第4回地球観測サミット(ケープタウン)日本政府ステートメント

平成19年11月30日

 議長、ありがとうございます。
 第4回地球観測サミットを主催された南アフリカに心より感謝し敬意を表します。
 また、日本を代表して、全球地球観測システム(GEOSS)の構築に向けた取組について表明します。

(基本認識)

 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書」は、地球温暖化の影響は深刻化しつつあり、世界の幾つかの地域の生活を脅かしていると警告しています。本年6月のハイリゲンダムで開催されたG8首脳会議においても、この報告書が注目され、地球規模の温室効果ガス排出削減の重要性が再確認されました。
 このようなことから、地球規模の気候変動を監視するため、国際社会が協調してGEOSSの構築を加速させる必要があります。
 特に、衛星観測データ、地上観測データ、海洋観測データなど地球環境問題の解決に必要な様々な観測データの相互流通性を高めることが急務となっております。また、地球観測における先進国と開発途上国との格差を是正するため、開発途上国に対する能力開発を一層推進することが重要であります。

(我が国の貢献)

 こうした認識に立って、我が国は、人工衛星による観測や地上・海洋における観測によって精度の高いデータの取得に努めるとともに、高度な予測研究にも努めてまいりました。
 これらによって、例えば、人工衛星による観測では、ブラジルと協力してアマゾンの森林減少を把握するとともに、アメリカと協力して北極の海氷の溶解を明らかにしました。また、地上・海洋における観測では、インドネシアと協力して熱帯地域の豪雨を監視するネットワークを整備しました。このほか、「地球シミュレーター」を活用してインド洋ダイポールモード現象の予測に成功しました。
 今後は、「GEOSS10年実施計画」に基づき、温室効果ガスを監視する衛星、全球的な水循環を解明する衛星を順次打ち上げ、全球3次元地形データをGEOSSに提供するなど、宇宙から見た全球規模の観測体制を強化してまいります。
 また、我が国は、様々な地球観測データを統合して使いやすい情報に変換するシステムを開発することによって、アジア各国と協力して、アジア地域の防災対策の充実や水資源管理の向上などに貢献してまいります。
 さらに、こうした我々の取組が様々な地域に広がるとともに、地球観測に関する政府間会合(GEO)加盟国及び参加機関がこれらとのネットワークを作るよう努力して、全球的な環境問題の解決や防災対策の充実に貢献することを期待しております。

(GEOSSの成果の普及促進)

 私は、GEOSSが経済発展を維持しつつ、人々により良い環境を与えることに貢献するものであると信じております。我が国は、GEOSSの成果が広く各国に普及するよう、GEOSSに関するシンポジウムを来年3月に東京で開催するとともに、今後、このシンポジウムの開催を各国に展開してまいります。

(結び)

 最後に、美しい地球を未来の子どもたちに受け継ぎ、将来にわたって人類が安心して暮らせる社会を築くために、GEO加盟国及び参加機関の皆様と協力しながらGEOSSの構築に努めてまいります。
 ありがとうございました。

-- 登録:平成21年以前 --