国際免除レベルの法令への取り入れの基本的考え方について
1-1.放射線障害防止法改正における検討の経緯について
1-2.放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(概要)
1.改正の趣旨
国際原子力機関(IAEA)、世界保健機関(WHO)等の定めた国際標準値(規制対象下限値)の導入に伴い、数量及び濃度の小さい放射性同位元素の規制を合理化する等所要の改正を行う。
2.改正事項<
(1)国際標準値の導入に伴う規制の合理化
・放射性同位元素を装備した機器の放射線障害防止のための設計について、文部科学大臣の設計認証の制度を創設する。(第2章の2関係)
・文部科学大臣の設計認証を受けた機器については、機器の使用開始後の届出で足りることとし、特に危険性の小さいものについては、使用の届出も不要とすることとする。
(第3条、第3条の2、第3条の3関係)
・販売及び賃貸の業の許可制を届出制に改める。(第4条関係)
(2)安全性の一層の向上
・施設検査、定期検査について、密封線源を扱う施設においては、施設の貯蔵能力の大小に加えて、使用方法や構造等を踏まえた当該機器の危険性によりその要不要を定める。(第12条の8、第12条の9関係)
・放射線量の測定、帳簿の作成等の義務の遵守等の使用方法(安全管理面)について定期的に確認することとする。(第12条の10関係)
・使用者等は、放射線取扱主任者に、文部科学大臣の行う講習を定期的に受けさせなければならないこととする。(第36条の2関係)
(3)廃棄物埋設処分の規定の整備
・廃棄業者が廃棄物を埋設の方法により処分する場合は、施設検査に加え、廃棄体が技術上の基準に適合することを文部科学大臣が確認することとする。(第19条の2関係)
(4)事務・事業の登録機関による実施
・平成14年3月29日の閣議決定「公益法人に対する行政関与の在り方の改革実施計画」を踏まえ、検査等の事務事業について登録機関が実施することとする。(第5章関係)
1-3.放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の改正案(概要)
(1) 国際標準値の導入に伴う規制の合理化
- 規制対象となる放射性同位元素について、国際原子力機関(IAEA)、世界保健機関(WHO)等が定めた国際標準値を導入。
(年間の一定被ばく量を基準として、核種ごとに放射能、放射能濃度を算出。)
- 各国においてもこの国際標準値の導入が進展。
- 放射能の程度の小さい機器について新たに規制対象となる。
(例:煙感知器、液面レベル計)
- 放射線利用の実態と新たな展開。(例:製造業者は使用と販売の二重の許可が必要。放射性同位元素を直接扱わない販売・賃貸の増加。)


(2) 安全性の一層の向上
- 安全管理面に起因した誤操作等の事故の割合が高い。
(例:最近4年間23件のうち18件(78%))
- IAEAにおいて機器の種類毎に危険性を分類する考え方を取りまとめ。
(年間の一定被ばく量を基準として、核種ごとに放射能、放射能濃度を算出。)
- 規制実績を踏まえ、画一的な規制から危険性(放射能、機器の特性等)を考慮した規制へ。
- 放射線取扱主任者に技術的能力の維持・向上が必要。 (現状では、再講習・再教育の制度なし。) 制対象となる放射性同位元素について、国際原子力機関(IAEA)、世界保健機関(WHO)等が定めた国際標準値を導入。


(3) 廃棄物埋設処分の規定の整備
- 原子力委員会が埋設処分の実施を指摘。(平成10年5月)
- 原子力安全委員会が埋設処分の安全規制の基本的考え方を決定。
(平成16年1月)
- RI・研究所等廃棄物の処分事業の実施主体に関する検討の進展。
- 廃棄物は年々増加しており、埋設処分できないことは事業者の大きな負担。
(平成14年度末時点でドラム缶約22万本)


