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「みんなで支える学校 みんなで育てる子ども」-「学校支援地域本部事業」のスタートに当たって-

平成20年7月1日
文部科学省・学校支援地域活性化推進委員会

1 はじめに

 学校支援地域本部は、学校の教育活動を支援するため、地域住民の学校支援ボランティアなどへの参加をコーディネートするもので、いわば“地域につくられた学校の応援団”と言えます。
 これまでも各学校、各地域で、地域の方々に様々な形でご協力をいただきながら学校運営や教育活動を行う取り組みが進んできていますが、学校支援地域本部は、そうした取り組みの延長線上にあると言えます。すなわち、地域住民が学校を支援する、これまでの取り組みをさらに発展させて組織的なものとし、学校の求めと地域の力をマッチングして、より効果的な学校支援を行い、教育の充実を図ろうとするものです。
 文部科学省では、平成20年度予算に50億4,000万円を計上し、全国1,800ヶ所(市町村数に相当)に学校支援地域本部のモデルを設置する学校支援地域本部事業を始めることとしています。本委員会は、その推進組織として設置されたものであり、事業の開始に当たり、そのねらいやしくみ、実施上の留意点等について、以下のとおり当面の整理を行いました。
 これを参考としつつ、学校と地域の連携による学校の教育活動の支援の取り組みが、幅広い関係者の理解と協力のもとに、社会総がかりの国民運動として展開されることを期待します。

2 学校支援地域本部のねらい

 社会がますます複雑多様化し、子どもを取り巻く環境も大きく変化する中で、学校が様々な課題を抱えているとともに、家庭や地域の教育力が低下し、学校に過剰な役割が求められるようになっています。このような状況のなかで、これからの教育は、学校だけが役割と責任を負うのではなく、これまで以上に学校、家庭、地域の連携協力のもとに進めていくことが不可欠となっています。
 このため、平成18年におよそ60年ぶりに改正された教育基本法に学校、家庭、地域の連携協力に関する規定が新たに盛り込まれました。

○教育基本法

(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)

第13条  学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

 学校支援地域本部は、これを具体化する方策の柱であり、学校・家庭・地域が一体となって地域ぐるみで子どもを育てる体制を整えることを大きな目的としています。
 具体的には、それぞれの学校の状況に応じて地域ぐるみで学校の教育活動の支援が行われることで、
(1)教員や地域の大人が子どもと向き合う時間が増えるなど、学校や地域の教育活動のさらなる充実が図られるとともに、(2)地域住民が自らの学習成果を生かす場が広がり、(3)地域の教育力が向上することが期待されます。

 まず1点目については、1教員だけでは担いきれない、あるいは必ずしも教員だけがすべて行う必要がない業務について地域が支援することにより、教員が、より教育活動に専念でき、より多くの時間を子どもと向き合うことや授業準備等に充てられるようになります。また、2子どもたちが多様な知識や経験を持つ地域の大人とふれ合う機会が増え、多様な経験の機会や学習活動、部活動の充実、学校の環境整備等が一層図られるとともに、多くの大人の目で子どもたちを見守ることで、よりきめ細かな教育にもつながります。さらに、3子どもの地域に対する理解やボランティアへの関心も高まります。これらは、子どもの「生きる力」の育成に大きく資するものです。

 2点目については、地域住民が意欲と関心を持って自らすすんで学校支援活動に参加することは、これまで培ってきた知識や経験を生かす場が広がり、自己実現や生きがいづくりにつながるもので、特に、次代を担う子どものために学習成果を生かすことは、教育基本法に定められている「生涯学習の理念」にも適い、社会的にも大きな意義があります。

○教育基本法

(生涯学習の理念)

第3条  国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。

 これらの結果、3点目として、地域住民が子どもの発達段階に応じて教育を行う学校で活動することで、近年その低下が指摘されている地域の教育力(地域住民が、子どもの健全育成のため、例えば、人を思いやること、自然やものを大切にすること、社会のルールを守ることなどについて、子どもたちに対し、その発達段階に応じて適切な働きかけを行う力)が向上し、これにより、地域の絆が強まり、地域が活性化することが期待されます。

