政策目標4 個性が輝く高等教育の振興

 「知識基盤社会」において、我が国が活力ある発展を続けていくために、高等教育を時代の牽引役として社会の負託に十分応えるものへと変革する一方、社会の側がこれを積極的に支援するという双方向の関係を構築する。
施策目標4-1 大学などにおける教育研究の質の向上
 (各高等教育機関の個性・特色の明確化に向けた改革の取組みなどを積極的に支援することや、事前・事後の評価の適切な役割分担と協調を確保すること等により、大学などにおける教育研究の質の向上を図る。)
【主管課:高等教育局高等教育企画課】
【関係課:高等教育局大学振興課、同専門教育課、同医学教育課、同学生支援課、同国立大学法人支援課】
評価結果の概要  大学等の特色や個性に即した各種プログラムを継続的に実施することで、各大学等が自主的に特色・個性ある多様な取組を実施している。各大学等は申請の検討過程等で教育改革に意欲的に取り組むと共に、フォーラム等へ積極的に参加する等、各大学等において積極的・意欲的な教育改革の取組が実施されている。
 また、産学連携による高度専門人材育成及び教育研究機能の充実を図り、各大学等における産学連携による質の高い実践的な教育手法の普及・定着を促しているところである。
 更にFD(ファカルティ・ディベロプメント)を行う大学、厳格な成績評価(GPA)を行う大学は順調に増加して来ており、大学において授業の質を高めるための取組も普及しつつある。
 平成19年度までに専門職大学院の60パーセント以上(149専攻中89専攻(共同取組も含む))で、高度専門職業人の養成を目的としたプログラムによる支援を受け、教育内容・方法の開発・充実等を図る取組を実施しており、「高度専門職業人の養成を推進するため、法科大学院をはじめ、各種の専門職大学院における教育内容・方法の開発・充実等を図る」という達成目標は想定した以上に達成された。「21世紀COEプログラム」については、平成19年度には、平成15年度及び平成16年度採択拠点に対し継続的支援を行うとともに、平成14年度に採択された拠点について事後評価を行い、約87パーセントの拠点が「設定された目的は十分達成され、期待以上の成果があった」、「設定された目的は概ね達成され、期待どおりの成果があった」との評価を受けている。平成15年度、16年度採択拠点については、進捗状況の確認を行う中間評価において、97パーセントの拠点が「当初目的の達成が可能」との評価を受けており、着実に拠点形成が図られているところである。
 また、平成19年度より、国際的に卓越した教育研究拠点の形成をより重点的に支援する「グローバルCOEプログラム」を実施している。平成19年度には、28大学63拠点(申請:111大学281拠点)を採択した。
 大学設置認可の弾力化が進められたことで、大学設置認可の弾力化による新たな大学等の参入や組織改編は届出制導入以前よりも増加しており、時代に即応した人材育成や新たな学問分野を研究する個性豊かな大学の発展に役立っている。
 また、認証評価制度については、実施校数が順調に増加しており、制度開始から4年で全体の約4割の大学・短大・高専が認証評価を受けた。また認証評価機関の整備も一層の充実が図られている。
 このように、事前関与としての設置認可制度と事後関与としての大学評価システムは一体となって機能し、各大学等の個性・特色の明確化に向けた改革の取組が積極的に行われ、教育研究の質の向上が概ね進展している。
 国立大学については、所要の国立大学法人運営費交付金を確保するとともに、国立大学法人への寄附の活発化を図るための税制改正を行ったほか、余裕金の運用対象について、国立大学法人等が運用できる金融商品の範囲を拡大している。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 国公私立大学を通じた競争的環境の下で、各大学等の優れた大学教育改革の取組を支援する経費を概算要求に盛り込んだ。
 教育の質保証のための取組を複合的に実施する優れた取組を支援する「学士力確保と教育力向上プログラム」を実施すべく、9,551百万円を盛り込んだ(「質の高い大学教育推進プログラム」を再編して創設)。また、学生が身に付けるべき社会人としての基盤となる資質・能力を養うための各大学の優れた取組を支援する「社会人力育成のための学生支援プログラム」を実施すべく、3,541百万円を盛り込んだ。(平成21年度予算案:11,002百万円(予算案においては、上記2事業を「大学教育・学生支援推進事業」として統合した。))
 国際的に卓越した教育研究拠点形成を重点的に支援する「グローバルCOEプログラム」を実施すべく、34,488百万円を盛り込んだ。(平成21年度予算案:34,228百万円)
 各大学院が設定した目標の達成に向けたコースワークの充実等の優れた組織的・体系的な教育の取組を支援する「組織的な大学院教育改革推進プログラム」を実施すべく、9,024百万円を盛り込んだ。(平成21年度予算案:5,746百万円)
 大学の国際競争力の強化のため、留学生に魅力的な水準の教育を提供するなど、留学生受入れの環境整備を図る取組を支援する「国際化拠点整備事業」を実施すべく、15,000百万円を盛り込んだ。また、海外における外国人学生に対する教育の提供等を図る取組を支援する「海外進出・ネットワーク形成支援事業」を実施すべく、1,158百万円を盛り込んだ。(平成21年度予算案:4,081百万円(予算案においては、上記2事業を「国際化拠点整備事業(グローバル30)」として統合した。))
 がん医療の担い手となるがん専門医師等、がん医療に携わる医療人の養成を行う大学の取組を支援する「がんプロフェッショナル養成プラン」を実施すべく、2,500百万円を盛り込んだ。(平成21年度予算案:2,000百万円)
 世界最高水準のIT人材及び高度実践型理工系スペシャリストを育成するための教育拠点の形成を支援する「先導的ITスペシャリスト等育成推進プログラム」を実施すべく、2,543百万円を盛り込んだ。(平成21年度予算案:895百万円(先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム))
 実践型人材の育成を目指し、大学等において、産学連携による新たな教育プログラムの開発を支援する「産学連携による実践型人材育成事業」を実施すべく、718百万円を盛り込んだ。(平成21年度予算案:513百万円)
 専門職大学院等における教育方法等の充実に資する先導的な取組を支援する「専門職大学院等における高度専門職業人養成教育推進プログラム」を実施すべく、562百万円を盛り込んだ。(平成21年度予算案:562百万円)
【機構・定員要求】
 大学等の国際化や教育研究の質の向上・保証の推進のために、室長補佐1名、専門官5名、係員2名の定員を要求。(専門官2名の定員を措置)
【税制改正要望】
 平成21年度税制改正において、寄附税制の拡充を要望した。(措置なし)
【制度改正】
 国立大学法人が寄附やライセンス対価により新株予約権を取得した場合、その現金化の過程において、当該新株予約権の権利行使を行って株式を取得することは可能であることを示した。(平成20年7月8日付高等教育局長・研究振興局長通知20文科高第260号)
【調査研究】
 大学の資金調達・運用に関するルール作りや学内体制の整備を行うに当たっての参考に供するため、調査研究を実施し、その報告書を国立大学法人等へ周知した。(平成21年1月8日付事務連絡)

