政策目標7 科学技術・学術政策の総合的な推進

 科学技術と社会との調和に配慮し、国民、地域、国際等の視点に立ち、科学技術・学術政策を総合的に推進する。
施策目標7-1 科学技術関係人材及び科学技術に関する国民意識の醸成
 (科学技術創造立国の実現に向けて、若手・女性研究者などの多様多才な個々人が意欲と能力を発揮できる環境の整備をはじめとした初等中等教育段階から研究者等の育成まで一貫した総合的な人材育成施策を講じ、科学技術関係人材の質と量を確保する。また、科学技術の社会的信頼を獲得するために、成人の科学技術に関する基礎的素養(科学技術リテラシー)を高める活動を推進するとともに、幼少期から高齢者まで広く国民を対象として、科学技術に触れ、体験・学習できる機会の拡充を図る。)
【主管課:科学技術・学術政策局基盤政策課】
【関係課:生涯学習政策局社会教育課、初等中等教育局教育課程課、同参事官】
評価結果の概要  理数に興味・関心の高い生徒・学生の能力を伸ばすための取組、理科好きな子どもの裾野を拡大する取組及び若手・女性研究者などの活躍を促進するための取組が着実に実施されるとともに、科学技術に関する高度な専門的応用能力を持って計画、設計等の業務を行う技術士の登録者数が着実に増加しており、科学技術関係人材の質と量が順調に確保されている。専門高校においては、地域社会等と連携した取組が着実に実施されており、産業社会のニーズに対応した人材育成が図られている。また、日本科学未来館及び国立科学博物館の入館者数の増加に見られるように、科学技術を国民に分かりやすく伝え、国民の科学技術に対する興味・関心と基礎的な知識・能力を高める取組は着実に実施されており、科学技術関係人材の育成及び科学技術に関する国民意識の醸成については、想定通り達成できていると判断される。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 理数教育の充実を図るため、以下のとおり概算要求への反映を行った。
・総合科学技術会議においてとりまとめられた革新的技術戦略を踏まえ、「理数系教員養成拠点構築事業」を新規に実施するため、930百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案340百万円)
・「理科支援員等配置事業」を引き続き実施するため、2,450百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案2,450百万円)等
 専門高校において産業界のニーズに対応した人材養成を図るため、以下のとおり概算要求への反映を行った。
・「目指せスペシャリスト」の改善・充実を図るため、134百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案106百万円)
・「地域産業の担い手育成プロジェクト」による取組を一層強化するため、504百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案335百万円)等
 若手・女性研究者などの活躍促進を図るため、以下のとおり概算要求への反映を行った。
・特別研究員事業を拡充するため、16,968百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案16,314百万円)
・若手・女性研究者支援に係る科学技術振興調整費の事業を拡充するため、以下のとおり概算要求に盛り込んだ。
・「若手研究者養成システム改革プログラム」12,200百万円(平成21年度予算案9,824百万円)
・「女性研究者支援システム改革プログラム」2,750百万円(平成21年度予算案2,250百万円)等
 国民の科学技術への理解増進を図るため、以下のとおり概算要求への反映を行った。
・日本科学未来館を整備・運営するため、2,838百万円を概算要求に盛り込んだ。組織体制の見直しによる人件費削減や業務の効率化等の見直しを行い、平成21年度政府予算案においては472百万円の削減等を行った。(平成21年度予算案2,358百万円)
・国立科学博物館を整備・運営するため、4,973百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案3,120百万円)等
施策目標7-2 科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への責任ある取組の推進
 (科学技術の社会的信頼を獲得するために、生命倫理問題やナノテクノロジーの社会的影響等科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への対応を強化する。)
【主管課:研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室同基礎基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室】
【関係課:】
評価結果の概要  ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(ES指針)及び特定胚の取扱いに関する指針(特定胚指針)の違反事例がなかったことに加え、ライフサイエンス研究の進展や社会的動向等を踏まえたES指針の改正に向けた手続きや、総合科学技術会議意見を踏まえた特定胚指針の見直しに向けた検討等も着実に進められたことから、生命倫理に係る諸課題への対応については、ほぼ適切に実施されたものと判断される。
 また、ナノテクノロジーの社会的影響についても、科学技術振興調整費により進められてきたナノテクノロジー影響の多領域専門家パネル会議で抽出された課題を踏まえ、物質・材料研究機構が新たに「ナノマテリアルの社会受容のための基盤技術の開発」を開始するなど、諸課題への対応は順調に進んでいるものと判断される。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 生命倫理等に関する諸課題への対応を着実に実施するため、33百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:23百万円)
施策目標7-3 地域における科学技術の振興
 (世界レベルのクラスターとして発展可能な地域に重点的な支援を行うとともに、小規模でも地域の特色を生かした強みを持つクラスターを各地に形成する。)
【主管課:科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(地域科学技術担当)】
【関係課:】
評価結果の概要  世界レベルのクラスター形成に対する支援や小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスター形成に対する支援については、平成19年度に事後評価等を実施した合計20拠点のうち15拠点が優れているとの評価を受けた。これにより、世界レベルのクラスター及び地域の特色を活かした強みを持つクラスターが各地に形成されつつあり、地域における科学技術の振興に向けた取組は、想定以上に達成できていると判断される。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 引き続き、世界レベルのクラスター形成を推進するため、知的クラスター創成事業(第�U期)について20年度予算額75億円を81億円に拡充して概算要求を行う(平成21年度予算案:75億円)とともに、小規模でも地域の特色を活かした強みを持つクラスター形成を推進するため、都市エリア産学官連携促進事業について20年度予算額46億円を55億円に拡充して概算要求を行った。(平成21年度予算案:45億円)
  さらに、国際競争に打ち勝つことのできる技術的なコアをもつ地域がグローバルな展開を図るため、中規模のクラスター形成を支援する知的クラスター創成事業(グローバル拠点育成型)等を新たに32億円概算要求した。(平成21年度予算案:14億円)

