社会教育法等の一部を改正する法律等の施行について(平成20年6月11日 各都道府県教育委員会等あて 文部科学事務次官通知)

20文科生第167号
平成20年6月11日

各都道府県教育委員会 殿
各指定都市教育委員会 殿
各都道府県知事 殿
各指定都市市長 殿
各国公私立大学長 殿
各国公私立高等専門学校長 殿
各大学共同利用機関法人機構長 殿
大学を設置する各地方公共団体の長 殿
各公立大学法人の理事長 殿
文部科学省が所管する関係独立行政法人の長 殿
大学又は高等専門学校を設置する各学校法人の理事長 殿
大学を設置する各学校設置会社の代表取締役 殿
放送大学学園理事長 殿

文部科学事務次官
銭谷眞美

(印影印刷)

 第169回国会(常会)において成立した「社会教育法等の一部を改正する法律」(以下、「改正法」という。)が、別添1のとおり、平成20年6月11日、平成20年法律第59号として公布され、一部を除き、同日より施行されました。なお、改正法附則第1項により、大学における図書館に関する科目を文部科学省令で定めることに関する事項については、平成22年4月1日より施行されることになります。
 また、この改正法の公布及び施行に伴い、関係する省令及び告示について、同日付けで所要の規定の整備を行ったところです。
 これら省令の施行及び告示の実施は、改正法の施行日である平成20年6月11日からとなります。
 改正の概要、主な改正条文の趣旨及び内容等は、下記のとおりですので、適切な事務処理を願います。
 また、各都道府県教育委員会におかれては、域内の市町村教育委員会、所管の学校及び社会教育施設その他の教育機関に対して、各都道府県知事におかれては、所轄の学校及び学校法人等に対して、国立大学長におかれては、その管下の学校に対して、本改正の周知を図るとともに、適切な事務処理が図られるよう配慮願います。
 なお、改正法並びに改正した省令及び告示の改正文及び新旧対照表等の関係資料は、文部科学省のホームページ(www.mext.go.jp)に掲載していますので、御参照ください。

第一改正の趣旨

 今回の改正は、教育基本法の改正(平成18年12月)を踏まえ、社会教育行政の体制の整備等を図るため、社会教育に関する国及び地方公共団体の任務、教育委員会の事務、公民館、図書館及び博物館の運営、司書等の資格要件等に関する規定を整備するものであること。

第二改正の内容

1.改正法の概要(平成20年法律第59号)

1 社会教育法の一部改正関係

 ア教育基本法の改正を踏まえた規定の整備等(第3条及び第5条関係)

  1.  国及び地方公共団体が社会教育に関する任務を行うに当たって、国民の学習に対する多様な需要を踏まえ、これに適切に対応するために必要な学習の機会の提供及びその奨励を行うことにより、生涯学習の振興に寄与するものとなるよう努めるものとすること。
  2. 国及び地方公共団体が社会教育に関する任務を行うに当たっての配慮事項として、社会教育が学校、家庭及び地域住民その他の関係者相互間の連携及び協力の促進に資することとなるよう努めることを加えること。
  3. 教育委員会の事務に、次の事務を規定すること。

 (1)家庭教育に関する情報の提供に関する事務
 (2)情報の収集及び利用を円滑かつ適正に行うために必要な知識又は技能に関する学習の機会を提供するための講座の開設等の事務
 (3)主として学齢児童及び学齢生徒に対する、学校の授業の終了後等に学校等を利用して行う学習等の機会を提供する事業の実施等の事務
 (4)社会教育における学習の機会を利用して行った学習の成果を活用して学校、社会教育施設その他地域において行う教育活動等の機会を提供する事業の実施等の事務
 (5)社会教育に関する情報の収集、整理及び提供に関する事務

 イ公民館の運営状況に関する評価及び改善並びに関係者への情報提供(第32条及び第32条の2関係)
 公民館はその運営状況の評価及び改善並びにその運営に関する地域住民等関係者への情報提供に努めるべきこととすること。

