政策目標1 生涯学習社会の実現

生涯にわたって学ぶ機会が提供され、学んだ成果が適切に評価される社会を実現する。

施策目標1‐1 生涯を通じた学習機会の拡大

 (高度で体系的かつ継続的な学習機会を提供する高等教育機関等において、学習者の多様なニーズに対応し、生涯を通じた幅広い学習機会を提供する。)
  【主管課:生涯学習政策局政策課】
  【関係課:生涯学習政策局生涯学習推進課、同参事官付、高等教育局大学振興課、同専門教育課】

評価結果の概要  放送大学では、平成17年度から3カ年計画で、学生による授業評価システムを段階的に構築することとしており、平成18年度においては、平成17年度に実施した試行調査をもとに、調査項目の見直しを行うとともに、新たに、対象科目として大学院開設科目を加え、調査を行った。また、平成17年度試行調査結果の活用状況についてもフォローアップを行っており、これらの取組を通じ、学習者のニーズの把握および授業内容の質的充実を図っている。
 (想定どおり達成)
 大学において社会人が学ぶ機会を増加させる取組については、各種取組(社会人特別選抜の導入大学数、昼夜開講制の導入大学院数、夜間大学院の設置大学数、通信教育を行う大学数、専門職大学院設置数)が増加している。
 (想定どおり達成)
 専修学校における社会人受け入れ数は、雇用状況の改善等により減少傾向にあるが、中高年や子育て等のために就業を中断した女性を対象とした専修学校新社会人キャリアアップ教育推進事業を展開するなど、学習機会の提供について多様化が図られている。
 (概ね順調に進捗)
 また、大学等公開講座については、平成18年度の講座数及び受講者数は今年度中に調査するものの、平成17年度の実績においては、平成16年度の実績と比べて、開設講座数、受講者数ともに増加しており、開設講座数においては3万講座(平成16年度の120パーセント)、受講者数においては、約137万人(平成16年度の115パーセント)に達している。
 (想定した以上に達成)
 以上の状況を総合的に勘案すると、「高度で体系的かつ継続的な学習機会を提供する高等教育機関等において、学習者の多様なニーズに対応し、生涯を通じた幅広い学習機会を提供する」という目標に向けて、量的、質的充実ともに順調に進捗していると判断できる。
評価結果の政策への反映状況
 (平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 これまでの取り組みの結果をふまえ、社会人の多様化する生涯学習ニーズに対応するための放送大学の充実・整備に向け、8,702百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:7,862百万円)
 社会人等の「学び直し」の機会の充実を図るため、専修学校の職業教育機能を活用して対象者それぞれの特性等に応じた職業能力向上のための学習機会の提供を行う事業として、768百万円を概算要求した。
 (平成20年度予算案額:728百万円)

施策目標1‐2 地域の教育力の向上

 (多様な学習活動の機会や情報提供、様々な機関・団体が連携することにより、地域における学習活動を活性化させ、地域における様々な現代的課題等に対応するとともに、総合的に地域の教育力の向上を図る。)
  【主管課:生涯学習政策局政策課】
  【関係課:生涯学習政策局生涯学習推進課、同社会教育課、同男女共同参画課、文化庁文化部芸術文化課】

