政策目標5 科学技術システム改革の推進

世界水準の優れた研究開発成果を生み出し、その成果を社会へ還元するための仕組みを構築するとともに、そのための基盤の整備・充実を図る。

施策目標5‐1 科学技術関係人材の育成・確保、活躍の促進

(科学技術創造立国の実現に向けて、若手研究者や女性研究者、さらには外国人研究者などの多様多才な個々人が意欲と能力を発揮できる環境を育成するとともに、初等中等教育段階から研究者等の育成まで一貫した総合的な人材育成施策を講じ、人材の質と量を確保する。)
【主管課:科学技術・学術政策局基盤政策課】
【関係課:初等中等教育局教育課程課、高等教育局大学振興課、同専門教育課、研究振興局振興企画課】

評価結果の概要  若手研究者や女性研究者が活躍できる環境の整備、各大学の個性・特色を踏まえた科学技術関係人材の育成機能の強化が着実に図られ、初等中等教育段階においても、子どもの科学技術に対する興味関心、及び生徒・学生の科学技術に関する能力も高まっている。
 また、科学技術に関する高度な専門的応用能力を持って計画・設計等の業務を行う技術士の登録者数が着実に増加している。
 よって、目標の達成に向けて、ほぼ順調に進捗していると判断した。
 今後は、若手研究者や女性研究者が活躍できる環境の整備を促進するため、引き続き支援策を講じていく必要がある。
 また、平成20年度においては、特に、イノベーションの創出を担う若手・女性研究者が活躍できる環境の整備を促進するため、若手研究者の能力向上の機会・自立的研究環境の提供や経済的支援の拡充をするための予算、定員を要求する。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 優れた若手研究者が主体的に研究に専念できるよう支援する特別研究員事業において、博士課程在籍者に対する支援の強化を図るための経費として、12,132百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:10,560百万円)
 若手研究者に競争的環境の中で自立性と活躍の機会を与える仕組み(テニュア・トラック)を導入する機関への支援を拡充するため、「若手研究者の自立的研究環境整備促進」(科学技術振興調整)として、8,400百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:7,670百万円)
 イノベーション創出の中核となる若手研究人材が、国内外の多様な場で創造的な成果を生み出す能力を身につける人材養成システムを、大学等と国内外の企業等が協働して構築することを支援する、「イノベーション創出若手研究人材養成」(科学技術振興調整費)について、3,000百万円の新規要求を行った。
(平成20年度予算案額:7,670百万円)
 女性研究者が研究と出産・育児等を両立し、その能力を十分に発揮しつつ研究活動を行える仕組みを構築するモデルとなる優れた取組への支援を拡充するため、「女性研究者支援モデル育成」(科学技術振興調整費)として、1,400百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:1,370百万円)
 海外・企業・異分野等に挑戦する意欲と能力のある学生(博士課程学生)へのフェローシップを支給し、世界を舞台に幅広い分野で活躍する人材の育成を図るため、「若手研究者挑戦支援フェローシップ」について、3,000百万円の新規要求を行った。
(予算編成過程で廃止)
 研究者・技術者や大学院生等の有用な外部人材を小学校理科授業に活用し、理科授業の充実及び教員の資質向上を図るため、「理科支援員等配置事業」として、3,000百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:2,450百万円)
 理系学部を置く大学において、理数分野に関して強い学習意欲を持つ学生の意欲・能力を、さらに伸ばすことに重点をおいた取組を充実するため、「理数学生応援プロジェクト」として、250百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:150百万円)
 理数分野に関して卓越した意欲・能力を有する児童生徒に対して、大学レベルも視野に入れた高度で発展的な学習環境を年間を通して、継続的に提供するため、「未来の科学者養成講座」として、200百万円の新規要求を行った。
(平成20年度予算案額:100百万円)
【機構・定員要求】
 イノベーション創出を担う若手・女性研究者が活躍できる環境の整備を促進するため、基礎人材企画係長(1名)と基礎人材推進係長(1名)の新設を要求することとした。
(基礎人材推進係長1名措置)

施策目標5‐2 科学の発展と絶えざるイノベーションの創出

(科学技術に関する資源を効果的に機能させ、科学の発展によって知的・文化的価値を創出するとともに、研究開発の成果をイノベーションを通じて社会的価値として発現させる努力を強化し、社会・国民に成果を還元する。
【主管課:科学技術・学術政策局評価推進】
【関係課:高等教育局大学振興課、科学技術・学術政策局調査調整課、同計画官付、同科学技術・学術戦略官(地域科学技術担当)付、研究振興局研究環境・産業連携課、同学術研究助成課、同基礎基盤研究課、同ライフサイエンス課、同情報課、研究開発局海洋地球課、同原子力研究開発課】