 このように、学校支援地域本部は、それぞれの地域の教育機能を、地域住民の力をフルに活用しつつ、学校を中心に再構築しようとするものです。

3 学校支援地域本部の基本的なしくみ

 学校支援地域本部は、基本的には、「地域コーディネーター」、「学校支援ボランティア」、「地域教育協議会」から構成されます。《次頁図を参照》

  • (注)ただし、すでに学校支援ボランティアの仕組みが設けられている場合には、必ずしも変更する必要はなく、それを活用することも可能であり、学校や地域の状況に応じて様々な形態が考えられます。また、中学校区ごとに設置されることが想定されますが、学校ごとに設置することなども考えられます。

 「地域コーディネーター」は、学校支援ボランティアに実際に活動を行ってもらうなど、学校とボランティア、あるいはボランティア間の連絡調整などを行い、学校支援地域本部の実質的な運営を担うもので、学校支援地域本部の中核的役割を担い、その成果を左右する重要な存在です。これまで学校が行うことが多かった連絡調整の業務を地域が自ら行うことで、学校の負担軽減にも配慮します。地域の実情により、複数のコーディネーターやボランティアの代表で担うことも考えられます。

  • (注)ただし、学校においても窓口となる担当を決める必要がありますが、ボランティアの連絡調整自体はあくまでコーディネーターが行います。

 地域コーディネーターは、その業務を行うに当たり、子どもたちや学校の状況、ニーズをよく把握する必要があります。このため、学校のよき理解者であるとともに、地域に精通していることも求められます。
 具体的には、退職した教職員やPTA役員の経験者などが考えられます。その依頼は、事業の実施主体である市町村教育委員会が行うこととなりますが、具体的な人選に当たっては、学校支援という事業の趣旨から、学校の意向に沿うことが望まれます。
 なお、国の事業費にコーディネーターの謝金等の経費が含まれています。(さらに、人材バンクの作成や広報などの経費が含まれます。)

 「学校支援ボランティア」は、実際に支援活動を行う地域住民です。
 支援活動の内容は、いわゆる学校管理下の活動が対象となりますが、例えば、1授業に補助的に入る、ドリルの採点を行うなど授業の補助や実験、実習の補助等の学習支援活動2部活動の指導3図書の整理や読み聞かせ、グラウンドの整備や芝生の手入れ、花壇や樹木の整備等の校内の環境整備4登下校時等における子どもの安全確保5学校行事の運営支援など、学校のニーズに応じて様々なものがあります。そのレベルも、ある程度の専門性が必要なものから、特段の資格や経験等がなくてもできるものまで幅があります。いずれにしても、ボランティア一人一人が学校の仕組みや教育方針等をよく理解した上で、自らができることを、できるときに、できる範囲ですることが望まれますが、まずは、子どもの教育に意欲と関心を持って主体的に参加することが大切と言えます。
 なお、ボランティアに対する謝金は国の事業費には含まれませんが、ボランティア活動の保険や必要な消耗品等の経費は対象となっており、安心して活動していただけるようにしています。

 「地域教育協議会」は、学校支援地域本部においてどのような支援を行っていくかといった方針などについて企画、立案を行う委員会です。その構成員は、学校やPTA、コーディネーターやボランティア代表をはじめ、公民館等の社会教育関係者、自治会や商工会議所等地域の関係者などが考えられますが、具体的には、市町村教育委員会がそれぞれの実情を踏まえて判断することになります。子どもの教育について話し合う組織がすでに地域に設けられている場合には、その既存の組織を地域教育協議会に替えることも可能です。
 なお、会議の開催経費等は国の事業費に含まれます。

 また、学校支援地域本部の打ち合わせやボランティアの待機、休憩など、本部の活動のための場所については、学校や子どもの状況の把握、緊密な連絡や迅速な対応といった観点からも、校内の余裕教室等に置くことが望ましいですが、学校や地域の実情によっては近接する公民館等に置くことも考えられます。