 ウ社会教育関係団体に対する補助金の交付に係る諮問の例外(第13条関係)
 地方公共団体が社会教育関係団体に対し補助金を交付しようとする際に義務付けられている社会教育委員の会議への意見聴取について、当該地方公共団体に社会教育委員が置かれていない場合には、社会教育に係る補助金の交付に関する事項を調査審議する審議会その他の合議制の機関をもって、これに代えることができることとすること。

 エ社会教育主事となる資格を得るために必要な実務経験の範囲の拡大(第9条の4関係)
 社会教育主事となる資格を得るために必要な3年以上の実務経験の対象として、司書、学芸員等、学校や社会教育施設における一定の職を加えること。

 オその他(第9条の3関係)

  1. 社会教育主事は、学校が社会教育関係団体等の関係者の協力を得て教育活動を行う場合には、その求めに応じて助言を行うことができることとすること。

2 図書館法の一部改正関係

 ア教育基本法の改正を踏まえた規定の整備(第3条及び第15条関係)

  1. 図書館が行う事項として、社会教育における学習の機会を利用して行った学習の成果を活用して行う教育活動等の活動の機会を提供・奨励する事項を加えること。
  2. 図書館の事項の実施における配慮事項として家庭教育の向上に資することを加えるとともに、図書館協議会の委員を任命できる範囲に家庭教育の向上に資する活動を行う者を加えること。

 イ図書館の運営状況に関する評価及び改善並びに関係者への情報提供等(第7条の2から第7条の4まで関係)

  1. 文部科学大臣は、図書館の設置及び運営上望ましい基準を定め、これを公表することとすること。
  2. 図書館について、1のイと同様の改正を行うこと。

 ウ司書等の資格取得要件の見直し及び資質の向上等(第5条及び第7条関係)

  1. 司書となる資格を得るために大学において履修すべき図書館に関する科目を、文部科学省令で定めることとすること。
  2. 司書となる資格を得るために必要な実務経験について、1のエと同様の改正を行うこと。
  3. 司書補の学歴要件を、大学に入学することのできる者とすること。
  4. 文部科学大臣及び都道府県教育委員会は、司書及び司書補に対し、その資質の向上のために必要な研修を行うよう努めることとすること。

 エその他(第3条関係)

  1. 図書館が収集し一般の公衆の利用に供する「図書館資料」について、「電磁的記録」を含むことを明示すること。

3 博物館法の一部改正関係(第3条及び第21条関係)

 ア教育基本法の改正を踏まえた規定の整備

  1. 博物館が行う事業として、2のアの1.と同様の改正を行うこと。
  2. 博物館協議会の委員を任命できる範囲に家庭教育の向上に資する活動を行う者を加えること。

 イ博物館の運営状況に関する評価及び改善並びに関係者への情報提供(第9条及び第9条の2関係)
 博物館について、1のイと同様の改正を行うこと。

 ウ学芸員等に関する資格取得要件の見直し及び資質の向上(第5条及び第7条関係)

  1. 学芸員となる資格を得るために必要な実務経験について、1のエと同様の改正を行うこと。
  2. 学芸員及び学芸員補の研修について、2のウの4.と同様の改正を行うこと。

 エその他(第2条関係)

  1. 博物館が収集・展示等を行う「博物館資料」について、2のエの1.と同様の改正を行うこと。

4 施行期日等

 アこの法律は、公布の日から施行すること。ただし、2のウの1.に定める事項については、平成22年4月1日から施行すること。(附則関係)

 イその他所要の改正を行うこと。

2.社会教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備等に関する省令の概要(平成20年省令第18号)

1 社会教育主事講習等規程の一部改正関係

 社会教育主事講習の受講資格に関して、法第9条の4第1号イ及びロに規定する職にあった期間又は同号ハに規定する業務に従事した期間の合計を「4年以上」から「2年以上」とすること。(第2条関係)

