(3)規制に関する評価

規制名 埋設の方法による廃棄の事業を行う原子力事業者が講じるべき賠償措置額の改定等
【主管課:研究開発局原子力計画課】
【関係課:】
評価結果の概要 1.規制の目的、内容及び必要性等
 「原子力損害の賠償に関する法律」においては、原子力損害が万が一発生にした場合に迅速に被害者を救済するため、原子力事業者に対しあらかじめ損害賠償措置を講じることを規定している。今般、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」が改正され、廃棄物埋設の事業の対象が拡大されたことに伴い、原子力損害賠償制度の趣旨を担保するため、廃棄物埋設に係る損害賠償措置についても所要の変更を行う必要がある。
 具体的には、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の廃棄物埋設事業者が講じるべき賠償措置額を、120億円として設定するとともに、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)以外の廃棄物埋設事業者が講じるべき賠償措置額は原子力損害の賠償に関する法律施行令改正後においても、20億円とする。これにより、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の廃棄物埋設の事業を含め、原子力事業者が行う種々の業種について、その内容に応じた適切な賠償措置を講じる義務を原子力事業者に課すこととなり、万が一原子力損害が発生した場合の賠償履行を適切に担保し、もって原子力分野の利用の円滑な推進に資することとなる。
2.法令の名称・関連条項とその内容
 原子力損害の賠償に関する法律施行令案第1条第5号(原子炉の運転等)、第2条(賠償措置額)
3.想定される代替案
 原子力事業者が行う廃棄物埋設の事業に係る賠償措置に関する現行の規定を変更しないこと。
4.規制の費用
(遵守費用)
 高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の廃棄物埋設を行う原子力事業者が負担する費用は以下の二つ。
 (1)原子力事業者が政府と締結する原子力損害賠償補償契約に係る経費
 (2)原子力事業者が民間保険事業者との間で締結する原子力損害賠償責任保険契約に係る経費
 当該廃棄物埋設を行う事業所1ヶ所あたりの費用に関し、
 (1)については、120億(賠償措置額)×5/10000(年間料率)=600万(年額600万円)
 (2)については、当該契約が民間契約であることから、正確に算出することは困難。
 また、これらに加え、当該廃棄物埋設を行う原子力事業者は、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の輸送の都度、輸送に係る原子力損害賠償補償契約及び原子力損害賠償責任保険契約を締結する必要がある。
 したがって、原子力損害賠償責任保険契約に係る経費を年額で「α}、輸送に関する原子力損害賠償補償契約及び原子力損害賠償責任保険契約に係る経費を年額で「β」とすると、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の廃棄物埋設を行う原子力事業者の負担は、600万+α+βとなる。(行政費用)
 原子力損害賠償に係る一般的な事務手続等に要する費用。また、当面高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の廃棄物埋設を行う事業所の数が多くなることは想定されないため、これに係る事務手続きのための追加的行政費用はほとんど生じないものと考えられる。
(社会的費用)
 今回の政令改正は、廃棄物埋設を行う原子力事業者が講ずるべき賠償措置額の改定であり、社会に新たなコストを生じさせるものではない。
5.規制の便益
(社会便益)
 万が一原子力損害が発生した場合に、被害者の権利を保護するとともに、迅速に被害者を救済することが可能となる。
(直接便益)
 万が一原子力損害が発生した場合に、当該事業者の財政的なリスクを軽減し、事業の円滑な推進に資する。
6.政策評価の結果(費用と便益の関係の分析等)
 今回の原子力損害の賠償に関する法律施行令に改正による、廃棄物埋設を行う原子力事業者が講じるべき賠償措置額の改定は適切である。
評価結果の政策への反映状況  政策評価の結果を踏まえ、原子力損害の賠償に関する法律施行令の改正を行った。
規制名 司書補の学歴要件の拡大
【主管課:生涯学習政策局社会教育課】
【関係課:】
評価結果の概要 1.規制の目的、内容及び必要性等
(概要)
 司書補の学歴要件について、「高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者又は高等専門学校第3学年を修了した者」を学校教育法第90条第1項の規定により、「大学に入学することのできる者」と改正する。
(必要性)
 司書補の資格要件として、一定の学力要件により高等学校卒業程度以上の基本的教養を有する者であることを認めることに支障はなく、むしろ、多様な学習機会による同水準と認められる学習歴を資格要件として認めることは、生涯学習社会の実現を目指す社会教育法の理念に適うものである。
2.法令の名称・関連条項とその内容
 社会教育法等の一部を改正する法律案
3.想定される代替案
 司書補の学歴要件の撤廃
4.規制の費用
 新たな費用が生じるものではない。
5.規制の便益
(直接便益)
 高等学校卒業程度認定試験の合格者等についても、図書館法第6条に基づく講習を受講すれば司書補となる資格を有することになる。
(社会便益)
 より多様な人材が図書館において活躍することが見込まれる。
6.政策評価の結果(費用と便益の関係の分析等)
 評価結果は妥当。
評価結果の政策への反映状況  当該規制緩和を実施するための法律の改正を行うこととした。