学校支援地域本部の概要

4 事業を実施していくうえでの留意点

(1)学校のニーズに応じた支援

 学校支援地域本部は、学校と地域のパートナーシップにより、学校を核として地域の教育力を高めていこうとするもので、第一義的には学校の教育活動の支援を目的としています。このため、学校のニーズに応じた支援が行われ、それが多様な教育活動や教員の子どもと向き合う時間の拡大など教育活動の充実につながらなければなりません。
 このため、学校支援地域本部においては、学校のニーズに応じて支援活動を企画、実施するとともに、ボランティアとの連絡調整はコーディネーターが一元的に行うなど、学校に極力負担をかけないような配慮も必要です。そのためにも、コーディネーターや各ボランティアが学校の教育方針や仕組み、子どもの状況等をよく理解することが不可欠です。そのうえで、実際に活動を進めていくなかで本部(コーディネーターやボランティア)の側から支援活動について提案を行うことも考えられます。いずれにしても、学校と学校支援地域本部とが共通理解のもとに双方が主体的に連携し、子どもの状況に応じた教育活動の充実を図っていく姿勢が大切です。

(2)学校の意識改革と校長のリーダーシップ

 (1)で述べたとおり、学校支援地域本部の支援は、学校のニーズに応じて行われるべきものですが、一方で学校側にあっては、積極的に地域と連携してその力を借りながら、地域ぐるみで子どもを育てていこうとする意識がなければなりません。すなわち、各学校においては、校長のリーダーシップのもと、学校、家庭、地域をつなぐ新たな連携方策である学校支援地域本部を積極的に活用することが必要です。
 また、連携を進めるうえでは、アカウンタビリティを持って学校を一層開かれたものとしていくとともに、学校を単に地域の力を借りるのみならず、積極的に地域に貢献する姿勢も求められます。
 このため、校長のリーダーシップの発揮が重要であるとともに、校内、校外での研修の場等を通じ、校長や教職員の地域との連携協力に対する理解や地域の力をうまく取り入れていくマネジメント能力を深めていくことが求められます。中学校区を単位として設置する場合、特に中学校長の十分な理解が鍵となります。

(3)地域ぐるみ・社会総がかりでの取り組み

 現在、地域活動の担い手は特定の人に限られ、かつ、高齢化が進んでいると言われており、そのすそ野の拡大が急務となっています。
 このため、国や地方公共団体においては、学校支援地域本部を契機として、学校を支援するボランティア活動が国民運動として展開されるよう、その普及、広報啓発に力を入れていくことが不可欠です。
 企業においても、社会的責任(CSR)を果たす上で、立地する地域への貢献が求められており、とりわけ地域コミュニティの中心である学校に対し貢献を行うことは重要です。一方で、学校の活性化によって地域が活性化すれば、企業の持続的な発展の基盤ともなります。
 このため、商工会議所等地域の経済団体の理解と支援のもと、各企業において従業員の学校支援ボランティアへの参加を促進するなど、積極的な協力が望まれます。
 また、保護者の積極的な参加、協力を得て、学校、家庭、地域の一層の連携協力を図ることが不可欠です。とりわけPTAは、これまでも学校を支える存在としてきわめて重要な役割を果たしてきました。今後も引き続き、その重要性は変わらないことから、これまでの蓄積を生かしつつ、地域との連携も深め、学校支援地域本部に積極的に参画していただきたいと考えます。
 さらに、公民館等の社会教育施設や社会教育団体等にあっては、学校外における子どもの教育を通じて得たノウハウを十二分に活用して学校支援地域本部に協力し、学校の内外を通じて子どもの健全育成に貢献することが望まれます。
 このほか、教職志望あるいはそれ以外の学生にあっても、子どもと関わることや学校で活動することが有意義と考えられることから、大学等においては、学生の学校支援ボランティアとしての活動を促進することが望まれます。