2 図書館法施行規則の一部改正関係

 ア司書の資格要件に関して、実務経験が必要とされる場合に、当該実務経験として評価されるものに官公署、学校又は社会教育施設において社会教育主事や学芸員その他の一定の職を加えることに伴い、司書講習の受講資格の必要な実務経験において所要の改正を行うこと。(第2条関係)

 イ司書補の学歴要件を、大学に入学することのできる者とすることに伴い所要の改正を行うこと。(第3条及び第11条関係)

3 博物館法施行規則の一部改正関係

 ア学芸員の資格要件に関して、実務経験が必要とされる場合に、当該実務経験として評価されるものに官公署、学校又は社会教育施設において社会教育主事や司書その他の一定の職を加えることに伴い、学芸員の試験認定の受験資格の必要な実務経験において所要の改正を行うこと。(第5条関係)

4 施行期日等

 アこの省令は、公布の日から施行すること。(附則関係)

 イその他所要の改正を行うこと。

3.改正告示の概要

1社会教育に関係のある職及び社会教育に関係のある事業における業務であって、社会教育主事として必要な知識又は技能の習得に資するもの並びに教育に関する職の指定の一部改正関係(平成20年告示第89号)

 ア社会教育法第9条の4第1号ロに規定する社会教育主事補の職と同等以上の職として以下の職を追加又は削除すること。(一関係)

  1. 内閣府及び文部科学省において青少年の健全な育成に関する事項の企画及び立案又は総合調整に関する事務に従事する者の職を削除すること。
  2. 大学等において社会教育に係る学習又は文化活動その他の生涯学習に資する諸活動の機会の提供に関する事務に従事する者の職を追加すること。
  3. 社会教育施設において社会教育に係る学習又は文化活動その他の生涯学習に資する諸活動の機会の提供に関する事務に従事する者の職を追加すること。

 イ社会教育法第9条の4第1号ハに規定する社会教育に関係のある事業における業務であって、社会教育主事として必要な知識又は技能の習得に資するものとして以下の業務を追加すること。(二関係)

  1. アの2.と同様の改正を行うこと。
  2. アの3.と同様の改正を行うこと。

ウ施行期日等

  1. この告示は、公布の日から実施すること。(附則関係)
  2. その他所要の改正を行うこと。

2 司書補の職と同等以上の職の指定関係(平成20年告示第90号)

 ア図書館法第5条第1項第3号ハに規定する司書補の職と同等以上の職として以下の職を指定すること

  1. 文部科学省(文化庁及び国立教育政策研究所を含む。)、大学共同利用機関法人、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所、独立行政法人大学入試センター、独立行政法人国立女性教育会館、独立行政法人国立科学博物館、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人科学技術振興機構、独立行政法人宇宙航空研究開発機構、独立行政法人日本スポーツ振興センター、独立行政法人日本芸術文化振興会、独立行政法人大学評価・学位授与機構、独立行政法人国立大学財務・経営センター、独立行政法人メディア教育開発センター及び独立行政法人国立青少年教育振興機構において図書館奉仕相当事項に関する専門的職務に従事する職員の職
  2. 地方公共団体の教育委員会において図書館奉仕相当事項に関する専門的職務に従事する職員の職
  3. 学校において図書館奉仕相当事項に関する専門的職務に従事する職員の職
  4. 社会教育施設において図書館奉仕相当事項に関する専門的職務に従事する職員の職
  5. 社会教育主事の職
  6. 学芸員の職

イ施行期日等

  1. この告示は、公布の日から実施すること。(附則関係)
  2. その他所要の改正を行うこと。

3 学芸員補の職に相当する職等の指定の一部改正関係(平成20年告示第91号)

 ア博物館法第5条第2項に規定する学芸員補の職と同等以上の職として以下の職を追加すること。

  1. 文部科学省(文化庁及び国立教育政策研究所を含む。)、大学共同利用機関法人、独立行政法人国立科学博物館及び独立行政法人国立美術館において博物館資料に相当する資料の収集、保管、展示及び調査研究に関する職務に従事する職員の職
  2. 社会教育施設において博物館資料に相当する資料の収集、保管、展示及び調査研究に関する職務に従事する職員の職

