出により移動使用できる対象として追加することにより、地下検層等の放射線利用の多様化に対応することができる。
(受益者:約50事業所(非破壊検査事業者)非破壊検査件数年間約2000件)

(3)特定設計認証制度の対象となる放射性同位元素装備機器の指定
 昨年6月に公布された放射線障害防止法一部改正法により放射性同位元素の規制対象下限値を変更したことにより、以下の参考に示すような放射性同位元素の数量の少ない放射性同位元素装備機器が新たに規制対象となる。
これらは社会で広く利用されていることから、これらの機器を新設された特定設計認証制度の対象として指定することにより、放射線利用の安全性を損なうことなく、新たに規制の対象となった当該機器を使用する個々の使用者の法的義務を最低限に留めることができるという大きな便益がある。
 これらの放射性同位元素装備機器で製造業者等が特定設計認証を取得したものについては、使用者及び販売業者は、機器の廃棄については留意する必要があるものの、国へ届出を行う必要もなく、他の一般の放射性同位元素の使用者に課されている使用等の帳簿の作成、放射線等の測定、定期的な健康診断の実施や国への報告等、種々の放射線障害防止法上の義務の適用がなくなるため、使用者等の負担が大幅に軽減されるものである。

(参考:国内使用台数(概数))
 煙感知器:数百万台
 レーダー受信部切替放電管:10,000台
 集電式電位測定器:4,000台
 熱粒子化式センサ:5,000台

(4)施設検査、定期検査の対象の見直し等
 施設検査及び定期検査の対象の見直しは、最新の科学的知見に基づいて、検査対象を適正化するものであり、規制の一層の合理化が図られるという便益がある。
 特に、今回の密封された放射性同位元素に関する検査対象の見直しにより、最近、国際原子力機関(IAEA)が定めた放射線源の安全上の分類において最も潜在的な危険性が大きいとされるカテゴリー1に分類される機器等が検査対象となる。このことにより、事故等による放射線障害等の潜在的リスクを低減することができる。

(5)定期確認の期間
 近年の事故の事例においては、施設・設備の不備(ハード面)を原因とするものではなく、ずさんな管理、誤操作等(ソフト面)に起因しているものが約8割を占めている。このため、従来の施設検査、定期検査(ハード面の検査)に加え、新たに安全管理の状況(ソフト面)を確認する制度を創設したものである。この定期確認により事業者の意識の向上を含めた安全管理の向上が期待される。

(6)定期講習の対象及び期間
 現在、放射線取扱主任者の資質の維持・向上は、各放射線取扱主任者の自発的な研鑽に委ねられている。放射線取扱主任者は、事業所における放射性同位元素等の取扱いの管理・監督を行う指導的な立場の者であり、この者の資質は、放射線利用の安全性の向上・低下に多大な影響を及ぼす。この重要な役割を果たす放射線取扱主任者の資質の維持・向上について、個人の自発的な研鑽のみに期待するのではなく、制度として位置づけることにより、能力の維持・向上を図ることができる。
 講習の内容は、最近の事故事例から得られた知見や法令改正に伴う実務上の適用例の知見等について各々の放射線取扱主任者が理解を深めることができるものとなっている。

7.規制の費用分析(規制実施による行政コスト、遵守コスト、社会コスト等)

(1)医療分野における規制の合理化
(行政コスト)
 放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の適用対象から除外することにより、規制対象となる事業所が減少し、許可審査、施設検査、定期検査等に必要なコストの減少が期待される。

(遵守コスト)
 薬事法との二重規制及び新たに放射線障害防止法から移管されることとなる事業者の尊守コストは、薬事法との二重規制となっている事業者については放射線障害防止法における手続き等に係る人件費等が解消されることとなるが、その他のコスト(施設の技術基準の遵守のためのコスト等)については現状でも同様な基準が二重で課されていることから、放射線障害防止法の適用がなくなったとしても、今までと変わらないものと考えられる。
 治験薬の人への投与を行う医療機関については、放射線障害防止法の許可を要しないことに伴うコストの低減が考えられる。医療機関における院内製剤の人への投与については、放射線障害防止法の許可を要しないものの、院内での薬剤の製造に放射線発生装置又は放射性同位元素を使用する場合には、引き続き放射線障害防止法の許可が必要となるため、放射線障害防止法について、全体としては遵守コストは変わらないものと考えられる。