施策目標4-2大学などにおける教育研究基盤の整備
 (国立大学等施設を重点的・計画的に整備し、大学などにおける教育研究基盤の整備を図る。)
【主管課:大臣官房文教施設企画部計画課】
【関係課:高等教育局国立大学法人支援課、同専門教育課、同医学教育課、研究振興局学術機関課】
評価結果の概要  「第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画」(以下、「第2次5か年計画」という。)(計画期間:平成18年度から22年度)では、「教育研究基盤施設の再生」及び「大学附属病院の再生」を重点的・計画的に整備するとしており、5か年で約540万平方メートルを整備目標としている。平成19年度までに合計188万平方メートル(うち、「教育研究基盤施設の再生」としての「老朽再生整備」140万平方メートル、「狭隘解消整備」26万平方メートル、「大学附属病院の再生」として22万平方メートル)を整備している。
 また、「第2次5か年計画」では、国立大学等は全学的な視点に立ったスペースの弾力的・流動的な活用等の施設マネジメントの推進や寄附・自己収入による整備など国立大学等の自助努力に基づいた新たな整備手法による施設整備を一層推進することとしている。平成19年度に共同利用スペースは、全体で158万平方メートル保有され、新たな整備手法による施設整備も691件実施されている。
 以上より、個性が輝く高等教育の推進のための取組は、想定どおり順調に進捗していると判断した。
評価結果の政策への反映状況
(平成20年度以降の取組)
【概算要求】
 国立大学等施設整備費として、平成20年度概算要求においては、140,170百万円を計上した。(平成20年度予算額:92,133百万円)
 平成20年度補正予算(第一号)及び同補正予算(第二号)において、国立大学等施設の耐震化等の推進のため、所要の予算を計上した。(平成20年度第補正予算(第一号)67,691百万円、同補正予算(第二号)22,006百万円)
 さらに、国立大学等の施設整備を着実に実施するため、平成21年度概算要求において、135,523百万円を計上した。(平成21年度予算案:83,375百万円)

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大臣官房政策評価室

-- 登録:平成22年01月 --