政策目標9 豊かな国際社会の構築に資する国際交流・協力の推進

人づくりなどに資する国際交流・協力の推進を通じて豊かな国際社会の構築の一翼を担う。

施策目標9‐1 日本人の心の見える国際教育協力の推進

(開発途上国の貧困削減を進めるための最重要分野のひとつである教育分野に対して、国際教育協力懇談会(文部科学大臣の私的懇談会)における議論を踏まえつつ、わが国の経験と人材を活かした効果的な国際教育協力を実現させる。また、協力に携わった現職教員がコミュニケーション、異文化理解を身につけ、国際化のための素養を児童・生徒に波及的に広めることによって、わが国の「内なる国際化」を推進する。)
【主管課:大臣官房国際課国際協力政策室】
【関係課:大臣官房国際課国際統括官付】

評価結果の概要  効果的な国際教育協力及び内なる国際化の推進に向け、各種セミナー・講演会等の普及啓蒙活動を行い、国民の理解と感心を高めることができたと思われる。
 特に、わが国の経験と人材を活かした効果的かつ質の高い国際教育協力の実現に向けた取組として、基礎教育分野における知見や経験を整理・蓄積し、教育協力モデルの作成とその活用可能性の検証等を行った。
 この過程を通じ、整理・蓄積された経験は活用されており、国際教育協力の質向上に寄与することができたため、概ね順調に進捗していると評価した。
 また、わが国の「内なる国際化」の推進に向けた取組として、各種セミナー・研修等の充実や拠点システム構築事業による支援を通じ、青年海外協力隊への現職教員の参加体制の整備・強化を図った。
 その結果、本制度への参加者数は目標人数にわずかに及ばなかったが、参加体制の整備・強化が進み、概ね順調に進捗していると評価した。
 さらに「万人のための教育(EFA)」を主導するユネスコへの協力についてはユネスコ信託基金によりコミュニティ・ラーニング・センター(CLC)設置等を行っており、平成18年度は、アジア太平洋地域におけるユネスコ以外によるCLC設置数が大幅に増加していることから、ユネスコの活動が契機となり、広くアジア太平洋地域に浸透しているといえるため、概ね順調に進捗していると判断した。
 本年が2年目となる「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年への取組み」についても、ユネスコが1.民間部門、青年団体、メディアグループとの新たなパートナーシップ構築のための触媒となり、2.モニタリングと評価を促進し、3.また、ESDに関する戦略的な役割を果たすことを支援し、一部の事業に延長が見られたものの、概ね当初の計画どおりにESDの推進が図られたため、概ね順調に進捗していると判断した。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 国際教育協力に関する事業について、平成19年度以降は「国際協力イニシアティブ」として事業体制を変えて実施することとなるが、取組の充実のために対象分野を基礎教育から高等教育にまで広げ、そこでの知見や経験を整理・蓄積し、教育協力モデルの作成とその活用可能性の検証・実践での活用を図る活動に取り組んだ。
 また、青年海外協力隊をはじめとする国際協力事業への現職教員の毎年度の参加人数が100人以上となるように、現職教員、教育委員会等に対する広報活動の更なる強化を図るとともに、わが国の「内なる国際化」推進のため、大学関係者等の協力を得て派遣教員の帰国後活動へのサポート強化を図った。
 そして、「国際協力イニシアティブ」を着実に進め、わが国の経験と人材をより活かした国際教育協力を効果的に図るため、186百万円の概算要求を行った。
(平成20年度予算案額:179百万円)
 「万人のための教育(EFA)」を主導するユネスコへの協力については、平成18年同様、ユネスコ信託基金によりコミュニティ・ラーニング・センター(CLC)における活動支援等を実施した。
 アジア・太平洋地域の教育活動の支援に取り組んだほか、平成20年度概算要求においては、前年度同の97百万円の要求を行った。
(平成20年度予算案額:94百万円)
 本年が3年目となる「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年への取組み」についても、昨年に引き続きユネスコ信託基金により、ESDの普及促進活動を実施した。
 平成20年度は、日本とユネスコの双方において、持続可能な社会の構築、将来世代の人材育成の諸課題に取り組み、ESDを一層推進することを目的として、「持続可能な開発のための教育交流・協力信託基金」として、440百万円の概算要求を行った。
(平成20年度予算案額:420百万円)

施策目標9‐2 諸外国との人材交流の推進

(諸外国との人材交流等を通じて、国際社会で活躍できる人材を育成するとともに、諸外国の人材育成に貢献し、我が国と諸外国との相互理解と友好親善に資する。)
【主管課:大臣官房国際課】
【関係課:高等教育局学生支援課、スポーツ・青少年局競技スポーツ課、初等中等教育局国際教育課】

