政策評価8 文化による心豊かな社会の実現

優れた芸術文化の振興を図るとともに、我が国固有の伝統文化を継承・発展させることにより、文化による心豊かな社会を実現する。

施策目標8‐1 芸術文化活動の振興

(優れた文化芸術への支援、新進芸術家の人材育成、子どもの文化芸術普及活動、地域における文化芸術活動の推進等を通じて、我が国の芸術文化活動水準の向上を図るとともに、国民全体が、芸術文化活動に参加できる環境を整備する。)
【主管課:文化庁芸術文化課】
【関係課:文化庁伝統文化課、同美術学芸課】

評価結果の概要  最高水準の舞台芸術等公演への支援については、平成18年度に指標が減少しているものの、支援対象を芸術団体から公演に変更したことにより、直接的な牽引力となることが期待される公演に対して、支援事業を展開するなど支援目的及び支援対象事業をより明確化した事業を実施している。また、芸術拠点形成事業においても支援数は横ばいなものの、公演事業等支援については支援数が増加しており、また、展覧会事業等支援については、新たに支援を行った美術館等があることなど、芸術拠点の広がりに向けての取組を推進している。
 新進芸術家海外留学制度、国内研修制度における派遣事業、芸術団体人材育成支援事業とも前年度並みの支援数ではあるが、芸術団体人材育成支援事業については、芸術系教育機関に支援対象を拡充するなど積極的な制度改革を行い、次代の芸術界を担う人材育成のための環境づくりにつとめた。
 平成18年度の子どもが芸術文化に触れる機会を確保した学校及び公立文化施設数、「文化芸術による創造のまち」支援事業で支援した件数ともに基準値を大幅に超えている状況である。
 なお、実際に本物の舞台芸術体験事業を実施した学校からの報告等により、本物の舞台芸術体験事業が子どもたちに効果的な影響を及ぼしていることが推察される。
 よって、施策目標8−1の下の各達成目標については、全体として概ね順調に進捗しており、これらの達成目標を達成することで、我が国の芸術文化活動水準の向上を図るとともに、国民全体が、芸術文化活動に参加できる環境を整備するという基本目標の達成に寄与したものといえる。
 以上の状況を総合的に勘案すると、施策目標8−1については、想定した以上に順調に進捗しているものと判断した。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 最高水準の舞台芸術、伝統芸能等の公演に対する重点支援を着実に実施するため、9,447百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:8,324百万円)
 新進芸術家の海外留学を着実に実施するため、791百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:791百万円)
 また、芸術団体や大学等の教育機関が行う人材育成等を実施するため、1,087百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:1,043百万円)
 子どもが優れた舞台芸術等に触れる機会をさらに充実させるため、4,232百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:3,916百万円)
【取組状況】
  • 平成19年度も、最高水準の舞台芸術、伝統芸能等の公演に対する重点支援を実施した。
  • 平成19年度も、美術、音楽、舞踊、演劇等の各分野における新進芸術家の海外芸術団体や芸術家等への留学を行った。あわせて、芸術団体等が行う人材育成等に支援した。
  • 平成19年度も、子どもが学校において優れた舞台芸術等に直に触れる機会を提供した。

施策目標8‐2 文化財の次世代への継承・発展

(貴重な国民的財産である文化財を適切に保存し、次世代へ継承するとともに、積極的な公開・活用を通じて、広く国民が文化財に親しみ、その価値への理解を深めるようにする。)
【主管課:文化庁伝統文化課、同美術学芸課、同記念物課、同参事官(建造物担当)】

評価結果の概要  施策目標8−2のについては、想定通り達成されている。
 これらの達成目標を達成することで、「文化財の次世代への継承・発展」という点で国民生活によい影響が現れたものと推論することができるが、これは、「文化による心豊かな社会の実現」という政策目標の達成に寄与しているものと言える。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 文化財の保存及び活用を着実に実施するため、41,118百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:37,019百万円)
【機構・定員要求】
 文化財保護に関する総括的な調整に係る業務態勢の整備のために、文化財総合活用推進調査官(1名)、専門職(1名)の新設を要求することとした。
(文化財総合活用推進調査官1名措置)
 古墳壁画の恒久保存対策実施体制の強化のために、主任文化財調査官(1名)、専門職(1名)の新設及び文化財調査官の振替えを要求することとした。
(主任文化財調査官(古墳壁画対策部門)1名措置)
 登録有形文化財に関する業務態勢の強化のために、文化財調査官(1名)の新設を要求することとした。
(文化財調査官(登録部門)1名措置)

施策目標8‐3 文化振興のための基盤整備

(高度化、多様化しつつある国民の文化への関心の高まりに応えるため、文化に関する総合的な情報システムの情報内容の充実と情報提供の充実を図る。また、文化活動を支える基盤として、国語の普及啓発や日本語教育の充実を図るとともに、著作権の適切な保護と公正な利用を図り、著作権制度の普及・啓発を行う。)
【主管課:文化庁政策課】
【関係課:文化庁著作権課、同国際課、同芸術文化課、同国語課、同美術学芸課】