(4)関係部局間の連携および他の事業との連携

 まず、学校支援地域本部事業は、学校教育と社会教育の双方に関係するだけでなく、地域づくり等の観点から首長部局とも関係します。このため、事業の推進に当たっては、学校教育担当部局と社会教育担当部局、首長部局とが十分に連携協力することが不可欠です。なお、文部科学省においても、生涯学習政策局、初等中等教育局、スポーツ・青少年局等の関係部局の連携のもとに学校支援地域本部事業を推進しており、地方公共団体においても、文部科学省の平成20年3月の通知を踏まえ、同様のことが求められます。
 現在、国及び地方公共団体等において、外部の専門的な人材を有償で学校に派遣する事業(例えば、理科支援員等派遣事業や部活動の外部コーチ)が多数実施されています。これらの専門家が、学校支援ボランティアに対し助言を行ったり相互に交流を深めるなど、各種の外部人材を活用する事業と学校支援地域本部の連携を図ることにより、地域の教育力を総合的に高めていくことが望まれます。
 また、学校支援地域本部は、まずは学校の教育活動の支援が目的ですが、放課後子どもプランや地域の活動といった放課後、学校外の活動との連携を図ることで、地域全体の教育力の向上につなげていくことも考えられます。
 さらに、公民館等において地域住民向けに様々な講座を実施していますが、その成果を学校支援ボランティアに活用できるような内容にするなど、社会教育事業と学校支援地域本部事業の連携を図っていくことも必要です。
 加えて、学校支援地域本部は、地域住民の力を学校教育に導入しようとする方策の一つであり、学校評議員学校運営協議会、学校評価等の「開かれた学校づくり」をめざして近年進められてきた施策と軌を一にしています。例えば、学校評議員や学校運営協議会の委員が、地域教育協議会の委員となったり、地域コーディネーターの役割を担うなど、学校支援地域本部に関わることも考えられます。また、学校支援地域本部において支援活動の企画や実施に当たり、学校評価の結果を踏まえることも有意義であり、関係する各種施策、事業間の相互連携を図ることも重要と考えられます。
 以上のような放課後子どもプランや学校運営協議会等の関連する様々な施策を国民にわかりやすいよう整理して理解を求めることが必要です。また、各地域においては、関連する事業をまとめて一つの事業として実施される場合も多いことから、文部科学省や教育委員会にあっては、関連する事業を活用しやすいようメニュー化するなどの工夫が求められます。

(5)持続的かつ自立的な運営

 学校と地域との連携による支援は、息の長い着実な取り組みを進めていくことが何より重要です。学校支援地域本部の持続的かつ自立的な活動展開のためには、3でも述べたように、それぞれの本部において、できる支援をできる範囲で行っていくことが大切です。
 また、キーパーソンとなる地域コーディネーターの資質向上が必要です。このため、教育委員会にあっては、域内の学校支援地域本部のコーディネーターを集めた研修会を開催するなど、その研修や交流の機会を設けたり、行政側のサポート体制を整備するといった支援が求められます。
 同時に、ボランティアが意欲と関心を持って、受け身ではなく積極的に活動に参加するようにすることが大切です。教育委員会にあっては、研修等を通じてボランティアの養成を行うなど、地域住民が主体的かつ継続的にボランティアに参加できるようサポートすることが求められます。
 さらに、各教育委員会にあっては、学校支援地域本部の設置に当たり、その持続的かつ自律的な運営が可能となるよう、財政面等において無理のない計画を立てることが必要です。
 なお、文部科学省においても、学校支援地域本部の持続的かつ自立的な運営に資するよう、事業の実施に当たっては地域の実情に応じて弾力的に対応することとし、また、ホームページを開設し、各種団体の支援プログラム等の参考となる情報や資料を積極的に提供することとしています。

5 おわりに

 本委員会としては、各地域において、上述の内容を参考としつつ、教育のさらなる充実、活性化に向けて、それぞれの実情に応じた創意工夫ある取り組みが、地域ぐるみ・社会総がかりで展開されることを期待しています。
 具体的には、今後、学校支援地域本部事業の実施箇所の選考を行うほか、本事業による様々な取り組みを評価し、うまくいったところや課題を調査、分析しながら、引き続き学校支援地域本部のあり方に関する検討を行い、その結果を全国にフィードバックしたり、各地の事例の情報提供を行うなどして、取り組みの一層の拡大、普及を図っていきたいと考えます。
 なお、学校支援地域本部をつくりたい、あるいは、さらに詳しい内容について聞きたいといった場合には、市町村教育委員会にお尋ねいただくか、または、文部科学省[下記]までお問い合わせ下さい。

[お問い合わせ先]

文部科学省生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室
電話:03-5253-4111(代表)(内線3284、3286)
FAX:03-6734-3718
E-mail:school-v@mext.go.jp