(社会コスト)
 事業者が規制を受ける根拠となる法令の変更(移管)であるため、社会が新たなコストを負担するものではない。また、規制の内容が変更されるものではないことから放射線利用に係る安全性は維持されるため、事故等による周辺住民への影響等の潜在的リスクとしての社会的コストに変更はない。

(2)放射性同位元素等の移動使用の対象と使用目的の追加
(行政コスト)
 移動使用について、許可を要さず、届出のみで足りるため、審査等は要しない。したがって、対象機器が拡大し、届出件数が増加したとしても、人件費等のコストの上昇はないと考えられる。

(遵守コスト)
 新たに、移動使用に当たって、放射線取扱主任者免状を有する者(以下「有資格者」という。)の指示の下で行うことを義務付けたため、一定数の有資格者を確保する必要があり、人件費の上昇の可能性がある。(この人件費の上昇は、既に社内に選任はされていないが有資格者が多数いる場合、新たに外部から有資格者を雇用する場合、従業員を有資格者に養成する場合など多様な場合が想定されるため定量的な評価はできないが、今回の改正では、経過措置として、当分の間は従来から使用されている370ギガベクレル以下の放射性同位元素については、第3種放射線取扱主任者免状を有する者(講習のみで取得可能)又はガンマ線透過写真撮影作業主任者(現在も労働安全衛生法法により配置)の指示でもよいこととするため、現在移動使用に用いている機器の使用に係る人件費については、ほぼコスト上昇はないものと考えられる。)
 また、放射性同位元素装備機器については、線源の脱落防止機構の装備を義務づけるが、400ギガベクレル上の機器が対象であり、現在許可を要しない移動使用に使われている370ギガベクレル以下の機器についてはコストの上昇はない。

(社会コスト)
 移動使用の対象と使用の目的を追加・新設するものであり、これにより、新たな社会的なコストの上昇は考えられない。
 また、、今回、移動使用できる放射性同位元素の数量の拡大及び放射線発生装置の移動使用を可能とすることにより移動使用中に放射線障害が発生する潜在的リスクが増加するとの指摘もあるが、今回の改正は、簡素な手続きを適用できる範囲を拡大するのみであり、管理区域の設定や放射線管理等の安全確保の措置は、従来どおり義務付けられる。さらに、今回新たに線源の脱落防止機構を備えること、移動使用は放射線取扱主任者免状を有する者等の指示の下で行わなければならないこととすることとしており、法的義務を新設し、取扱いに対する安全性の確保のための措置を強化していることから、放射線利用の安全性の観点から、事故等による周辺住民への影響等の潜在的リスクとしての社会的コストは、従来から使用されている370ギガベクレル以下の機器については低減し、新たに届出により移動使用できることとなる機器については現在と同等であると考えられる。

(3)特定設計認証制度の対象となる放射性同位元素装備機器の指定
(行政コスト)
特定設計認証制度の実施により、個々の設計に対する審査業務が新たに発生するが、昨年6月に公布された放射線障害防止法一部改正法により、登録認証機関制度が導入されており、実際の審査業務は当該機関に委ねることとしているため審査のための直接的な行政コストの上昇はないと考えられる。(登録認証機関は関係法令及び文部科学大臣の認可を受けた「設計認証業務規程」に基づき、申請者から手数料を徴収して審査業務を実施するものであり、経理的に国と独立している。国からの審査のための委託費あるいは役務費等の直接的な行政コストは発生しない。)

(遵守コスト)
  特定設計認証制度の実施により、製造業者等が個々の設計について、特定設計認証を取得するための新たなコストが発生する。しかしながら、特定設計認証の登録認証機関への申請に伴う手数料は、登録認証機関が国の認可を受けて定めることとなっており、登録機関制度により、複数の機関の参入が可能であるため、手数料が不当に高いものに硬直化することはないと考えている。
なお、特定設計認証を受けた機器の廃棄については、放射線障害防止法の許可届出使用者、許可廃棄業者への委託を求めることとしている。規制対象ではない現在も製造者等による自主的な回収が行われているものであり、大きなコスト増をもたらすものではない。

(社会コスト)
  特定設計認証制度の実施により、従来から使用されている放射性同位元素の数量の少ない放射性同位元素装備機器が、安全性が損なわれることなく、引き続き使用できるものであるので、新たな社会的コストは発生しない。

