ケープタウン宣言(仮訳)

平成19年11月30日

我々、2007年11月30日、南アフリカ共和国ケープタウンにおける地球観測に関する政府間会合(GEO)閣僚サミットに集まった参加者は、

各国が地球変動の結果として主要な環境的・社会的・経済的課題に直面していることを認識し、

環境と持続可能な開発に取り組むための健全な政策立案は、複雑かつ相互に依存する世界の理解と描写と予測に基づくべきものであって、したがって、地上、海洋、航空機及び宇宙からの地球観測、データ同化技術及び地球システムモデリングを必要とすることを認識し、

2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)が、特に開発途上国において、持続可能な開発を促進する地球観測システムの重要性を強調したことを想起し、

2003年のエビアンG8サミットが全球観測と関連情報システムに関する国際協力の強化を約束し、2005年のグレンイーグルズG8サミット及び2007年のハイリゲンダムG8サミットが全球地球観測システム(GEOSS)の役割を確認したことを想起し、

地球観測に関する政府間会合が、人類の健康、安全及び福祉を増進し、貧困を含めた人類の苦難を軽減し、地球環境を保護し、及び持続可能な開発を達成するため、調整された包括的で持続的な地球観測を活用するという原則の上に設立されたことを想起し、

GEOSSを構築するため、地球観測に関する政府間会合(GEO)を設置し、10年実施計画を承認した2003年のワシントン、2004年の東京及び2005年のブリュッセルにおける地球観測サミットの成果を再確認し、

GEOSSは、10年実施計画の範囲内で、加盟国及び参加機関によって開発・運用された既存及び将来の観測と予測と情報システムの相互連携と拡張の上に構築され続けることを認識し、

国家政策及び国際的義務の枠組みの範囲内で、地球観測ネットワーク及びシステムの安定的、信頼的及び長期間の運用を提供することの重要性を認識し、

気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)、生物の多様性に関する条約(CBD)、国際連合砂漠化対処条約(UNCCD)、その他関連する取決め及びプロセスのニーズに対応することを含めて、国際連合機関との協力を通じてGEOSSによって可能な重要な貢献を認識し、及びこのような貢献を一層促進する必要性が大きくなっていることを認識し、

GEOSSが国際連合空間データ基盤(UNSDI)の発展に貢献することができることを認識し、

国際電気通信連合(ITU)との協力を通じて、適当な関係当局によってすべての災害及び緊急事態に適用する全メディアによる公衆警報のための国際標準の実施を促進することについて、GEOによって可能な重要な協力を認識し、

GEOが多数の社会的利益分野に特化された利用者ニーズに取り組んでいることを再確認し、

我々は、「2007年GEOの成果に関する報告書(GEO Report on Progress 2007)」に記載されているように、加盟国及び参加機関による10年実施計画に向けた数多くの貢献と早期成果に満足する。これらの貢献と早期成果は、観測、データ及びプロダクトの利用の促進、自然災害に対する対抗力の強化、エネルギー、水・資源管理の改善、気候、大気、伝染病の監視及び予測能力の向上、生態系とその恩恵の保護の促進といった多様な社会的・環境的・経済的利益をもたらしている。

概念を行動と実施に移すことにおいて、我々は、GEOが全球地球観測、予測及び情報システムに対する国家的・地域的投資の利益を増進する重要な国際的枠組みを提供することを構想する。

我々は、次のとおり共通理解として確認する。

  • a)地上、海洋、航空機及び宇宙からの観測ネットワークの持続的な運用は、情報に基づく意思決定にとって重要であること。
  • b)データの相互運用は、観測、モデリング、データ同化及び予測能力の改善・拡張にとって重要であること。
  • c)継続的な研究開発活動と一貫した計画は、将来の観測システムにとって不可欠であること。
  • d)継続的な協力と対話は、情報に基づいた意思決定を支援する強力な手段としてGEOSSを構築することとしていること。
  • e)国家・地域・全球レベルの調整、継続的投資、科学技術の進歩、資金調達における革新的アプローチは地球観測の向上及び拡張にとって、特に開発途上国において、個人、研究機関及びシステムの能力開発にとって不可欠なものとなること。

我々は、次回のGEO閣僚サミットに提出されるよう、「GEOSSデータ共有原則」の実施に関するコンセンサスを達成することを目的としたプロセスを設けることを支持する。GEOSSの成功は、すべてのGEO協力者が協働して、データとプロダクトに対して適時に全世界的に公開された利用を確保することを約束することにかかっている。

我々は、共有された構造的GEOSSコンポーネントとこれに関連する情報基盤を持続可能に運用するための方法と手段について検討することを約束する。

我々は、地球観測機器の無線通信利用に関する2007年世界無線通信会議(WRC-07)の決議を歓迎し、及び受動的計測を含めた地上、海洋、航空機及び宇宙からの観測のための周波数の国際的保護及び長期利用可能性に対する支援を歓迎する。

我々は、GEOSSの継続的な強化及び10年実施計画の完全な達成に向けて協働して、観測と関連予測と関連情報システムの相互運用を改善することを約束する。

我々は、南アフリカ共和国政府が本日のサミットを主催し、開催し、これを通じて地球観測システムに関する国際協力を前進させたことに感謝する。

我々は、進捗を再確認し、中期評価を実施し、及びGEOSSの実施に関する今後の指針を与えるため、2010年末までに再び集まることを決議する。

-- 登録:平成21年以前 --