 イ施行期日等

  1. この告示は、公布の日から実施すること。(附則関係)
  2. その他所要の改正を行うこと。

4 公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準の一部改正関係(平成20年告示第92号)

 所要の改正を行うこと。

第三留意事項

1 社会教育における学習の機会を利用して行った学習の成果を活用して行う教育活動その他の活動の機会の提供等について(社会教育法第5条第15号、図書館法第3条第8号、博物館法第3条第1項第9号)

 各号で規定している「教育活動その他の活動」とは、具体的には、例えば、学校における「学校支援地域本部事業」(※)として行われるボランティア等による支援活動、図書館における子どもへの読み聞かせ活動、博物館における展示解説活動などが挙げられる。
 このような活動の機会を提供する事業の実施については、社会の要請や地方公共団体や各教育機関における必要性などの観点から、最終的には教育委員会が、学校長や社会教育施設の長の判断を尊重しつつ、判断するものである。したがって、学校、社会教育施設及び教育委員会は、このような活動の機会の提供に関する地域住民等の要望についても、これを受け入れるか否かを適切に判断することに留意すること。

※学校支援地域本部事業:平成20年度より新たに実施している地域全体で学校教育を支援する体制づくりを推進する事業で、例えば、地域住民等の協力を得て、授業や部活動指導、校内環境整備、学校図書館の読書活動など学校における教育活動を支援する。

2 公民館、図書館及び博物館の運営状況に関する評価及び改善について(社会教育法第32条、図書館法第7条の3、博物館法第9条)

 公民館、図書館及び博物館の運営状況に関する評価の具体的な内容については、第一義的には評価の実施主体である各館が定めるものであるが、その際、利用者である地域住民等の意向が適切に反映され、評価の透明性・客観性が確保されるよう、例えば公民館運営審議会や図書館協議会、博物館協議会等を活用するなど、外部の視点を入れた評価を導入することが望ましいこと。

3 社会教育委員の役割について(社会教育法第13条)

 本条の改正後も社会教育委員の役割の重要性は変わらないこと。したがって、引き続き各地方公共団体においては、社会教育に関する諸計画の立案や青少年教育に関する助言、指導など社会教育委員の積極的な活動が展開されるよう留意すること。

4 図書館協議会及び博物館協議会の委員について(図書館法第15条、博物館法第21条)

 図書館協議会及び博物館協議会は、地域住民をはじめとする利用者の声を十分に反映して運営を行うために設置するものであり、地域の実情に応じて多様な人材の参画を得るよう努めること。なお、今回の改正で追加された「家庭教育の向上に資する活動を行う者」とは、子育てに関する保護者からの相談に対応している者や子育てに関する情報提供に携わっている者等が想定される。これらの者を委嘱するか否かは、他の委員の構成や各館の目的・使命や地域の状況等を踏まえ、設置者である各教育委員会が適切に判断することに留意すること。

5 図書館及び博物館資料における電磁的記録の扱いについて(図書館法第3条第1号、博物館法第2条第3項)

 「電磁的記録」とは、具体的には、音楽、絵画、映像等をCDやDVD等の媒体で記録した資料や、図書館であれば市場動向や統計情報等のデータ等が想定される。従来もこれらの資料の収集・提供が排除されていたわけではないが、今後こうした資料の収集・提供又は展示が重要さを増すと考えられることから今回明示的に規定したものであること。なお、図書館資料における電磁的記録については、図書館法第17条の規定に関し、従前の取扱を変更するものではないこと。

【本件連絡先】
文部科学省生涯学習政策局社会教育課
〒100-8959東京都千代田区霞が関3-2-2
TEL:03-5253-4111(内線:2977)
03-6734-2977(直通)
FAX:03-6734-3718

(参考)

社会教育法等の一部を改正する法律・改正省令・改正告示 関連資料(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きます
別紙1 改正法律概要1枚紙
別紙2 官報
別紙3 附帯決議(衆議院・参議院)

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生涯学習政策局社会教育課

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