評価結果の概要  社会教育活性化21世紀プランにおいて、平成17年度は、30地域に委託し、そのうち24地域が事業を終了している。
 24地域における平成18年度事業継続状況については、20地域(83パーセント)において実施され、公民館等の社会教育施設の利用者が増加するなど、当初想定した以上に達成されていると判断する。
 また、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成14年3月閣議決定)に基づき、社会教育における人権教育を一層推進するため、人権に関する学習機会の充実方策等についての実践的な調査研究を行うとともに、その成果の普及を図ることを目的とし、平成18年度は、60地域(18都府県)で委託事業を行ったところであり、本年度の達成目標を大幅に上回る結果となっていることから、想定した以上に順調に進捗したと判断する。
  地域住民の学習ニーズに即応した学習機会を提供し、行政と生涯学習分野におけるNPOとの連携促進を図るため、生涯学習分野におけるNPO支援事業を実施した。
  平成17年度は、10箇所に委託をし、行政と生涯学習分野におけるNPOとの連携による地域学習活動の充実を図った。
  その中でも、次年度から委託を受けずに取組を実施するとしている団体が3団体あり、モデル事業として、実施してきた事業が地域に根付きつつあり、想定どおり達成したと判断する。
  平成18年度に「女性のキャリア形成支援事業」として、女性が社会で能力を発揮し、多様なキャリアを形成するための支援策について実践的な調査研究を全国7箇所で実施した。(3年計画の3年目)
  学習者のニーズに応じた学習相談や情報の提供、学習プログラムや社会活動のコーディネート等のサービスを一括して提供する仕組みのあり方などについて、実践的な調査研究がなされ、5箇所で具体的な取り組みを進めている。
 また、女性が学習や活動等の成果を活かし、男性と共に積極的に政策・方針決定過程へ参画することを目的として全国5か所で、必要な資質能力の向上を図るための実践的な研修等を行うモデル事業を、あわせて実施しているところだが、すべての地域において参画対象への働きかけなどに関する具体的な取り組みが始まっている。
 平成18年度は、諸外国に比べ、特に、女性の進出が遅れている科学技術分野への関心や進路選択を促進するため、科学技術分野への進路選択支援に関する先進事例の調査・提供等を1箇所で行った。
 「子どもの居場所づくり」の運営に当たっては、地域住民のボランティアによる参加など、地域の多くの大人が自発的に事業に係わることが、地域コミュニティーの充実及び地域の教育力の活性化に大きく資するものであり、実施箇所の全国的な拡充とともに、地域住民の参加の充実が非常に重要であり、平成18年度においては、事業運営に協力した地域の大人の1箇所当たりの年間平均参加者が前年度と比較して、47都道府県中32県で増加し、全国平均でも増加したことから想定どおり達成と判断した。
 また、平成17年度減少した都道府県15県のうち、13県が対前年度で増加に転じたこと、また3年間通して見た場合、38県については、平成16年度と比較して増加した。
 「地域ボランティア活動推進事業」は、国民一人一人が、ごく自然に、日常的にボランティア活動を行い、相互に支えあうような地域社会の実現を目指して、ボランティア活動の全国展開をさらに推進し、地域の教育力の再生を図ることを目的としている。
 このため、当該事業の達成目標を計る指標として、事業を実施している地域数を設定する。
 平成17年度における「地域ボランティア活動推進事業」の実施地域数は、475地域、平成18年度において、新規に本事業を行う実施地域数は、588地域であり、2ヵ年で1,063地域を指定している。
 このことから、おおむね順調に進捗しているが、一部についてはやや遅れが見られると判断する。
 また、「生涯学習に関する世論調査」(平成17年5月)において、ボランティア活動の機会の充実や活動の支援への要望が高いという結果があること等、ボランティア活動を通じて、地域独自の自発的な取組のきっかけづくりを行うことが期待されていると考えられる。
 子どもたちが日常の生活圏の中で、年間を通じて地域の特色ある様々な文化に触れ、体験するとともに、継続的なワークショップや発表の機会を提供するために、「文化体験プログラム事業」を実施した。
 平成17年度では、99地域で実施したところであるが、平成18年度において、実施地域が30パーセント増加しており、本事業の目的は達成されたものと判断する。
 以上により、平成18年度においては、5つの達成目標のうち、4つの目標について「想定どおり達成」又はそれ以上の評価を行い、地域における様々な機関・団体との連携による現代的課題を始めとする多様な学習機会の増大、学習活動の情報の提供、行政と民間との連携などが促進されたものと評価できる。
 さらには、事業終了後においても、地域で自主的な活動がなされるなど各施策の実施を契機とした継続的な活動もなされており、各地域における教育力の向上へ寄与したと評価できる。
評価結果の政策への反映状況
 (平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 「社会教育活性化21世紀プラン」については、平成18年度で事業を終了した。
 社会教育における人権教育を一層推進するため、人権に関する学習機会の充実方策等についての実践的な調査研究を行うとともに、その成果の普及を図るために、166百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:160百万円)
 NPOを核とした多様な主体の協働によって生まれる、柔軟かつ専門性の高い組織力を活かし、市民の学習活動等を支援・促進するとともに、市民力の向上を図るなど、「民」主導による生涯学習の活性化を目的とした「生涯学習活性化プロジェクト」を実施するため、39百万円を概算要求に盛り込んだ。 (平成20年度予算案額:15百万円) 出産・育児後の女性等に、特有の事情を踏まえた身近な場所での再チャレンジ支援講座等の実施など、学習者の再チャレンジに資する学習支援システムを構築する「再チャレンジのための学習支援システムの構築」事業を、引き続き実施するため、528百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:195百万円)
 放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用して、子どもたちの安全・安心な活動拠点(居場所)を設け、地域の多様な方々の参画を得て、様々な体験・交流活動や学習活動等を推進する「放課後子ども教室推進事業」を、厚生労働省と連携した総合的な放課後対策(放課後子どもプラン)として実施しており、9,924百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:7,765百万円)
 「地域ボランティア活動推進事業」については、「地域教育力再生プラン」見直しにともない、事業を終了するとともに、引き続きボランティア活動の全国的な展開を図っていくことが求められていると考えられていることを踏まえ、平成19年度においては「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業を新たに実施した。