2.放射線安全規制検討会中間報告書の概要
2-1.国際免除レベルの概要
- 国際原子力機関(IAEA)、世界保健機関(WHO)等の定めた国際標準値(規制対象下限値)の導入に伴い、数量及び濃度の小さい放射性同位元素の規制を合理化する等所要の改正を行う。
- 国際原子力機関(IAEA)などの国際機関が共同で策定した「国際基本安全基準(BSS)」に定められている規制を免除する核種ごとの放射能(Bq)、放射能濃度(Bq/g)の具体的な数値規準被ばく線量規準(実効線量)を、通常時では年間10μSv、事故時では年間1mSvと定めた上で、一定の被ばくシナリオを仮定し、科学的根拠に基づいて核種ごとに計算
- 放射線障害防止法上の定義数量、定義濃度に相当
2-2.国際免除レベルの法令取り入れの目的、必要性
- 放射性物質の国際間の移動に伴う国際的整合性を考慮すれば国際免除レベルを国内法令に取り入れることが適切
(放射線審議会基本部会報告書「規制免除について」)
- 放射性同位元素に対する安全規制の体系がより科学的かつ合理的なものとなり、また、貿易や国際輸送の円滑化、安全性の向上が図られることから、世界共通の基準を取り入れることが必要
2-3.対象となる核種数
<提示されている免除レベル>
- 国際原子力機関(IAEA) BSS → 295核種
- 英国放射線防護庁(NRPB) R306 → 765核種
- 放射線審議会基本部会は、提示された免除レベルについてともに妥当であるとの結論。また、NRPBの765核種には、我が国で利用されている主要核種の全てを含む
- 基本的にBSSの295核種を取り入れるが、BSSに示されていない核種についてはNRPBの定めた免除レベルを採用することが適当
表1 現行定義数量(濃度)と国際免除レベルの比較(非密封)
|
現行告示第5号 |
国際免除レベル |
核種名 |
数量
(MBq) |
濃度
(Bq/g) |
数量
(MBq) |
濃度
(Bq/g) |
| H-3 |
3.7 |
74 |
1,000 |
1×106 |
| S-35 |
0.37 |
100 |
1×105 |
| P-32 |
0.37 |
0.1 |
1,000 |
| Ni-63 |
0.037 |
100 |
1×105 |
| I-125 |
0.037 |
1 |
1,000 |
| Co-60 |
0.037 |
0.1 |
10 |
| Cs-137 |
0.037 |
0.01 |
10 |
| Sr-90 |
0.0037 |
0.01 |
100 |
※ 密封線源の現行定義数量は一律3.7MBq
2-4.国際免除レベル取り入れ後の密封線源の規制
(1)規制の現状
- 一律に3.7MBqを超え、3.7GBq以下の使用は届出
- 3.7GBqを超えるものの使用については許可
(2)国際免除レベル取り入れ後の基本的枠組み
- 数量、濃度ともに国際免除レベルを導入
- 各核種の国際免除レベルの一定倍数(1000倍)を許可と届出の区別のレベルとすることが適当
(3)許可の規制
(4)届出の規制
- 新届出
→ 規制の合理化を適宜図りつつ、一般の使用の届出として規制
- 設計承認 (法律案では設計認証)
→ 製造者の申請により安全性が確認できた機器に限り、新届出よりも適宜合理化した規制
- →国が指定したイオン化式煙感知器等の機器で、製造者の行う設計等について、申請により安全性が確認できれば、使用者に対して規制を課さない。
(5)その他の事項
表2 貯蔵能力への加算の考え方
規制区分 |
加算の考え方 |
| 許可対象の放射能レベル |
加算する |
| 新届出の放射能レベル |
加算する |
| 設計承認による放射性同位元素装備機器 |
加算せず |
| 型式承認による一般消費装備機器 |
加算せず(機器に装備されたもの) |
| 免除レベル以下 |
加算せず(集合体は除く) |
「密封された放射性同位元素の定義」や「密封性の担保に係る一般的な基準」について、的確な定義が必要。

2-5.国際免除レベル取り入れ後の非密封線源の規制
(1)規制の現状
- 4群に分かれた定義数量(濃度は一律)を超えるものの使用等は許可対象
(2)国際免除レベル取り入れ後の基本的枠組み
- 数量、濃度ともに国際免除レベルを導入
- 国際免除レベルを超えるものの使用等は、許可対象
- 複数核種の使用は、使用する全ての核種のそれぞれの数量の国際免除レベルに対する割合の和が1を超える場合、許可対象
- 現行規制の基本的仕組みは、変更する必要なし