(4)施設検査、定期検査の対象の見直し等
(行政コスト)
  上述の登録認証機関と同様に、実際の検査業務は、登録検査機関に委ねることとしているため直接的な行政コストの上昇はないと考えられる。
なお、登録検査機関は、対象事業者からの手数料の徴収により運営するものであり、国と経理的に独立している。定期検査業務に関する国からの委託費、役務費の支出も予定されていない。

(遵守コスト)
 新たに検査の対象となる事業者の検査のためのコストは増加する。施設検査、定期検査の1回当たりの手数料は、国が直接検査を実施した場合の現行の手数料に照らせば、25万円程度となる。登録検査機関制度では複数の機関の参入が可能であるため、手数料の適時の見直しや定期確認と同時に受ける場合等の弾力的な料金設定が想定される。これらにより、実際の手数料は適正な価格に収束していくものと考えられる。
 今後検査の対象でなくなる事業者は、施設検査、定期検査に係るコストが解消されることとなる。

  • 密封された放射性同位元素について、従来検査対象ではなく、新たに検査対象となる放射性同位元素を使用している使用者 約40事業所
  • 密封されていない放射性同位元素について、従来検査対象ではなく、新たに検査対象となる貯蔵能力を有している使用者 約140事業所
  • 従来検査対象であり、改正後は検査対象ではない貯蔵能力等の使用者 約40事業者

(社会コスト)
 検査対象の見直しに係る変更であり、手数料は事業者が負担するものであるため、これにより、新たな社会コストは生じないものと考えられる。また、検査の対象を、国際原子力機関(IAEA)が定めた放射線源の安全上の分類に基づいて適正化するものであることから、安全上重要な施設に対して検査が実施されることとなり、放射線利用の安全性が向上し、事故等による周辺住民への影響等の潜在的リスクとしての社会的コストが低減することとなる。

(5)定期確認の期間
(行政コスト)
 前述の登録認証機関と同様に、実際の確認業務は、登録定期確認機関に委ねることとしているため直接的な行政コストの上昇はないと考えられる。
 なお、登録定期確認機関は、対象事業者からの手数料の徴収により運営するものであり、国と経理的に独立している。定期確認業務に関する国からの委託費、役務費の支出も予定されていない。

(尊守コスト)
 定期確認制度の新設により確認の対象となる事業者(約1100事業所)のコストが増加する。国が確認を実施する場合、定期確認1回あたり、定期検査と同程度の遵守コストが発生すると想定される。ただし、施設検査、定期検査と同様に登録定期確認機関の制度を設けており、これらの機関が認可を受けて設定した手数料による実施が想定されており、複数機関の参入が可能であるため、手数料が不当に高いものに硬直化されることはないと考えられる。また、定期確認を受けなければならない期間を上記の定期検査と同じ期間に設定したことにより、同時に定期確認を受けることが可能となることから、現場に定期確認員が赴く交通費等のコストの削減が行われコストの増加は必要最小限にとどめられている。

(社会コスト)
 事業者の定期確認の期間の設定に関することであるため、これにより直接的な新たな社会コストは生じないものと考えられる。また、事業者の安全管理を定期的に確認することによって放射線利用に係る安全性が向上し、事故等による周辺住民への影響等の潜在的リスクとしての社会的コストが低減することとなる。

(6)定期講習の対象及び期間
(行政コスト)
 前述の登録認証機関と同様に、実際の定期講習の実施については、登録定期講習機関に委ねることとしているため直接的な行政コストの上昇はないと考えられる。なお、登録定期講習機関は、受講者からの受講料の徴収により運営するものであり、国と経理的に独立している。定期講習業務に関する国からの委託費、役務費の支出も予定されていない。

(遵守コスト)
 事業者の放射線取扱主任者に対する定期講習に係るコストが増加するが、事業者に過大な負担を課さないよう、時間、金額ともに必要最小限となるようおさえることを予定している。前述の施設検査、定期検査と同様に登録定期講習機関の制度を設けていることから、複数機関の参入が可能であるため、受講料が不当に高いものに硬直化されることはないと考えられる。
 また、期間としては、3年又は5年に1度受講することを義務つけるものであるが、一方、定期講習によって得ることができるものは、最近の事故事例から得られた知見や法令改正に伴う実務上の適用例の知見等であり、各々の事業者が自身の放射線利用の安全性の向上や、取扱いの実務に関する合理化等に活かせるものであるため、事業者に過大な負担となるものとは考えられない。