施策目標1‐3 家庭の教育力の向上

 (近年の都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化等を背景として、親の間に、子育てに関する悩みなどが広がっていることが指摘されている。このため、以下の達成目標に掲げた家庭教育に関する支援の充実を図り、子育て中の親の悩みや不安感を解消し、家庭教育に取り組むことができるようにする。)
  【主管課:生涯学習政策局男女共同参画課】
  【関係課:初等中等教育局幼児教育課】

評価結果の概要 平成19年1月調査の結果は、以下のとおりである。
  • 「楽しいと感じることと辛いと感じることが同じくらい」が1.6パーセント減、
  • 「辛いと感じることの方が多い」が0.3パーセント増
  • 合計(-1.6パーセント)+(0.3パーセント)=-1.3パーセント
 なお、同調査中、「楽しいと感じることの方が多い。」と回答した親は2.5パーセント増加しており、さらに、具体的な「子育ての楽しさ」の内容を問う質問項目においては、ほぼ全ての項目で、前回調査より、子育てを肯定的に捉える親の割合が増加している。
 こうしたことから、文部科学省の取組については、行政と子育て支援団体等の連携を図り、子育て中の親に身近な場所で学習する機会を提供することや、子育て支援に携わる人材の養成、さらに、文部科学省が中心となり、家庭教育に関する情報を提供するなど、子育て中の親の悩みを解消するための取組の推進について、一定の成果を上げることができたものと評価できる。
評価結果の政策への反映状況
 (平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 平成20年度においては、新たに「地域における家庭教育支援基盤形成事業」を行うため、2,214百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:1,153百万円)
 また、新たに「家庭教育支援指導者養成標準カリキュラム開発事業」を行うため、31百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:31百万円)
 【機構・定員要求】
 家庭教育支援連携推進専門官(1名)の新設を要求した。
 (家庭教育支援連携推進専門官1名措置)

施策目標1‐4 自立し挑戦する若者の育成

 (在学生からフリーターまでの若年者層の勤労観・職業観を育成し、真に自立し、社会に貢献する人材を育成する。)
  【主管課:生涯学習政策局政策課】
  【関係課:生涯学習政策局生涯学習推進課、同参事官付、同社会教育課、初等中等教育局児童生徒課、同参事官付、同教育課程課、同幼児教育課、同特別支援教育課、高等教育局大学振興課、同専門教育課、スポーツ・青少年局青少年課】