規制名 資格に関する規定の見直し
【主管課:生涯学習政策局社会教育課】
【関係課:】
評価結果の概要 1.規制の目的、内容及び必要性等
(概要)
 社会教育主事、司書及び学芸員等の資格要件(実務経験)については、それぞれ、社会教育主事補、司書補及び学芸員補としての勤務経験を中心としているが、今般、資格を取得するために必要な実務経験として、社会教育に係る他の専門職等における実務経験も評価できるよう範囲を拡大する。
(必要性)
 近年、図書館と博物館による共同企画や連携事業の実施など社会教育施設相互間の連携協力が進展しており、図書館・博物館の事業が、単に図書の貸し出しや博物館資料の展示のみならず、来館者や学習団体等への指導・援助、活動の機会の提供など、より積極的で幅広いものとなってきている。このため、社会教育関係の専門職として求められる知識・技能やその職務に関する理解は、当該専門職が配置される社会教育施設で従来求められてきたものにとどまらなくなってきている。その意味で、当該専門職となろうとする者に、社会教育に係る専門職についての基礎的素養としての知識・理解や職に関する理解の習得として、他の実務経験も含めた多様な経験を認めることは、幅広い素養の上に専門的知識・技能を有する専門職の養成・確保の観点から大きな意味を有している。同時に、当該専門職にあることにより獲得することができる経験や職種に関する理解も、当該社会教育施設固有の業務に関する経験・理解にとどまらなくなってきている。
2.法令の名称・関連条項とその内容
 社会教育法等の一部を改正する法律案
3.想定される代替案
 資格を取得するために必要な実務経験の範囲を社会教育に係る専門職としての基礎的素養と評価できるものに限らず無制限に拡大する。
4.規制の費用
 新たな費用が生じるものではない。
5.規制の便益
(直接便益)
 より多様な人材に対し、社会教育に係る専門的資格取得の機会を拡げることができる。
(社会便益)
 専門的職員の増加を通じて施設の種別を超えた連携・協力が一層進むことに資する。
 利用者については、より幅広い知識・経験を持った専門的職員から多様な学習機会の提供を受けることが可能となる。
6.政策評価の結果(費用と便益の関係の分析等)
 評価結果は妥当。
評価結果の政策への反映状況  当該規制緩和を実施するための法律の改正を行うこととした。
規制名 学校保健に関する規制
【主管課:スポーツ・青少年局学校健康教育課】
【関係課:】
評価結果の概要 1.規制の目的、内容及び必要性等
<学校保健計画の策定>
(概要)
 健康診断、環境衛生検査のほか、新たに児童生徒等に対する指導等を盛り込んだ学校保健に関する事項について計画を策定、実施する。
(必要性)
 学校保健及び学校安全の課題が深刻かつ多様になっていることから、「学校保健安全計画」を「学校保健計画」と「学校安全計画」に別個独立した計画として策定、実施されるよう明確化するとともに、児童生徒等の健康増進の観点から、保健に係る指導に関する事項を最低限の必要的記載事項とすることが必要である。
<学校の環境衛生の改善措置>
(概要)
 文部科学大臣が定める学校環境衛生基準に照らし、校長が学校の環境衛生に関し適正を欠く事項があると認めたときは、遅滞なくその改善のために必要な措置を講ずる等。
(必要性)
 「学校環境衛生の基準」が達成されていない現状を踏まえ、同基準を法律において明確に位置付けるとともに、定期衛生検査等の結果に基づく事後措置に関して、校長が果たすべき役割を規定することにより、学校環境衛生の適切な維持改善を図る必要がある。
<養護教諭その他の職員による保健指導の明確化>
(概要)
 養護教諭やその他の教職員が、相互に連携して、児童生徒等の健康状態の日常的な観察等により、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上の問題があると認めるときは、当該児童生徒等に対して必要な指導を行う等。
(必要性)
 心の課題を抱える児童生徒等に適切に対応するため、養護教諭が中心となって、日常的な健康観察などを通じて把握した児童生徒等の健康上の課題に対する保健指導を行うことが求められており、法律上、養護教諭その他の職員による保健指導の明確化を図る必要がある。
2.法令の名称・関連条項とその内容
 学校保健安全法
3.想定される代替案
<学校保健計画の策定>
 ・「学校保健計画」の策定について、地方公共団体の条例で定める。
 ・「学校保健計画」の策定について規定しない。
<学校の環境衛生の改善措置>
 ・学校における環境衛生の改善に関する業務について、一般企業等に外部委託する。
<養護教諭その他の職員による保健指導の明確化>
 ・養護教諭その他の職員による保健指導上の役割について具体的に規定しない。
4.規制の費用
 新たな費用が生じるものではない。
5.規制の便益
 (直接便益)
<学校保健計画の策定>
 ・現代の学校保健に関する課題について、教職員の共通理解が容易となる。
 ・保健管理と教育指導が整合性を持って取組む体制の整備が計画的に図られる。
<学校の環境衛生の改善措置>
 ・学校において、学校環境衛生の適切な維持改善が図られる。<養護教諭その他の職員による保健指導の明確化>
 ・養護教諭等が現代的な健康課題について適切な指導を行う体制を構築することによって、学校保健の充実が図られるようになる。
(社会便益)
<学校保健計画の策定>
 ・学校保健の取組の充実が図られ、児童生徒等の健康増進に資する。
<学校の環境衛生の改善措置>
 ・児童生徒等の健康の保持に資する。
<養護教諭その他の職員による保健指導の明確化>
 ・児童生徒の健康で健やかな成長に資する。
6.政策評価の結果(費用と便益の関係の分析等)
 評価結果は妥当。
評価結果の政策への反映状況  当該規制を実施するための法律の改正(学校保健法等の一部を改正する法律(平成20年法律第73号))を行った。