施策目標7-4 科学技術システム改革の先導
 (科学技術システムの改革や研究開発の効果的・効率的推進に向けた取組を率先して進め、優れた研究成果の創出や活用を促進する。)
【主管課:科学技術・学術政策局政策課】
【関係課:大臣官房政策課、科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(推進調整担当)同調査調整課、同計画官】
評価結果の概要  科学技術振興調整費によって、先例となることが期待される優れた取組等を支援(合計103件)している。また、研究費の重複・集中の排除等を目的とした「府省共通研究開発管理システム(e-Rad)」の運用を当初スケジュールより前倒し(平成20年1月)で開始するとともに、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づいた研究機関の管理・監査体制の整備が着実に進捗している。さらに、科学技術行政における現状課題や将来ニーズ等の把握及び研究開発評価システムの改革の推進に努めている。加えて、「世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム」を19年度より開始(5拠点を採択)し、世界トップレベル研究拠点の形成が進みつつあり、科学技術システム改革の先導に向けた取組は、想定通り達成できていると判断される。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 引き続き科学技術システム改革を進めていくため、科学技術振興調整費において、20年度予算額338億円を487億円に拡充して概算要求を行った。(平成21年度予算案:363億円)
 また、科学技術に関する現状課題や将来ニーズ等の適切な把握及び研究開発評価システムの改革を推進するため、122百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:98百万円)
 不合理な重複や過度の集中を排除し、研究費を効果的に配分するため、府省共通研究開発管理システム(e-Rad)の運用経費として、564百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:502百万円)
 世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラムの実施経費として7,109百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:7,109百万円)
【施策の充実】
 研究費の不正使用等への対処として、平成20年度においては、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成19年2月15日文部科学大臣決定)に基づく公的研究費の管理・監査に関する体制整備等の実施状況報告書の提出を求めた。
 「国の研究開発評価に関する大綱的指針(平成20年10月31日内閣総理大臣決定)」が新たに決定されたことを受け、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針(平成21年2月17日文部科学大臣決定)」の改定を行い、研究開発評価体制の改善を図った。
施策目標7-5 科学技術の国際活動の戦略的推進
 (研究環境の国際化や人的ネットワーク等の国際活動の基盤を拡大することにより、研究者等の往来などの国際交流を推進するとともに、戦略的な国際共同研究や政府間会合を通じ、各国との持続的な関係の構築を促進する。)
【主管課:科学技術・学術政策局国際交流官】
【関係課:】
評価結果の概要  「大学国際戦略本部強化事業」等の実施(20大学を採択)により、研究環境の国際化や外国人研究者等の受入れのための制度や環境整備の推進が図られるとともに、大学間交流協定に関しても大きく増加しており、機関間のレベルでの関係構築についても順調に進捗している。また、政府間会合や研究交流の実施、各種の国際交流事業を通じて、国際共同研究や国際会議等の多層的な科学技術交流が推進されており、科学技術の国際活動の戦略的推進に向けた取組は、想定通り達成できていると判断される。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 優秀な外国人研究者に国内の大学等で研究に従事する機会を提供する「外国人特別研究員事業」について、4,992百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:4,790百万円)
 日本の優れた科学技術とODAの連携により、アジア・アフリカ等の開発途上国と環境・エネルギー分野等における科学技術協力を推進する「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」について、1,348百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:1,154百万円)
 政府間合意等に基づき国が指定した国・地域、分野での国際研究交流等を支援する「戦略的国際科学技術協力推進事業」について、3,082百万円を概算要求に盛り込んだ。(平成21年度予算案:1,568百万円)
【審議会での議論】
 EUとの科学技術協力強化に向けて、科学技術・学術審議会国際委員会において「科学技術・学術分野における欧州地域との国際活動の戦略的推進について」をとりまとめた。

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大臣官房政策評価室

-- 登録:平成22年01月 --