評価結果の概要  平成18年度においては、公立中学校における職場体験や全日制高校におけるインターンシップの実施状況が上昇するなど、初等中等教育段階におけるキャリア教育の推進が図られているとともに、専門高校における専門的職業人の育成に関する事業も着実に進んでいる。
 また、各大学等において、高度な専門能力等を持つ人材の養成に向けた取組の普及・定着の促進、大学等における学生の職業意識の形成に関わる授業科目の開設状況も増加しているなど、若年者の能力向上、職業選択肢の拡大が着実に推進されている。
 さらに、青少年の自主性や社会性を育む、青少年の自立のための支援体制の整備等の事業展開も進んでいる。
 eラーニングを活用した学習機会の提供については、学習コンテンツの制作数は想定どおり達成することができ、学習者数の伸びは想定した以上に達成することができた。
 また、専修学校における「学び直し」の提供については、社会的要請の高い課題に対応できる教育方法等の開発やニートの社会的自立を目指す職業教育支援など、多様な学習ニーズに対応したカリキュラムの開設が増加した。一方、公民館を活用した社会参加への支援については、参加者数を十分に確保することができなかった。
 以上の状況を勘案すると、一部目標を達成できなかったものもあるが、多くの目標は想定通り達成しており、おおむね順調に事業を実施していると判断できる。
評価結果の政策への反映状況
 (平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 中学校を中心とした5日間以上の職場体験を実施するとともに、地域の協力体制の構築等を図るため、引き続き、「キャリア教育実践プロジェクト」を実施するため、705百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:232百万円)
 高等学校(特に普通科高校)におけるキャリア教育を充実するため、「高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究」を実施するため、341百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:208百万円)
 専門高校等における専門的職業人の育成を着実に実施するため、「目指せスペシャリスト」として、293百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:120百万円)
 また、「地域産業の担い手育成プロジェクト」として、1,122百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:390百万円)
 大学・短期大学・高等専門学校を対象に、社会人の再就職やキャリアアップに資するため、大学等における教育研究資源を活用した、優れた実践的教育への取組に対して支援を行うことにより、大学等の特色ある取組の展開を促進するとともに、再チャレンジを可能とする柔軟で多様な社会の実現を目指すため、5,400百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:1,960百万円)
 青少年の自立や健全育成を総合的に推進していくために、1,397百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:613百万円)
 専修学校の職業教育機能を活用して、若者やニートなどの職業能力向上のための学習機会の提供を行う事業や、専修学校における社会的要請の高い課題に対応する教育内容等の研究開発を行う事業として、それぞれ768百万円、520百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:728百万円、417百万円)
 保護者等を介した段階的なニート対策やニート予防のための「公民館等におけるニート支援モデル事業」を実施するため、5百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:3百万円)
 【機構・定員要求】
 専門高校における介護福祉士等(専門的職業人)の養成に係る事務処理を強化するため、専門職(1名)を要求することとした。 (専門職1名措置)

施策目標1‐5 ITに関連する教育・学習の振興とITを活用した教育・学習の振興

 (高度情報社会を担う人材を育成するための教育・学習を推進するとともに、ITを効果的に活用した教育・学習の機会を充実する)
  【主管課:生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)付】
  【関係課:初等中等教育局参事官(産業教育・情報教育担当)付】

評価結果の概要  教員によるコンピュータを使った指導については、IT新改革戦略に基づき、「ICTを使って指導できる教員」の評価基準の見直しを行い、より詳細な調査を実施したところ、目標達成のためのさらなる取組が必要であり、「おおむね順調に進捗しているが、一部については進捗にやや遅れが見られる」と判断した。
 教育における地上デジタルテレビ放送の活用方策等については、授業実践を通じて、その活用の参考事例となる学習指導案の蓄積が十分になされたことから、「順調に進捗したもの」と評価できる。
 eラーニングを活用した職業意識の醸成等については、学習者の就労意識を把握するに十分なデータ集計はできなかったものの、学習コンテンツの制作数は想定どおり達成することができ、学習者数の伸びも想定した以上に達成することができたことから、「想定どおり達成」と判断した。
 エル・ネットを活用した地域の特色あるコンテンツの全国発信等については、配信した学習コンテンツ数が前年度より下回ったことから「おおむね順調に進捗しているが、一部については進捗にやや遅れが見られる」と判断した。
 以上の状況を総合的に勘案し、施策目標1−5については、「おおむね順調に進捗しているが、一部については進捗にやや遅れが見られる」と評価した。
評価結果の政策への反映状況
 (平成19年度以降の取組)
【概算要求】
 高度情報社会を担う人材を育成するための教育・学習を推進するとともに、ITを効果的に活用した教育・学習の機会を充実するため、「学校教育情報化推進総合プラン」として1,097百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:466百万円)
 また、「デジタルテレビ等を活用した先端的教育・学習に関する調査研究」にも65百万円を概算要求に盛り込んだ。
 (平成20年度予算案額:64百万円)

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