(注) 本表には、評価対象とした規制の新設又は改廃に係る政策において、発生する効果と負担の関係を分析するのに適した評価の単位3件が含まれる。

規制名 学校安全に関する規制
【主管課:スポーツ・青少年局学校健康教育課】
【関係課:】
評価結果の概要 1.規制の目的、内容及び必要性等
<学校安全計画の策定>
(概要)
 当該学校の施設設備の安全点検のほか、新たに通学時や学校生活などの日常生活において安全を確保するための指導や、職員の研修等を盛り込んだ安全に関する事項について計画を策定、実施する。
(必要性)
 学校保健及び学校安全の課題が深刻かつ多様になっていることから、「学校保健安全計画」を「学校保健計画」と「学校安全計画」に別個独立した計画として策定、実施されるよう明確化するとともに、児童生徒等の安全の確保等学校安全の重要性が高まっていることから、これまでの安全点検に加え、職員の研修、安全指導に関する事項を最低限の必要的記載事項とすることが必要である。
<危険箇所の改善措置>
(概要)
 校長は、児童生徒等の安全の確保を図るため、学校の施設設備の安全点検を行った結果、改善を図る必要があると認められる事項を発見したときは、遅滞なくその改善のために必要な措置を講ずる等。
(必要性)
 安全点検を行った結果の事後措置について、改善を図る必要のある事項が発見された場合、校長が当該措置について果たすべき役割を規定することで児童生徒等の安全な学校生活の維持改善を図る必要がある。
<各学校における危険発生時の対処要領の作成等>
(概要)
 学校においては、当該学校の実情に応じて、危険等発生時に当該学校の職員がとるべき対応について、その具体的内容及び手順を記載した対処要領を作成する。
 また、校長は、職員に対する危険等発生時対処要領の内容の周知など危険等発生時において職員が適切に対処するために必要な措置を講ずる。
 さらに、学校においては、事故発生後に児童生徒や保護者等の心身の健康を回復させるため、必要に応じて地域の保健機関とも連携し、必要な支援を行う。
(必要性)
 事件・事故等が発生した際に学校が的確に対応するために、各学校においてあらかじめ発生時の具体的な対応を定めた対処要領を作成し、教職員に周知を図るとともに、対処要領を踏まえた訓練や研修を実施することが必要である。また、事故後に学校生活に復帰できるよう、心理的影響を受けた児童生徒等に対して、支援を行う必要がある。
2.法令の名称・関連条項とその内容
 学校保健安全法
3.想定される代替案
<学校安全計画の策定>
 ・「学校全計画」の策定について、地方公共団体の条例で定める。
 ・「学校安全計画」の策定について規定しない。
<危険箇所の改善措置>
 ・危険箇所の改善に関する業務について、一般企業等に外部委託する。
<各学校における危険発生時の対処要領の作成等>
 ・各学校における危険発生時の対処要領の作成について規定しない。
4.規制の費用
 新たな費用が生じるものではない。
5.規制の便益
(直接便益)
<学校安全計画の策定>
 ・現代の学校安全に関する課題について、教職員の共通理解が容易となる。
 ・通学時、学校生活、日常生活の安全に関する指導が計画的に行われ、学校安全に関する取組の充実が図られる。
<危険箇所の改善措置>
 ・学校における安全な環境の整備及び維持が図られる。
<各学校における危険発生時の対処要領の作成等>
 ・各教職員の具体的な役割分担や関係機関への連絡体制など、危険等発生時における体制の整備が図られる。
(社会便益)
<学校安全計画の策定>
 ・児童生徒等の安全で安心な学校生活の実現に資する。
<危険箇所の改善措置>
 ・学校における事件・事故等の危険が予防され、児童生徒等の安全で安心な学校生活の実現に資する。
<各学校における危険発生時の対処要領の作成等>
 ・危険等発生時における児童生徒等の安全確保のための取組の円滑な実施が図られ、児童生徒等の安全で安心な学校生活の実現に資する。
6.政策評価の結果(費用と便益の関係の分析等)
 評価結果は妥当。
評価結果の政策への反映状況  当該規制を実施するための法律の改正(学校保健法等の一部を改正する法律(平成20年法律第73号))を行った。