評価結果の概要  研究開発の効果的・効率的推進、大学発特許実施件数の増加及び国際競争力のある地域イノベーション・システムの構築、新技術シーズの創出や産学官連携基盤の構築を通じた我が国の科学技術の高度化・多様化やイノベーション・システムの競争力強化については、想定した以上に順調に進捗している。
 競争的資金における公正で透明性の高い評価の確立及び評価体制の整備、大学発特許取得件数の増加及び地方公共団体による自主的、主体的な科学技術活動の展開については、想定どおり順調に進捗している。
 競争的資金の拡充については、一部について進捗にやや遅れが見られる。
 施策目標全体について総合的に勘案した結果、想定した以上に順調に進捗していると評価した。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 競争的資金の拡充を着実に実施するため、451,600百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:378,800百万円)
 間接経費について、全ての制度において、30パーセントの措置の早期実現を目指して、96,800百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:70,400百万円)
 不合理な重複や過度の集中を排除し、研究費を効果的に配分するため、府省共通研究開発管理システム(e-Rad)の運用経費として、400百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:400百万円)
 イノベーション創出の原動力である大学等の知的財産戦略などが持続的に展開されるよう、主体的かつ多様な特色ある取組を国公私立大学等を通じて支援し、産学官連携活動全体の質の向上を図るため、「産学官連携戦略展開事業」として、4,800百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:2,800百万円)
 世界レベルの地域クラスターの形成を推進するため、知的クラスター創成事業(第2期)として、10,000百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:7,500百万円)
【機構・定員要求】
 科学研究費補助金事業の審査・評価体制の高度化のため、専門職(1名)の新設を要求することとした。
(専門職1名措置) 【施策の充実】
 研究費の不正使用等への対処として、平成19年度においては、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」
(平成19年2月15日文部科学大臣決定)に基づく公的研究費の管理・監査に関する体制整備等の実施状況報告書の提出を求めた。
 国際シンポジウム「イノベーション政策と評価」を開催し、イノベーション政策の在り方とその展開における評価の在り方について、我が国の関係機関等に先進的な知見と情報を提供した。

施策目標5‐3 科学技術振興のための基盤の強化

(独創的・先端的な研究開発を進めるため、施設整備はもとより、知的基盤(1研究用材料、2計量標準、3計測方法・機器等、4データベース)、研究情報基盤などの研究開発基盤の整備を図る。)
【主管課:研究振興局研究環境・産業連携課】
【関係課:研究振興局基礎基盤研究課、同ライフサイエンス課】

評価結果の概要  研究用材料(生物遺伝資源等)、計量標準、計測方法・機器等、データベースの整備においては、着実に進捗していると評価できるが、達成目標の指標において、施策目標について総合的に勘案した結果、「概ね順調に進捗」と評価した。
 また、先端研究施設の幅広い活用(共用)により優れた研究開発成果の創出を促すため、代表的な先端研究施設において基準年度より高い産業利用が順調に進捗しつつ、想定以上に確保されているため、「想定した以上に達成」と評価した。
 以上を踏まえ、科学技術振興のための基盤の強化として、達成目標の結果は、総合的には想定した以上に達成と評価した。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 独創的な研究活動を支える世界初のオンリーワン/ナンバーワンの計測分析技術・機器の開発を推進する「先端計測分析・技術機器開発事業」において、平成20年度から新たに、実用化に向けたプロトタイプ機の性能実証や応用開発を推進するため、6,000百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:5,500百万円)
 我が国の大学・独法等の有する先端研究施設の共用を進めるため、「先端研究施設共用イノベーション創出事業」として、4,100百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:3,100百万円)
【その他】
 知的基盤整備計画について、第3期科学技術基本計画に基づき、戦略目標への質的観点の取り入れや中核的な役割を担う機関等の位置づけ等の事項の付加について検討を重ね、科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会において取りまとめを行った。

施策目標5‐4科学技術関係の国際活動の戦略的推進

(研究環境の国際化や人的ネットワークの拡大により、研究者の往来を増加させるとともに、持続的な国際共同研究体制の構築や人的ネットワークの拡大により、国際共同研究、研究成果の拡大を図る。)
【主管課:科学技術・学術政策局国際交流官付】

評価結果の概要  施策目標の達成に向けての進捗状況について、外国人研究者等の受入れは順調に進捗し、大学国際戦略本部等の、全学的な組織・体制の整備等により、国内の研究環境の国際化も進んだと評価できる。
 共同研究の推進、国際フォーラムの開催など、持続的な関係の構築に向けた取組みも着実に進展し、JST、JSPSの事業を通じた主体的な国際共同研究、国際会議などの活動の推進についても事業の進捗が認められる。
評価結果の政策への反映状況

(平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 外国人研究者等のさらなる受入れを推進するため、日本への定着促進のための効果的な手法を開発する「外国人研究者日本定着促進プログラム」を開始し、29百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:29百万円)
 研究環境の国際化を推進するため、大学等の国際化を組織的に推進する取組を支援し、大学の国際化のモデルを開発する「大学国際戦略本部強化事業」について、487百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:463百万円)
 優秀な外国人研究者に国内の大学等で研究に従事する機会を提供する「外国人特別研究員事業」について、579百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:540百万円)
 日本の優れた科学技術とODAの連携により、アジア等の途上国と環境・エネルギー分野等における科学技術協力を推進する「科学技術発展基盤整備事業」について、750百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:500百万円)
 防災、感染症、環境などの重要課題の解決へ向けたアジア・アフリカ諸国との国際共同研究等を支援する「アジア・アフリカ科学技術協力の戦略的推進」について、1,800百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:1,270百万円)
 政府間合意等に基づき国が指定した国・地域、分野での国際研究交流等を支援する「戦略的国際科学技術協力推進事業」について、3,000百万円を概算要求に盛り込んだ。
(平成20年度予算案額:1,250百万円)
【審議会での議論】
 EUとの科学技術協力強化に向けて、欧州との科学技術協力の戦略的推進のための方針等を科学技術・学術審議会国際委員会において審議した。
【機構・定員要求】
 アジア地域及び欧州地域を中心とした科学技術協力の戦略を策定するため、企画官1名、企画係長1名について、それぞれ新設を要求することとした。
(企画係長1名措置)

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大臣官房政策課評価室

-- 登録:平成21年以前 --