図2 非密封線源の規制(数量)
2-6.放射線取扱主任者制度
- 新届出対象の密封線源のみを使用する事業所に対し第3種放射線取扱主任者を新設。免状は、講習受講者に与える。
- 選任されている主任者に対し、一定期間ごとの定期的な講習による再教育を義務付ける(技術的能力の維持)。
- 医師等を無条件に放射線取扱主任者に選任できる制度について、後述の一連の施策の効果も検討しつつ第1種試験や講習のうち科目を限定して義務付ける(第1種医療用主任者)ことを含め継続的に検討。
表3 主任者選任の区分
新 区 分 |
放射線取扱主任者に選任できる者 |
第1種 |
第2種 |
第3種 |
第1種
(医療) |
非密封、発生装置使用事業所
施設・定期検査対象の密封事業所
非密封販売、賃貸事業所
破棄事業所 |
○ |
|
|
|
施設・定期検査対象外の密封事業所
密封販売、賃貸事業所 |
○ |
○ |
|
|
| 新届出対象事業所 |
○ |
○ |
○ |
|
| 放射性同位元素等を診療等のためにのみ用いる使用事業所(継続的に検討) |
○ |
(○) |
|
○ |
2-7.放射線障害防止法に基づく検査
- 定期検査に、被ばく管理、教育訓練、記帳、測定など行為基準に関連する検査を追加 。
- 非密封線源では、施設検査、定期検査を課すレベルは、核種ごとに国際免除レベルの10万倍とする。
- 密封線源では、安全性や万が一遮へい等が失われた場合の人体への影響などの観点から密封線源や利用した機器を指定。 IAEAの線源のカテゴリー分け(IAEA-TECDOC-1344,2003)においても同様の考え方を採用
- 定期検査対象事業所に対する立入検査を、抜打検査や事故時の対応等に重点化
表4 密封線源取扱施設に対する新たな検査制度
密封線源取扱事業所 |
事業所種類 |
検査内容 |
適用する検査 |
指定された線源、機器
・照射装置
(滅菌・血液照射等)
・遠隔治療装置
(回転照射装置)
・ガンマナイフ等 |
施設基準 |
・施設検査
・定期検査
(例:5年に1回)
・立入検査(適宜) |
行為基準 |
| その他許可事業所 |
施設基準 |
・立入検査 |
行為基準 |
| 届出事業所 |
施設基準 |
・立入検査 |
行為基準 |
※ 放射線発生装置取扱事業所については、現行法令を踏襲する。
表5 非密封線源取扱施設に対する新たな検査制度
非密封線源取扱事業所 |
事業所種類 |
検査内容 |
適用する検査 |
|
大規模許可事業所
(国際免除レベルの
10万倍以上) |
施設基準 |
・施設検査
・定期検査
(例:3年に1回)
・立入検査(適宜) |
行為基準 |
| その他許可事業所 |
施設基準 |
・立入検査 |
行為基準 |
施設基準:施設が許認可に適合しているかなど施設面の検査
行為基準:被ばく管理、教育訓練、記帳が行われているかなど行為面の検査
2-8.放射線源の永久挿入治療(規制の合理化の先行的取り組み)
例:早期の前立腺がん
→ヨウ素125密封線源を体内に永久的に挿入する治療は、欧米を中心に広く普及(米国では、年間数万件程度実施)
- 再び取り出す意図を持たずに患者に挿入されたヨウ素125又は金198を装備しているもの
- 厚生労働大臣との協議等を踏まえ、放射線障害防止法の適用を除外(平成15年7月15日告示)
- 平成15年8月より国内での手術が開始された。
2-9.廃棄物対策の合理化
[1]陽電子断層撮影法(PET)の廃棄物
(1)現状
- PETで用いられる核種は極短半減期であるが、放射性廃棄物として管理現在わが国では50余りのPET施設が稼働中であり、今後も施設数、検査件数ともに増加の見込み
(2)方針状
- 十分な安全性が確認できる管理期間を定め、その期間以上保管した廃棄物については、放射線障害防止法の適用を除外する。
(3)適用除外のための取扱い
- 炭素11、窒素13、酸素15、フッ素18の4核種について法令上の手続きを行い、条件を満たしたPET廃棄物について、放射線取扱主任者の責任の下に放射線障害防止法の適用から除外することができるよう検討中。
(4)今後の予定(案)
- 現在、制度改正に向けた詳細を検討中
平成16年3月中に省令改正の予定
[2]放射性個体廃棄物の埋設処分
(1)現行の規制
- 使用者等は、放射性個体廃棄物については、焼却炉における焼却、又は保管廃棄設備における保管廃棄のみ、廃棄業者は、廃棄物貯蔵施設で貯蔵することまで認められており、それらの最終的な埋設処分は現行法令上不可能。
(2)今後の対応
- 埋設が想定される物は放射能濃度が高い物を除いたRl廃棄物。すでに埋設が行われている原子炉施設から発生する低レベル放射性廃棄物のトレンチ処分相当放射能濃度を大幅に下回ると予想される。
- Rl廃棄物の埋設に関する適切な法整備を図る。

図3 RI廃棄物と二重規制廃棄物の保管量
[3]放射性廃棄物の埋設に関する検討状況
○原子力安全委員会
- 原子力安全総合専門部会報告書
「放射性同位元素使用施設等から発生する放射性個体廃棄物の浅地中処分の安全規制に関する基本的考え方」(平成16年1月)
○文部科学省
- 放射線安全規制検討会中間報告書
「国際免除レベルの法令への取り入れの基本的考え方について」(平成15年8月)
- Rl・研究所等廃棄物の処分事業に関する懇談会(平成14年2月から検討)
○事業者(原研、核燃料サイクル開発機構、Rl協会)
- Rl・研究所等廃棄物事業推進準備会(平成9年度設置)
- (財)原子力研究バックエンド推進センター(RANDEC)(平成12年発足 3者との協力体制の下で活動)
科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室
電話番号:03-6734-4044

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