(注)本表には、評価対象とした規制の新設又は改廃に係る政策において、発生する効果と負担の関係を分析するのに適した評価の単位3件が含まれる。

規制名 学校給食に関する規制
【主管課:スポーツ・青少年局学校健康教育課】
【関係課:】
評価結果の概要 1.規制の目的、内容及び必要性等
<学校給食の衛生管理の改善措置>
(概要)
 校長等が学校給食に関する衛生状況を適切に管理するために、文部科学大臣が定める学校給食衛生管理基準に照らし、改善を図る必要があると認められる事項を発見したときは、遅滞なく必要な措置を講ずる等。
(必要性)
 「学校給食衛生管理の基準」に基づいた衛生管理が完全には実施されていない現状を踏まえ、学校給食衛生管理の基準に照らし改善を図る必要のある事項が発見された場合に、校長等の関係者が果たすべき役割を新たに規定する必要がある。
<栄養教諭による学校給食を活用した食に関する指導の明確化>
(概要)
 栄養教諭は、児童生徒が健全な食生活を自ら営むことができる知識を身に付けること等ができるよう、集団的又は個別的に、学校給食を活用して、食に関する実践的な指導を行うものとする。この場合において、校長は、当該指導の教育的な効果が適切に発揮されるよう、学校給食と関連付けつつ、当該義務教育諸学校における食に関する指導の全体的な計画の作成を行うなどの措置を講ずる。
(必要性)
 朝食欠食、肥満、伝統的な食文化の継承等の食に関する今日的な課題に対応するため、栄養教諭が高い専門性を生かし、学校給食を活用した食に関する実践的な指導を実施することが必要である。
2.法令の名称・関連条項とその内容
 学校給食法
 夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律
 特別支援学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律
3.想定される代替案
<学校給食の衛生管理の改善措置>
 ・学校給食における衛生管理に関する業務を一般企業等に外部委託する。
<栄養教諭による学校給食を活用した食に関する指導の明確化>
 ・栄養教諭による学校給食を活用した食に関する指導について具体的に規定しない。
4.規制の費用
 新たな費用が生じるものではない。
5.規制の便益
(直接便益)
<学校給食の衛生管理の改善措置>
 ・食中毒等の防止が図られる。
<栄養教諭による学校給食を活用した食に関する指導の明確化>
 ・義務教育諸学校における食に関する指導体制の整備が促され、食に関する指導の充実が図られる。
(社会便益)
<学校給食の衛生管理の改善措置>
 ・児童生徒の健やかな体の育成や、食に関する指導の適正な実施に資する。
<栄養教諭による学校給食を活用した食に関する指導の明確化>
 ・児童生徒の健やかな体の育成や、朝食欠食等の食習慣の乱れ、生活習慣病の増加、伝統的な食文化の継承といった食に関する今日的な課題の解決に資する。
6.政策評価の結果(費用と便益の関係の分析等)
 評価結果は妥当。
評価結果の政策への反映状況  当該規制を実施するための法律の改正(学校保健法等の一部を改正する法律(平成20年法律第73号))を行った。

(注)本表には、評価対象とした規制の新設又は改廃に係る政策において、発生する効果と負担の関係を分析するのに適した評価の単位2件が含まれる。

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-- 登録:平成22年01月 --