評価結果の概要  留学生交流については、留学生数が過去2番目に多い数となっていることや、私費留学生への支援、公的宿舎やフォローアップの充実に努めた結果、概ね順調に進捗している。
 教職員・学者・専門家の交流については、受入れ・派遣者の総数が増加し、意見交換等を行った結果、専門分野における交流、さらには二国間の相互理解の増進が図られたことから、順調に進捗している。
 スポーツの普及・発展に寄与する青少年の交流については、交流人数も増加し、二国間の国際友好親善等が図られたことから順調に進捗していると判断できる。
 国際理解教育を推進するための高校生交流については、派遣・受入れ人数が年次計画通り達成されたことから順調に進捗している。
 これらの目標を達成することで、1.人材の育成を通じた知的国際貢献、2.国際的に開かれた社会の実現、3.我が国と諸外国との間の人的ネットワークの形成や、相互理解と友好関係の深化、4.我が国の大学等の国際化、国際競争力の強化にもつながったものといえる。
 以上のことから、年次計画どおり達成と判断できる。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 諸外国との人材交流等を通じて、我が国及び諸外国における国際的な人材育成とともに、諸外国との相互理解と友好親善を増進する観点から、引き続き、留学生・スポーツ・高校生といった交流事業の推進に努める。
 そのため、留学生交流については、外国人留学生奨学金制度の充実、私費外国人留学生等への援助、留学生宿舎の確保等受入体制の充実、日本人学生に対する海外留学支援などを図り、引き続き留学生政策を推進していくため、47,851百万円の概算要求を行った。
(平成20年度予算案額:40,661百万円)
 その他、スポーツ交流のために、16百万円の概算要求を行った。
(平成20年度予算案額:16百万円)
 高校生の派遣・受入のために、32百万円などの概算要求を行った。
(平成20年度予算案額:9百万円)
【機構・定員要求】
 留学生交流の推進のための体制整備・強化を図るため、留学生政策調整官(4名)の新設を要求することとした。
(政策調査係長1名措置)
【制度改正】
 短期留学について、国として直接的かつ積極的にするため、現行の「短期留学推進制度」を廃し、文部科学省補助事業として「短期外国人留学生支援制度」を新設した。

施策目標9‐3 大学等による国際協力活動及び国際協力に携わる人材の育成・確保

(大学が有する「知」を活用した国際開発協力を効果的・効率的に進めるために、国際教育協力懇談会(文部科学大臣の私的懇談会)における議論を踏まえつつ、大学が組織として国際開発協力活動を行うための基盤を整備する。また、国際開発協力に携わる人材の育成・確保を図る。)
【主管課:大臣官房国際課国際協力政策室】
【関係課:大臣官房国際課】

評価結果の概要  国際開発協力に携わる人材の育成・確保に向け、大学の教員や学生を対象とした啓蒙セミナーを行うとともに、個別大学の相談などにも対応した結果、セミナーやイベントへの参加促進が概ね図られていると評価した。
 また、大学による組織的な国際開発協力活動の基盤の整備に向け、セミナーによる普及啓発活動の実施、大学のニーズに応じた個別相談・助言などを行った。
 その結果、プロジェクト受託数など一部については想定どおり達成できなかったが、関連情報の提供をはじめ、きめ細やかな対応を行ったことにより、大学が国際開発協力活動を行うための基盤を整備することに寄与することができたと評価した。
 さらには、今年度より国連大学を通じ我が国大学のアフリカへの教育支援の充実を図っているところであり、2年間のパイロットフェーズの1年目として、アフリカでのネットワークの基点となる機関や研究テーマの決定及び我が国大学と共催の事業を行った。
 現在は、平成20年からの第一フェーズに向けて着実に土台形成を進めているところであり、本事業の目的である国際社会に対する報告書の作成、関係者への勧告・普及に向けて順調に進捗していると評価した。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 平成19年度から新たに実施している「国際協力イニシアティブ」の中で、大学の特色を生かした国際開発協力活動全体に関する支援を強化するとともに、大学の国際化推進という文脈の中で有用な人材を育成する活動に取り組んでいる。
 そして、「国際協力イニシアティブ」を着実に進め、わが国の経験と人材をより活かした国際教育協力を効果的に図るため、186百万円の概算要求を行った。
(平成20年度予算案額:179百万円)
 平成19年8月には、ガーナのアクラで本プロジェクトの第1回技術会合が開かれるなど、国連大学のイニシアティブによって国際開発協力活動は順調に進捗しているところ、引き続き支援を継続することとしたい。

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