評価結果の概要  施策目標8−3の下の各達成目標については、文化庁ホームページの内容が充実しアクセス数も増加していることから、文化に関する総合的な情報システムの整備も順調に進んでいる。
 さらに、研究協議会、各種研修会や教材の配付等を想定どおり実施しており、文化活動を支える基盤である国語及び著作権制度の普及・啓発が順調に進捗したものと判断した。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 著作権に関する講習会のうち図書館等職員著作権実務講習会については、受講機会の拡大を図るため、平成20年度から新たに講習会場での講義の模様をWebを通じて中継し、講習会場以外の場所でも受講できるようにするための経費として10百万円を概算要求に盛り込み、講習会の充実を図った。
(平成20年度予算案額:2百万円)
 なお、マンガ教材の学校への配付については、財務省が実施した平成19年度予算執行調査での指摘を踏まえ発展的に組み替え、平成20年度から新たに「はじめて学ぶ著作権」教材開発(1.難解な法律用語を使わずに著作権が理解できる事例集の製作、2.インターネット上で配付するマンガ著作権教材の製作とその教材を活用した指導方法の研究開発)を行うための経費として、37百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:18百万円)
【取組状況】
 引き続き、文化情報総合システムの内容の充実及び効果的な運用を行った。特に19年度からは、文化庁ホームページを高齢者・障害者にも利用しやすいものとするため、アクセシビリティ対応を開始した。
(平成19年度)
 今後も、全ての利用者にとって分かりやすいホームページ運用に努める。
(平成20年度予算案額:99百万円)
 国語問題研究協議会の内容の充実を進め、参加者の満足度を高めるように努めた。(平成19年度)
「言葉」について考える体験事業について、内容の充実を進め、参加者の満足度を高めるとともに、さらに国語の普及・啓発を図るため、平成19年度から新たに「地域の指導者養成のための講習」事業を行った。
(平成19年度)
 日本語教育問題研究協議会の内容の充実を進め、参加者の満足度を高めるように努めた。(平成19年度)
 著作権講習会及び著作権教材の充実を図り、さらなる著作権の普及・啓発に努めるとともに、アジア諸国における海賊版対策事業を引き続き推進し、海外における我が国の著作物の保護を図った。(平成19年度)

施策目標8‐4 国際文化交流の推進による芸術文化水準の向上、文化を通じた国際貢献、諸外国との相互理解の増進

(文化芸術振興、文化財保護等の分野における国際文化交流の取組を推進することにより、我が国の文化芸術活動の水準を向上し、文化を通じて国際社会に貢献し、諸外国との相互理解の増進を図る。)
【主管課:文化庁国際課】
【関係課:文化庁芸術文化課、同伝統文化課、同美術学芸課、同記念物課、同参事官建造物担当】

評価結果の概要  我が国の芸術家等を一定期間「文化交流使」として指名し、海外派遣を行うなど、現地の受入機関の協力を得つつ、日本文化に関する講演、講習や実演等を行う文化交流使事業は、平成15年度に創設して以降、世界の人々との国際文化交流の推進、日本と外国の芸術家等のネットワークの形成・強化に資する活動を展開している。
 平成18年度は、文化交流使指名者数、派遣国数とも増加しており、予想どおり達成されていると判断する。
 また、我が国の芸術団体による海外公演や、海外の芸術団体と我が国の芸術団体における共同制作公演においては、公演数が前年度に比べ減少しているものの、公演の内容については、世界の多様な芸術との相互刺激を通じて豊かな芸術を生み出すことが期待されているものであることや、スタッフ、キャスト等の専門性が高いなどの観点から、平成18年度においても、公演の質は確保されており、概ね達成されたと判断する。
 平成18年に成立した「海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法律」及び文化遺産国際協力コンソーシアム(効率的・効果的な文化遺産国際協力を推進するため、国内各研究機関等のネットワーク構築、情報の収集・提供、調査研究等を実施)に基づき、我が国は、文化遺産国際協力事業を今まで以上に推進してきたところである。
 平成19年度は、新たに海外の専門家及び日本の専門家の人材育成のための拠点交流、無形文化遺産の保護に係る各国とのパートナーシップ事業を推進し、同時に引き続き緊急的な専門家の派遣・招へい等の人的協力事業、国際会議開催、文化遺産における効果的・効率的な国際協力のための文化財国際協力コンソーシアム運営等を推進してきた。
 以上のことから、施策目標8−4については、概ね順調に目標を達成できたことから、基本目標である芸術文化水準の向上、文化を通じた国際貢献、諸外国との相互理解の推進は達成されたものと評価される。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 文化交流使事業の枠組みにおいて、短期指名型文化交流使を新規に要求した。
平成20年度概算要求額:130百万円
(平成20年度予算案額:110百万円)
【業務改善】
 平成19年12月25日付で、「海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する基本的な方針」が告示された。(外務省・文部科学省告示第1号)
【概算要求】
 文化財保護の先進国との交流による知識、技術の向上を目的とした「戦略的二国間文化遺産国際交流推進事業」を新規要求した。
平成20年度概算要求額:45百万円
(平成20年度予算案額:38百万円)

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