(社会コスト)
 事業者の講習の受講に関する制度であるため、これにより新たな社会コストは生じないものと考えられる。また、放射線取扱主任者の資質の維持・向上を図ることにより放射線利用に係る安全性が向上し、事故等による周辺住民への影響等の潜在的リスクとしての社会的コストが低減することとなる。

 上記6及び7の便益・費用を総合的に勘案すれば、便益が明らかに優位であり、また、新たに生じる費用も必要最小限のものであると考えられることから、(1)から(6)までの規制の新設・変更等を導入することが合理的と判断している。

8.想定できる代替手段との比較考量 (1)医療分野における規制の合理化
 代替手段としては、現行制度の維持が考えられるが、本制度改正は一定の便益が期待される一方、費用面では少なくても現行より上昇することがない。一方、現行制度が維持された場合、費用面では変わらないが、制度改正による便益が得られないこととなる。そのため、医療分野における規制の合理化をすることは妥当と判断した。

(2)放射性同位元素等の移動使用の対象と使用目的の追加
 代替手段としては、現行制度の維持があるが、現行制度を維持する場合には遵守コストが発生しない一方、今回改正案のとおり移動使用の対象を拡大して、同時に安全のための措置を講じる場合には、非破壊検査等の事業の効率化や安全性の向上という便益が期待できる。それに伴うコストも、現在移動使用に使われている機器については当分の間は、より簡便な措置を講じれば良いこととされており、実質的に現行制度の維持の場合と、それほど差異がないものと考えられる。そのため、移動使用の対象を拡大と安全のための措置を同時に講じることが妥当と判断した。

(3)特定設計認証制度の対象となる放射性同位元素装備機器の指定
 特定設計認証制度の代替手段としては、今回放射線障害防止法施行令において放射性同位元素装備機器の指定を行わないことにより、昨年6月に公布された放射線障害防止法一部改正法よって取り入れられた特定設計認証制度の規定を実質的に空文化させ、新たに規制対象となる機器についても、現行の規制を全て適用させ他の放射性同位元素装備機器と同様の法的義務を課す手段があり得る。(そもそもそうした選択肢は、昨年6月の法律改正の主旨に反するため選択し得ない。)その場合、個々の使用者は届出等の行政手続きを行い、使用に際しては帳簿を作成しなければならない等の利便性が低下するばかりでなく、放射線障害防止法を遵守するために必要な知見を得る必要が生じるため、大きな負担を要することとなり、社会的混乱を招くおそれがあるという点で問題がある。
 特定設計認証制度は、放射線利用の安全性を損なうことなく、同時に個々の使用者の利便性も損なわないで、従来どおり放射性同位元素装備機器を使用できるようにするため導入された制度である。
 今回の放射線障害防止法施行令の改正において、当該制度の主旨を貫徹して、放射性同位元素装備機器の指定を行うことで、適切に特定設計認証制度の運用が行われていくものであり、その便益は非常に大きいものである。
 以上から当該制度を適切に履行するため具体的機器の指定をすることが妥当と判断した。

 今後、今回指定する対象機器以外の機器についても指定をすることについては、次のとおり考える。
 今回指定する特定設計認証の対象機器は、いずれもアメリシウム241という同位元素を用いる機器である。アメリシウム241から発生するアルファ線(放射線の一種)は、透過力が弱く、紙1枚で遮へいできる。このため、人体への影響については、体外にある同位元素から発生する放射線ではなく、同位元素を体内に取り込んだときの放射線に注意すべきものである。固体状で機器に装備されている状態では、体内に取り込まれる危険性はほとんど考えられない。アメリシウム241からは、ガンマ線(放射線の一種)も発生するが、対象とした機器から発生するガンマ線については、その近くにいる人に与える影響は無視できるほど小さいものである。また、これらの機器の線源は、装置に内蔵されており、使用者が線源そのものを取り扱うというものではない。このようにアメリシウム241を使用している放射性同位元素装備機器の危険性は高くはないことから、アメリシウム241を使用する主要な機器について、今回の指定対象機器としたものである。
 特定設計認証の対象機器となっているアメリシウム241を使用する放射性同位元素装備機器以外の機器の利用に対しては、昨年6月公布の放射線障害防止法一部改正法において、設計認証の制度を設けている。この制度は、対象機器を限定せず、認証を受けることができることとしている。具体的には、次のとおりである。機器製造者等は、機器の通常の使用に伴い、受ける放射線の量がわずかであること等について認証を受けることができる。この認証を受けた機器の使用者は、使用開始後に届出を要するものの、取扱説明書に記載された認証条件に従って使用することで、一般の放射性同位元素の使用者に課されている義務のうち多くのものが課されない。特定設計認証の対象機器以外の機器については、このような制度が用意されており、リスクの小さい機器については、合理的に使用できる制度となっていることから、今回指定する対象機器以外の放射性同位元素装備機器の使用についても、安全性を損なうことなく、使用者の利便性にある程度配慮した措置も講じられているが、今後、今回指定する対象機器以外の機器についても、特定設計認証の対象とすることが望ましいとの検討がされれば、告示により将来的な指定の追加も可能な規定となっている。
 以上のことから今回の指定は妥当なものと考えられる。

(4)施設検査、定期検査の対象の見直し等
 代替手段としては、現行制度の維持があるが、この場合、国際的な最新の科学的知見に基づいて、機器等の危険性に相応した検査対象の設定がなされていないこととなり、数量の小さな機器のみを多数使用している者が検査対象となるなど個々の事業者によっては不当に厳しい規制が課され無駄なコストを強いることとなるおそれがある。
 一方、検査対象を見直した場合、新たに検査対象となる事業者はコストが発生するが、このコストは使用している放射性同位元素の潜在的危険性に応じた安全性の確保のための必要的コストであると考えられる。
 以上から、検査の対象を見直さないで、現行制度のままとすることにより、得られる便益は無く、現状の規制の合理性の確保の観点から見直しを行うことが必要と考えられる。
 また、検査対象を見直すことで、比較的危険性の高い事業所が検査の対象となることから、放射線利用の安全性が向上し、事故等による周辺住民への影響等の潜在的リスクとしての社会的コストが低減することからも、検査対象の見直しをすることは妥当であると判断した。

(5)定期確認の期間
 代替手段としては、より長期に期間を設定することが考えられるが、昨今の放射線利用に係る事故の事例では、施設自体の健全性(ハード面)に起因したものよりも、ずさんな管理など取扱い(ソフト面)の安全性に起因したものが増加しており、このことからより頻繁に個々の事業者の取扱いについて、その遵守状況を確認することが必要と考えられる。他方、個々の事業者に対して定期検査(ハード面)が実施されている現状から、これと同時に定期確認が行えるよう期間を設定することにより、定期確認のためのコストがおさえられ、より少ないコストで効果的に安全性の確保が図られると考えられるため、定期検査と同じ期間とすることが妥当と判断した。

(6)定期講習の対象及び期間
 代替手段としては、現状のように放射線取扱主任者の資質の維持・向上については、各放射線取扱主任者の自発的な研鑽に委ねることで、特段制度化をしないという方法が考えられるが、放射線取扱主任者は放射性同位元素等の取扱いの管理・監督を行う指導的な立場の者であり、この者の資質は、放射線利用の安全性の向上・低下に多大な影響を及ぼすため、これは個人の自発的な研鑽のみに委ねる性格のものではなく、制度として位置づけることにより、放射線利用の安全性を確保し、社会リスクの軽減を図るべきものであると考えられる。
 受講期間について異なる設定とする代替案については、次のとおり考える。より長期に設定した場合、期間が空きすぎることにより、事業者及び放射線取扱主任者の意識の向上についての効果が小さいと考えられる。また、より短期に設定した場合、事故や法令の適用等に関して多数の事業者に参考となる新たな事例の蓄積が少なく、結果として同内容の講義を続けて受講することになりかねない。これらに鑑み、今回の改正内容の期間とした。
 定期講習制度の新設により事業者は放射線取扱主任者を講習へ参加させるための新たなコストが発生するが、講習の対象となる放射線取扱主任者は実際に放射性同位元素を取扱う事業者にのみ限定しており、かつその期間は、必要最低限となるよう設定されていることから、社会全体の放射線利用の安全性の向上という便益と比較して、これらは安全確保のための必要的コストであると考えられることから、当該制度を導入することは妥当と判断した。
9.規制を見直す条件  放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律については、法施行後10年以内に、放射性同位元素及び放射線発生装置に係る規制のあり方について、その時点における科学的知見、同法の施行状況等を勘案し、同法の規定に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じることとされており、その中で、同法施行令及び同法施行規則の規定についても検討が加えられる。 10.レビューを行う時期
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の施行後10年以内
11.備考

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-- 登録:平成21年以前 --